見出し画像

【中国】少数民族の優遇政策について

こんばんは。今日もお疲れ様です。

ツイッターで気になる記事を見つけたので、ちょっとこれについて考えてみたいと思います。

中国で少数民族はどこに存在している?

中国には人口の92%を占める漢民族と、55の少数民族がいます。
少数民族は「○○族自治州」「○○族自治県」などと区分された地域に集住し、言語や文化を守ることを保障されています。

中国の少数民族
中国政府は、民族区域自治という少数民族政策を取っている。国民を、漢民族と55の「少数民族」とに区分し、その民族ごとに集住地域を「区域自治」の領域として指定した。そこでは、「民族の文字・言語を使用する権利」、「一定の財産の管理権」「一定規模の警察・民兵部隊の組織権」「区域内で通用する単行法令の制定権」などを行う事を認めている。


例えば、チベット族(ここではあえて「族」で表記します)なんかは
チベット自治区という省にも属さない区だけでなく、四川省や青海省などの「甘孜チベット族自治州」や「アバ・チベット族チャン族自治州」などといった居住区にも多く存在しています。
それは他の少数民族にも同じことが言えます。

少数民族は優遇されている?

中国国内の少数民族は、進学や就職などにおいて優遇措置が取られています。
進学に関してはポイント加算され、漢民族よりも合格しやすくなっているそうです。そのため、「同じ勉強をしているのに少数民族だけずるい」といった漢民族の意見も聞かれるとか。

ポイント加算については事実ですし、そのため漢民族のような意見が出るのも仕方のないことかも知れませんね。

ただ、私は個人的に台湾人からとても興味深い意見を聞きました。

ある台湾人の意見

これは、台湾で日本語教師をしていた私の友人が、現地の高校の先生から聞いた話です。
台湾では原住民に対する優遇措置が存在しており、台湾人生徒から「ずるい」といった意見が受験シーズンになると上がるそうです。

原住民である生徒に対して「ずるい」と言った台湾人生徒に、
その先生はこう言ったそうです。

「原住民は自分たちの文化・言葉、中国語と台湾語、そして台湾の文化にも馴染まないといけない。
 それだけ苦労が多いし、加点は仕方のないこと。
 逆に、原住民の子が『申し訳ない』となることの方が多く、その時は
 『自分が勉強して加点に頼らなくて良いようにしなさい』と言うようにしている」


どうですか?
この話を聞いた時、少数民族に加点がされるということはあってもおかしいことではないなと、ストンと腑に落ちました。

もちろん、その加点を当事者である原住民の生徒が「マイノリティなんだから当然だ」と取るのはちょっと間違いだと思うし、少数民族の誰もがその台湾原住民の生徒のように「申し訳ない」と思っているわけではありません。

しかし、漢民族から「少数民族だけずるい」という意見がでるのは、この1番重要な加点の意味がキチンと伝わっていないからではないでしょうか。

チベット族の現実

私にはインドに亡命したチベット難民の友人がたくさんいます。
彼らの多くはチベット語、中国語、英語、インドのヒンディー語を話します。
チベット人同士でも方言がキツすぎて意思の疎通が難しい場合が多いので、標準チベット語を改めて覚えたという人もいました。

たしかに、自分たちの文化を守りつつ、その土地に溶け込むというのは苦労が多いのかもしれません。

初め、漢民族で少数民族の優遇政策を「ずるい」と言ってるという意見を目にした時、「弾圧しといて何言ってやがんだ」と悪態をついてしまっていましたが、
今は同じような意見を目にした時には
「彼らは何も知らされていないんだな」
と思うようになってしまいました。

漢民族は何も知らされていません。
少数民族がどういう生活をしていて、どういう思いを持って生きているか。
興味を持って見ようとしている漢民族がいることも知っていますが、普通の漢民族は興味も持っていないし、ただただ「少数民族は優遇されすぎ。ずるい」という意見から先に進んでいかないんですね。

まぁ個人的に1番残念なのは、何も知らない漢民族だけを見て

「少数民族はずるい。漢民族はかわいそう」

と恥ずかしげもなく発信している日本人だと思いました。

この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?