大谷翔平ホームラン全記録 2023年夏(2)Shohei Ohtani's complete home runs: the first 167

ホームランを打った試合数はどう変化してきた?

大リーグ・エンジェルス大谷翔平選手の全てのホームラン(2023年8月中旬現在、計167本)を分析する第2回です。前回は、ニューヨーク・ヤンキースのジャッジ選手と大谷選手のホームラン数の推移が似ていることを紹介しました。それぞれの球団が戦う試合数は、本来なら毎シーズン(ほぼ)同じはずですが、2020年にはコロナ禍のため、試合ができたのは2か月だけでした。大谷選手自身もケガなどで出場できなかった時期もありました。そうした点を考慮し、大リーグ・デビューした2018年からこれまで、大谷選手が打撃で出場した全試合を分母として、ホームランが0本、1本、2本の試合がそれぞれどれくらいあったかをシーズンごとに示すのが下のグラフです。2018年には出場試合114のうち、ホームランを打ったのは20試合(1本または2本)で、全試合の約17%でした。今年はこれまでのところ(8月中旬現在)、出場試合115のうち、ホームランを打ったのは34試合(1本または2本)で、何と全試合の三分の一近く(31%)となっています。3試合に1度はホームランーー。これは、なかなか真似できない。


大谷選手が打撃で出場した試合をホームランの数で分類した(割合)

アメリカン・リーグとナショナル・リーグを比較すると

エンジェルスはアメリカン・リーグなのだから、相手はアメリカン・リーグに決まって…ないです。日本でも最近はセパ交流試合がありますが、大リーグのインター・リーグ(ア・リーグとナ・リーグのチームが対戦する)ゲームは、自球団が属していないリーグのチーム(全15球団)とも、1年に一度は必ず全てと対戦する(ほとんどの場合3試合)というもの。今年のエンジェルスのスケジュールを見ると、全試合のうち約3割はナ・リーグ、残りの7割が自リーグ(アメリカン)の各チームとの対戦になっています。では、大谷選手のホームランは自リーグ内での対戦がほとんどなのでしょうか?それともインター・リーグでも打っているのでしょうか?

各シーズンのホームランを対戦相手のリーグによって年ごとに比べたのが下のグラフです。試合の3割はナ・リーグが相手なのに、ナ・リーグから奪ったホームランは多い時でも(たとえば今年)2割弱なのがわかります。
ここで興味深いのは、指名打者(DH)制をめぐるルールの変更との関係です。大リーグでは長年、ア・リーグはDH、ナ・リーグではDHなし(投手も打席に立つ)制度を運用していましたが、2022年からはナ・リーグもDHを採用しました。なお、2020年、コロナ禍中では感染対策の一環としてナ・リーグもDHを採っていました。大谷選手がエンジェルスに在籍している期間のうちで、2018・2019・2021年はナ・リーグはDHなし、2020・2022・2023年はナ・リーグもDHありということになります。大谷選手の場合、ナ・リーグとの対戦でDH制がない場合、出番が少なく、ホームラン数も伸びなかったということかもしれません。

ナ・リーグの中で大谷選手に打たれたホームランが最も多いのはコロラド・ロッキーズ(4本)でした。ナ・リーグ15球団のうち、まだ大谷選手がホームランを打っていないチームが6あります(対戦数が少ないため)。両リーグすべてのチームからホームランを打つというのは、大リーグの歴史の中でも成し遂げた人は多くないのでは。今シーズンは無理ですが、来シーズンは達成できるかも?

大谷選手のホームランを相手チームのリーグによって分類した(割合)

アメリカン・リーグの対戦相手を比べると

大谷選手のホームランをア・リーグ対戦相手で分ける

インター・リーグも大事ですが、優勝争いはア・リーグで決まります(しかし、残念ながら今年もエンジェルスがプレーオフに行くのは難しそう)。こちらはシーズンごとに、今回は割合ではなくホームランの本数を、ア・リーグの3地区ごとに分けて数えたものです。当然ながら、ア・リーグ西地区が多い…かと思ったら必ずしもそうではないですね。

大リーグの試合数は同じ地区内の4チームとの対戦が年に13-14試合くらい、同じリーグ内の他地区内の10チームとは6-7試合くらいになっているようです。つまり、同じ西地区のチームとは中部・東部のチームよりも対戦回数が約2倍ということです。だとすれば、単純に考えれば、西地区のチームとの試合で打ったホームランは中部・東部の2倍近くになってよさそうなものですが、そうはなっていません。2021年には西部よりも東部チームとの試合でのホームランが多くなっています。

大谷選手の通算ホームラン数、アメリカン・リーグ球団別

上の表はア・リーグの球団を地区ごとに分け、大谷選手の通算ホームラン数を記録したものです。ア・リーグ全15球団からホームランを打っていますが、最も多いのはやはり西部地区のオークランド・アスレティックス(18本)、テキサス・レンジャーズ(18本)、シアトル・マリナーズ(17本)でした。対戦機会が多い西部チームの中では、ヒューストン・アストロズ(13本)はちょっと苦手かも。西部以外だと多いのはシカゴ・ホワイトソックス(16本)とデトロイト・タイガース(11本)でした。

ホームランを打たれやすいピッチャーは?

これまで、大谷選手に2本以上のホームランを打たれている投手は22人います。最も多い4本打たれているのはFrankie Montas という人なのですが、2019・2020・2022年にそれぞれ1本ずつ、オークランド・アスレティックスの投手として大谷選手にホームランを献上しています。そして2022年のシーズン中にトレードされたらしく、同年、再び今度はヤンキースの投手として大谷選手にホームランを1本打たれています。

これまでに3本打たれている投手は4人いて、一人は菊池雄星さん(マリナーズなど)。あとはシカゴ・ホワイトソックスの Lucas Giolito 、ヒューストン・アストロズの Luis Garcia 、Lance Lynn(レンジャーズなど)でした。

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