想い出の中に生きる彼



2014/9 記録


想い出は何故こうも美しく清らかなのだろうか。

その時その時は
水溜まりの中、長ぐつの先っちょでぐちゃぐちゃかき混ぜたように
泥で淀んでいるのに。


時間が経って
透明に透き通った水になって

あの頃の2人が浮かんで見える。



あの時もっとすがっていたら、
別の未来が待っていたのだろうか。
いや
私にはそんな力は残っていなかった。
そもそも始まりから私と彼は
いわゆる瀕死の猫だったから。





当時彼と歩いた道、線路沿いの本屋、
ゲーセン併設のミスド。
彼がいなくなってから、
ひとりで噛みしめるように想い出を辿った。
何時間もひとりで座っていた。



彼の未来に自分の姿が見い出せなかった、というと聞こえはいいが、
ホントの本音で、
自分の未来の行く先を彼に向けようという思いに届かなかった。


そう、もう納得済みの結果なのだ。


しかたがない。
なのに、私は思い出す。


淋しさを抱えたまま微笑む
若かった彼を。






「空も飛べるはず」  スピッツ


作詞  草野正宗
作曲  草野正宗





君と出逢った奇跡が
この胸にあふれてる
きっと今は 自由に
空も飛べるはず
ゴミで煌めく世界が
僕たちを拒んでも
ずっと側で笑って いてほしい    ♪





ひとつ年下の、同じ血液型だった彼。
けしてイケメンではなかったけど、
笑った顔が可愛くて
優しい優しい声をしてた彼。

あなたがいてくれたから立ち上がれたんだよ。






あの子、元気でいるのかな。
しあわせになってるとイイなぁ。

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