闘病ぱんだ⑦赤色点滅
病院に通い初めて約3ヶ月。
自分の店の閉店まであと数週間。
手首、肩、顎、指、至る所の関節の痛みも
筋力の低下も、痛みも、発熱も。
それぞれがでしゃばって、しゃしゃり出て
なかなか引っこむ気配がなかった。
毎日毎日律儀に、ご丁寧に、痛い。
毎日が修羅場。
全員が主役。
ベッドから起き上がる事も、服を着替える事も、二階への昇り降りも、メイクをする事も日に日に辛くなっていく。
腕が重くて仕方なく髪を結ぶ事すら苦労し、
歯を磨くと口の中が染みて痛む。
ただ流れるようにこなしていた動作が
何一つスムーズではなくなった。
時に呻きながら、そして息を切らして
必死に仕事に行く準備をして仕事に出る。
自転車も上手く乗れない。
電車の乗り換えも一生懸命だった。
体力メーターはいつも赤色点滅だ。
継続して通っていた整形外科に何度も泣きつき
、リウマチを視野に入れての投薬を開始。
「血液検査は陰性だったけど、陰性でもリウマチの場合もあるからね」
頭の中でざわざわダチョウ倶楽部が騒ぎ出す。
『聞いてないよォォ』
竜ちゃんが帽子を地面に投げつけた。
とにかくあと少し。あと少しの辛抱だ。
あと数日で店は閉店、そして数日の撤去作業。
それが終われば溜まった有休を使える。
休める、あと少し頑張れば、休める。
休めばきっと良くなる。
きっと良くなるんだ。
その一心で無我夢中に生きていたあの頃。
赤色点滅で1日1日を生きていたあの頃。
ストレスと痛みでタバコの量が
どんどん増えていき爆発しそうだったあの頃。
痛みと辛さを理解されず、泣きながらお風呂に入っていたあの頃。
あの頃の自分に言ってあげたい。
耐えて耐えて、耐えた先にあるのは
勲章なんかじゃない。
一生残る傷だ。
闘病ぱんだ⑧に続く →
写真提供 photoAC
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