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#39 葉っぱ|銀色 夏生
あの日の僕が正しかったと今でも思えるわけではない。
けれど間違っていたのだと、そう思う強い気持ちもなく、日々淡々とすごしている。
仕事をして、部屋に帰って、食事をして眠る。時々は友達と飲みに行ったり、女の子と待ち合わせて、夕食を食べて、いろいろな話を聞いて、駅で手を振る。
ベランダの鉢植えはカラカラになって、枯れた葉が飛ばされてすみっこにつもった。
Tシャツは色が落ちて文字がかすれのびたけど、やわらかく体になじんでいる。
環境に適応する能力は人のもつ才能だ。
僕はもう心が痛みはしない。心はもう痛まないが、君を思い出す。
そして君を思うたびに痛まない心から涙がこぼれる。
なぜなのかわからない。涙がこぼれる。
あの日、そうすることしかできなかったこと
その時の僕にはそれ以外の方法が思い浮かばなかったこと
後悔するわけではないが、ずっと心に引っかかっていること
涙は心が痛んで出てくる
「君」が「痛み」そのものとなっている
どうしようもなかったこと
ふとしたときに思い出す
痛くて苦い、記憶
初めて詩集を手に取ってみた
とても曖昧で短い言葉の繋がりだけど、たくさんの想像がうまれたり、過去に戻ったり、自分に問いかけたり
人によって心を打つフレーズが違ったり、思いだすことがあったり
同じ詩を読んで何を考えたか、想像したか、心に浮かんだか、人々に聞いてみたい
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