見出し画像

虐待されていた友達が死んだ日①

私が25歳くらいの頃、飲み会で知り合ったアミちゃん(仮名)という子がいた。


その当時私は、バリバリのバンギャでバンドマンのいる飲み会に時々呼ばれていた。(バの数…)

その飲み会は、そういう界隈の友達が、そのまた友達を連れてくる…という事はよくあり、アミちゃんも飲み会で一緒になった子が連れてきた友達の友達だった。

初めて会ったアミちゃんは、見た目はギャル系で髪の毛は金髪、派手目のメイクでおっぱいが爆乳だった。

でも、どこか若い雰囲気があり…飲み会も宅飲みにまで移って深夜になってだいぶ皆の空気も和んでいたので、隙を見て私はアミちゃんに話しかけてみた。

『アミちゃんって、何歳ーー?』

すると、アミちゃんは明るい声で『あたしー?17歳!☆』と答えたのだ。

『?!』


その当時、とんでもなくビックリしたのを覚えてる。

(未成年飲酒は勿論、こんな時間にここにいて大丈夫?親御さんは?明日は?学校は?)


などなど…いろんな驚きや心配や疑問が混雑した。

見た目の雰囲気もあって、若い感じだとは思ったものの…さすがに17歳というのは想像をはるかにこえていた。(せいぜい20歳なったばかり!とかかと…)

勿論電車も動いていないし、帰って!なんて言って空気を壊す事はとても出来なかったので…様子を見ながら『明日大丈夫?とか家族心配してないの?』と少しづつ気にかけた。

すると分かった事は


学校には行ってない

親とは暮らしてない(記憶はおぼろげだけど、一人暮らしだった気がする)

無職

Hカップ(最後どうでもいい)


初めて会った時にわかったのはこの位だったと思う。

誰がどう考えても、あんまり踏み込むのは嫌な気持ちにさせるな…というのはすぐに感じた。

アミちゃんが明るく答えてくれるからといって、あまりズカズカ聞けば、きっと何か嫌な出来事を彼女は話さないといけなくなるんだろう。

その日はそこまでで終わり。

でもその後、アミちゃんとは何度も飲み会で会った。

かなり年も離れていたからアミちゃんにとって私は、絡みにくいだろうなー…と想像した部分もあって…あくまで(飲み会で時々会う子)という感じだったアミちゃん。

それでも、徐々に打ち解けてきていたから、少しづつ聞いても大丈夫そうな事は聞いていった。

親は心配していないの?(17歳の子がこんなに帰って来ないなんて、少なくとも普通ではないよね)

→『全然心配してないよ!凄い仲悪いし、嫌われてる。だから離れて暮らしてるんだよねー!はははっ』

こんな調子だった。

私はたしか『そんな事ないでしょー!家族だって色んな時があるとは思うけど、本当になんとも思ってないって事はないんじゃなーい?』って、不快に思わせないよう気をつけながら、こんな感じの声をかけたと思う。

そこで返ってきたのが

『いやいや、ないないない。だって、ずっと虐待されてたしねー。笑。だから家離れて暮らしてるしー』

っていう、笑ってはいたけど…私はとんでもないタブーに触れてしまった事に反省した瞬間だった。

簡単に言ってしまえば、世間からみれば不良とか、グレた子とかそんな子だったんだろう。

でも、アミちゃんは見た目は派手だったけど、そんな悪い子ではなかった。

おつまみを取り分けてくれたりとか、場の雰囲気を崩すような事は絶対に言わないし、飲み会で男と空気が悪くなる事があると、必ず女の子をかばうような…そんな優しい子だった。

いつ頃から、どんな虐待をされていたの?とか程度は?(心配という意味で)

かなり気になったけど…さすがに年も離れた親友でもない人に、傷口をいじられるのは(普通に考えて)嫌だと思ったから、私の中では『あまり触れてはいけない事』として印象に残った。

私だって、虐待は受けてないものの訳あり家庭の育ちだ。

他人から面白そうにズカズカ来られる事は勿論、綺麗ごとばかり並べてお節介やかれる事が不快な事はよくわかったいた。

私は慎重に距離感を調節したり、言葉を選んでいた。

おせっかいになってはいけない、というのは勿論だけど…何も気にしなくて大丈夫!とまではどうしても思えなかったからだ。


そしてアミちゃんは、無職といっていたけど何をして暮らしてたかというと…それは今でいうパパ活だ。

処女だからまだ怖い!っていえばいける!

