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みんながいきものがかりの学校あったらいいな

「みんな、今日からいろんな係をしてもらうよ。黒板係は、あっさんといっさん。放送係はうっさんとえっさん。給食係はおっさんとかっさん。いきものがかりはきっさんとくっさん。お花係は、けっさんとこっさんにお願いします。後の残った人は、次の当番替えの時に決めます」

「先生。みんなの意見は聞かないのですか?」
「話し合っても決まらないでしょう。順番にやってもらってダメだったら違う人に代わってもらいます。とりあえずやってみてそれから意見は聞きます」

おっさんはお花係をしたかったのですが、言えませんでした。しかたなく給食係をしていました。ある日、お花係が気になって見に行きました。チューリップの球根を植えたはずなので無事に芽が出ているか気になったのです。

「けっさん。どう?チューリップは無事育ってる?」
「おっさん。芽が出てその後茎が伸びてきたとこや」
「茎が2本並んで出てるやん。近過ぎるで球根を埋めるとき穴一つに二つ入れたんやろ?」
「そんな事せえんわ。ちゃんと一つずつ丁寧に埋めたわ」
「そやけど茎が二つ出てるやん」
「球根一つに茎が二つに分かれて出てきたんや」
「嘘つき。分かれるところ見てたんか」

「そしたら見せたるわ」けっさんは、球根を掘り返して見せました。

「ほんまや。球根一つに茎が二つ出てるわ」

「そうやろ。嘘はついてないやろ」けっさんはそう言って自慢げに球根を埋め戻しました。

「でも、お花係がそんな事しちゃいけないんだよ。先生に言ってやろ」

「先生、けっさんがチューリップの球根を掘り返しました。お花係には向いていません」

いきものがかりしかなくて、みんないきものがかりだったら良かったのに。