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今だから少しだけわかる「永遠のお別れ」

皆さんごきげんよう、ぱんだるまです。

noteを書きたい書きたいと思いつつも実生活で予定や課題が立て込んでしまい、気づけば年を越すどころか、節分すら過ぎ去ってしまった。これはまずい、ということで久しぶりに筆を進めています。


実は昨年末、家族ぐるみでお世話になっていた方がお空へ行かれました。
快活でとてもエネルギッシュな方で、その方や奥様にも本当にいろんなことを教えていただきました。

近しい人と永遠のお別れをすること自体が十年以上なかったため、訃報を聞いたときは悲しさ半分、戸惑い半分といった感じでした。
家族でその方の家を尋ねてお骨を前にした時の、じんわりと胸に広がっていく深い寂しさと、それと共にこみあげてくる涙の感覚は、今でもふとした時に蘇ってくることがあります。
遺影の笑顔も心なしか清々しく感じました。

また同時に頭の中に浮かんできたのは、母方の祖父の姿でした。
祖父は私がまだ幼稚園生だった頃に突然癌が見つかり、誰よりも楽しみにしてくれていた私のランドセル姿を見ることなく、静かにこの世を去りました。

初孫であった私を、祖父は猫かわいがりしてくれました。沢山の場所に連れて行ってもらって、沢山の思い出をくれて。
ディズニーランドに連れて行ってもらった回数も数知れず。祖父はどうやら周囲の同年代の方に「孫を連れていくのならあそこだ」と教わっていたそうで、後に母は「自分が子供の頃は地元の遊園地すら連れて行ってくれなかったのに」と可笑しそうに話していました。

祖父のお通夜やお葬式の時のことは覚えていませんが、火葬の時の記憶は今でも断片的に覚えています。
横たわる祖父の周りに祖父が好きだった甘いお菓子を沢山並べたり、火葬後に長い箸のようなもので祖父の歯を骨壺に収めたり。

その時になってようやく、周囲の大人と同じように一粒だけ涙を流したことも。
自分が知っている祖父ではなくなってしまうんだ、ということに寂しさと悲しさを感じていたような記憶があります。
古く且つ幼い頃の記憶なので定かではありませんが。


あの時よりは多くのことを知った今の私と、ほとんど何も知らなかった幼い私。大学生になって実際に向き合う機会を得たことで、「死」というものの捉え方が自分の中で大きく変わっていたことに気づかされました。

祖父を亡くした当時の私はまだ、「死」というものがどんなものであるかわかっていなかった。
何となく、「これからはもうおじいちゃんとは話せないし、どこかに行くことも一緒にご飯を食べたりすることもできないんだ」とは思っていましたが、逆にそこまでしか考えられなかった。
自分の人生の中で、それほど大きな出来事として受け止められませんでした。

今では、まだ人生を二十年も歩んでいない未熟な人間ですが、それでも少しはこの世の中のことが分かってきたように感じています。
今の私にとって身近な人を失うことは、以前より自分にとって大きく、重い出来事になっているのだと思います。
感覚的には、それまでは一般的なコピー機によって薄い紙に印刷されたレポートだったものが、活版印刷によって分厚い用紙に文字の凹凸まで深く刻まれる古い本に変わった、といったところでしょうか。


きっとどの年代になっても去ってゆく人を見送ることは辛いでしょうし、ましてや経験する年齢が上がれば上がるほど、思うところも増えていってより苦しい気持ちになるのかもしれません。


ただ、今になって思うのは、祖父にはもう少しだけ生きていて欲しかったなあ、ということです。

もう少し、「死」というものがどんなことを意味するのか、ある程度はわかるまで成長してからちゃんとお別れを言いたかった。
自分に対してしてくれた沢山の事に対して、そして惜しみなく注いでくれた愛に対して、自分の言葉でありったけのお礼を伝えたかった。

祖父とやってみたいこともたくさんありました。
登山が大好きだったおじいちゃんと富士山に挑戦してみたかったし、甘いお菓子が大好きだったおじいちゃんに手作りのお菓子を作って喜んでもらいたかった。
祖父が入院している時には、退院したら病院の近くにあった水族館に一緒に行く、という約束もしていましたが、結局叶うことはありませんでした。
癌が見つかった時には既にかなりステージが進んでいたようで、どんな思いで幼かった私とあの約束をしたのだろうかと、様々な水族館を訪れるたびに思い起こしたりもしています。


過ぎてしまった過去ですし、逝ってしまった人なので今更後悔したところで何も変えることはできない。しかも何度も書いていますが、当時の私は全てにおいて幼すぎた。
仕方がないと言ってしまえばそれまでですが、やはり早すぎたお別れは悔やまれるものです。


書き始めた時より涙で少し歪んだ文字を目の前にしながら、今回は記事を締めたいと思います。


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