との事で、セックスはなしで定期的に会ってお金をもらってるとの事だった。

本人が頼ってくれれば、その時は全力で力になろう!と心に決めていた

そうなるまでは、大きなお世話だと思ったし…それが一番ベストな距離感だと。

(家族とは離れて暮らしてるとの事だったし、今虐待を受けてるわけではない事。本人は過去の事以外はいたって明るい子だったからだ。仮にそれは表面上の顔だったとしても、私にはそういう親身な関係は求められていない、という答えを出した。)


そこから月日が経ったある日、歌舞伎町のドンキ前で久しぶりにアミちゃんに遭遇した。

私は見たことのない、女の子の友達と二人でいたけど、髪の毛もエクステ?をつけて長くなっていたし、すごく印象が変わって痩せていた。

『アミちゃんじゃない?めっちゃ久しぶりー!痩せたんじゃない…?なんかあった?』

と声をかけたら

『だってうちデブだったじゃん?!ダイエットしてるんだよぅ!☆』

って返されて、お友達と一緒みたいだったから『もし、なんか悩みとか困った事があったら気軽に連絡してよー?またね!』といってバイバイした。

それが思い切って、頼ってね?と声をかけた初めての時だった。(誰だって、話を聞いてほしい人、別にそこまでの仲じゃないと思ってる人がいるんだから、今までハッキリと言った事はなかった。)

ちなみに、これが私がアミちゃんと会った最後だ。


その次の日くらいだったかな…最初にアミちゃんを連れてきた子にメールした。(LINEとかない時代)

『昨日歌舞伎のドンキ前で、アミちゃんに会ったよー!なんかめちゃくちゃ痩せてたんだけど、大丈夫なんかな?なんか知ってる?無理な事してないといいけど…』(確かこんな感じの文章だったと思う)


『あー、なんかアミちゃん、今ホストと同棲してるらしくて…うまくいってないのか病んでるっぽくて。ODとか結構してるみたいだよー。お金が結構きついのか、ダイエットしてAV女優になる事にしたって聞いた。もう事務所も決まったらしいよ!』

これが返ってきた返事だった。

その時思ったのは、『あー、そうなんだね。』だった。

良い意味でも悪い意味でもなく、なるほどね。といった感じ。

精神科に通っていて、ODは時々しているのを知っていたし(自分もしていたからそんなに大きな事に感じなかった)

アミちゃんは、派手めの男の人が好きそうだったからそんなに彼氏にも驚かなかったし、AV女優になる事だっておっぱいがすごく大きくて若いし、本人さえOKならそりゃあ需要はあるだろうなーと思ったからだ。(AV女優という職業にも偏見がなかったし、出会ったころから時間が経って、年齢的にも問題がなかった。)


困ったときはいつでも連絡して欲しい事も言う事が出来たから、そこからは気にとめずに過ごしていたと思う。(また会う時もあるだろう、てな調子。)


もうかなり昔だから、そこからどの位時間が経ったか忘れたけど…たしか2か月くらい経ったある日の夜中、友達からメールがきた。(夏だった)

『急にごめんね。アミちゃんが死んだ。』


『…え?』

なんか頭の中が真っ白になった。


と、一つにまとめるのはとても大変そうなので②に続きます。

つづく。


お腹いっぱいシャウエッセンが食べたいです。