見出し画像

個人で「売上が伸びたら法人化する」は本当に正しいのか?

こんにちは。ブルークリエイターのパンと申します。
個人でアプリゲーム開発を仕事にしている者です。
(運営中のアプリ → モンスターカンパニー)

僕自身は現在個人事業主として活動していまして、おかげさまで来年から消費税課税事業所となります。
(個人事業主の場合、年間売上が1000万円以下であれば消費税の支払いが免除されます)
このタイミングになると皆さん考えるのが「法人化すべきか」というところですね。
年間売上1000万円以上になったら法人化を検討した方が良いなんていうことは結構聞いたことがあるかと思います。
僕も改めて法人化すべきなのかを検討するためいろいろ調べてみました。
改めて調べていくうちに、実は法人化しても最終的に大して節税にはならないのでは?(むしろ損なのでは?)ということが見えてきました。
ネットで調べると一般的な法人化のメリット、デメリットなど並べられた記事が多く出てきますが、今回はその辺りとは全く別の切り口で見ていきます。
もし間違えているようでしたら教えてください!

1.会社を畳む時のことを考えると損なのでは!?

僕が「おや?」っと思ったのは会社を畳む時のことです。
まず前提として、法人化した場合、事業の売上は法人の口座に入ります。
会社のお金ということになるので、個人で勝手に使うことはできなくなります。
株主も社員もいないのに自分で稼いだお金を自分で自由に使えない。この時点でちょっと嫌ですよね。
さらに本題はここからです。
ひとり法人で会社を誰かに引き継がせるということがないのであれば、老後など本人が仕事を引退する時点で会社も畳むことになるかと思います。
問題なのは会社のお金を個人の口座に移動させる際に税金が発生するということです。
法人税を払った上に、個人所得としての個人税まで取られるという二重苦!
会社の残高が仮に1億円残っていたとしたら、最大税率55%ほどがのしかかってきます。(累進税率で計算すると実際の受け取りは6000万円ほど)
節税のための法人なのに、むしろ税金が増えるのでは、と。
これを回避する策としては、役員報酬(給料)を定期的にしっかり受けるというのがあるかと思います。
少量ずつの受け取りであれば、税率も低いので、老後にまとめて受け取るよりは取られる税金が少なく済みます。

2.ざっくりシミュレーション

会社を畳むことを踏まえた上で、本当に法人は得なのか、シミュレーションしてみます。
細かい部分は省略したざっくりシミュレーションですが、大まかなイメージはわかるかと思います。

Aさん40歳。60歳で会社を畳む予定。
年間売上は5000万円。毎年固定とした場合。お金も一切使わないとします

<法人化したパターン(役員報酬0)>
・法人の実効税率最大の35%が適用だと年間3250万円(会社残高)
・×20年間 = 6.5億円(最終会社残高)
・これを個人の口座に移動させると3.6億(老後の最終残高)

<法人化したパターン(役員報酬2000万)>
・役員報酬として税金計算後年間1480万円(個人残高)
・残った3000万円。法人の実効税率最大の35%が適用だと年間1950万円(会社残高)
・年間個人×20年間 = 2.96億円(最終個人残高)
・年間法人×20年間 = 3.9億円(最終会社残高)
・法人残高を個人口座に移動させると2.2億円
・トータル2.96 + 2.2 =5.16億円(老後の最終残高)

<個人事業主のまま>
・最大税率55%の累進課税を計算すると年間3230万円(個人残高)
・×20年間 = 6.4億円(老後の最終残高)

<最終残高まとめ>
法人(役員報酬0) = 3.6億円
法人(役員報酬2000万) = 5.16億円
個人 = 6.4億円

まさかの結果ですね。この例だと年間売上5000万もあるにも関わらず、最終的には個人でいた方がお得という結果に……!?
(計算間違いやなにか見落としがあったら教えてください!)
会社運用中のトータル残高は確かに税率の差で法人の方が多いですが、老後に個人口座に移動させた段階でガクっと下がりますね。
逆に言うと、法人の場合は会社の残高がほとんど残らない状態で会社を畳むことができれば得ということになりそうです。
ただ役員報酬が2000万円辺りを超えるとその分、個人並の税率になっていくので厳しくなるんですよね。
試しに役員報酬4000万で計算したところ、最終6億円ほどでした。
う~ん、このシミュレーションで合っているのであれば個人のままの方が断然良い気がしてしまいますね。
法人の場合はさらに社会保険料がありますからね。

3.それでも法人になるメリット

盛大な見落としがあったら申し訳ないですが、ここまで見てきて税金的な理由で法人化する必要はないように見えてしまいます。
ただ、それでも法人になるメリットはあると思っていて、個人的には以下2つです。

・信用力アップ。法人じゃないと取引できない会社さんと取引できたり、イラストレーターさんへのご依頼もスムーズにOKもらいやすい(予想
・社長を名乗れる(笑

会社持ってて自分が社長だって言えるのは憧れますよね。(笑
あとは実際あったことですが、とある広告会社さんに広告出向のお願いをした際に法人じゃないと取引できないと言われて断られてしまったことがありました。
実際、法人じゃないと取引できない会社さんはそれなりにあるようです。

まとめ

ここ数日で調べたことをまとめただけなので、なにか見落とし等があるかもしれません。
会社を畳むことまで触れられている記事はほとんどなく、ただ税率が低いからというだけで法人になるのはなにか危険なんじゃないかと思い、今回書いてみました。
ひとりで法人になれるようになったのはここ数年内のことなので、老後に会社を畳むという経験をした人自体がほとんどいないと思うんですよね。
ひとり法人の場合、最終的に畳むということを踏まえた上で考えることは必要だと思いました。
なにかの参考になったら幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?