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囲碁とビジネスが似ているという話

初めましての方もそうでない方もこんにちは。
「ひだまり」という囲碁カフェを東京で経営しております。

よく、囲碁とビジネスは似ている。と聞きます。
今の時代はどうかわかりませんが、昔の武将は皆囲碁をやっていたり、昭和の経営者や政治家も皆囲碁を嗜んでいたという話も聞きます。

囲碁を生業としている身として、
ちゃんと考えたことがなかったので、今日はビジネスについて考察しました。

1.布石とは?

皆さんは布石という言葉を聞いたことがありますか?
元々は囲碁の用語で、ゲームの始めに、今後の展開に備えて石を配置することを言います 。囲碁を知らない方でも【布石(ふせき)】というこの言葉は 知っている方はいるのではないでしょうか。

現在では ビジネス用語としても使われており
「将来のための備え」という意味で使われていますね。
 これを私が意味づけるならば、「将来ビジネスが 開花するための種まき」と定義します。

2.私の囲碁スタイルについて

私は囲碁において「自由布石」という、 誰も理解し得ない序盤の展開を繰り広げ、世界中の囲碁プレイヤーからも 驚かれます。 ちなみにレベルは万年2級なので、全然強くありません。

時にはふざけていると思われて、ネットで囲碁を打っていると3手目くらいで対局を終了させられてしまうこともあります。

ここに打つのが常識ですよね?
とか、
普通に打ってください
と言われたこともありますが、
人それぞれ常識も普通も異なると思いませんか?

なぜこのような布石を私が打てるかと言うと、 私の恩師であるプロ棋士の先生が、 ルールもほとんどわからない私に、 自由な囲碁を打つことがいかに素晴らしいかということを教えてくれたからです。

私はアマチュアのプレイヤーであり、囲碁一局に対して勝つか負けるかという結果しか得られません。 しかし プロ棋士の先生方は、 それを生業にして生活をしています。 勝たなければ生活は成り立ちません。
アマチュアプレーヤーならば、勝ち負けよりも 囲碁を楽しむことを重視して囲碁を打ちなさいというマインドを先生に教わりました。

当時は、囲碁のルールもはっきりとわからなかったため、その言葉の意味を理解出来ませんでしたが、今はとても大切なことを教えてもらったと心から感謝しています。

なぜかというと、 私の布石に対しての解説本は一切なく負け続けることがあるからです。
勝つためには、先生に聞くか、失敗して検討して同じ失敗を繰り返さないためにはどうすればいいのかを研究するしかありません。
変わった布石で対局した結果30連敗以上したこともあります。
心が折れそうになりました。

「この対局に負けたら囲碁を一度お休みしよう。」
そう思いました。
囲碁のお店を経営する身として、囲碁がおもしろくなくなったら仕事に支障がでるからです。

しかしそんな時 奇跡が起きました。

私がネットで 対局していた碁を見ていた七段のアメリカ人が
「あなたの碁は負けても素晴らしい。 是非私と一局、 お手合わせ願えませんかと」声をかけてくれたからです。

自分の囲碁を打ち続ける限り勉強しなきゃいけないことはたくさんありますが、自由な布石を打てるようになって本当に良かったと今では思っています。

3.ビジネスに置き換えて考える

前置きが長くなりましたが、
世の中の大半の人は 囲碁盤の四隅のどこかからしか布石を打ちません。
囲碁は最初の時点で361カ所から、好きな場所を選んで打つことができるゲームです。

しかし、ほとんどの人が自由なところに置かないのです。
理由は、本に四隅が良いとだいたい解説してあるのと、
囲碁を教えている人が、そのように講義しているからです。
(なぜ自由布石が流行らないかはまた別のブログで解説する予定です)

これを 囲碁の店舗ビジネスに置き換えてみました。

●一般的な経営
(以前の碁会所を事業承継したときを参考にしました)

・囲碁が強く囲碁を愛している人が経営者

・【囲碁を打つこと】をメインコンセプトとしているので、囲碁カフェだったもしても、カフェだけ利用してもらえるような内装工事は必要ない。囲碁を打つひとに食事やお茶を提供できればいい

・ 現時点で「囲碁を打てる人」をメインターゲットとしているため、特に一般に向けたマーケティングは必要ない

・囲碁が強い人=えらい人という店の中での格差社会

・碁盤と碁石は碁盤店で購入

・囲碁業界でのネットワークを大切にする

●私の経営
・囲碁をやったことがない、世界最弱の囲碁の店の経営者

・「お茶飲みにきたらなんか囲碁やってる。おもしろそうだからやってみよう♪」という、囲碁に興味ない人がついつい始めたくなるような流れを作るために、遊び心満載の内装に死ぬほどお金をかける。
コンセプトは「誰かをつれていきたくなるカフェ」


・現時点で「囲碁を打てない人」がターゲット。囲碁のマーケットを広げなければ、囲碁人口が減ってビジネス厳しくなると想定したため。

・囲碁を打てない外国人に向けたサービスを作る
オランダで囲碁を打った経験から、
「囲碁は身につけて帰れる日本のお土産」ということに気づく。
囲碁が打てない方に、お土産として技術をプレゼントしたら喜ばれるのでは?という考えから、 外国人観光客向けの 囲碁体験プランを 作り 500名以上の 外国人が 3年間で来店。

・囲碁が強かろうが弱かろうが、そこに人の優劣はない。
どの棋力の人がきても、肩身の狭くない店作り

・碁盤は自分のとこのオリジナルを作ってもよくない?普段横幅とりすぎなので、石を使わないときは収納して普通のカフェテーブルとして使える大きさがいいのでは?

・商店街や区、飲食店のコミュニティの人とのつながりも大切にして、一般の世界のなかでの認知度をあげる。

・囲碁だけの利用でなく「スペース」として色んな利用ができる愛される店づくりを心掛ける。
例:ギャラリーとして絵を展示する、こども食堂、DJライブ配信、ワイン会、地域の街のミーティング場所としての活用、撮影場所など

4.まとめ

囲碁とビジネス戦略をリンクさせてみると、自分の布石とビジネスは完全に一致していると気が付きました。

囲碁の布石と同様、一般的な碁会所の経営方法は、すでに経験者がたくさんいて話を聞いたり分析することができます。

しかし私のやり方は、まだ誰もやったことがなく、正解がありません。
成功するための方法は、自分で挑戦し、失敗して、学んで、力をつけていくしか方法はありません。

でも選んだのは私。

しかし大切なのは、布石が完璧であったとしても、
そこから先は石と石のつながりを強化したり、力をつけていかなければなりません。

ビジネスにおいては、
人や企業が、winwinになれる関係を築くこと。
自分の弱いところは学んで強化すること。
そう置き換えられるのではないかと思いました。

最後に勝つには、自分が勝つことだけを考えるのではなく、相手や周りの人が楽しかった、いい勝負だったと言える形にもっていくことが大切なのでしょうね。

改めて、色んな気づきを与えてくれる囲碁というゲームに感謝。
もしこの記事を読んで「囲碁やってみたいな~」という方がいたら、気軽に声をかけて頂けたら嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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