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塔2023年12月号若葉集より(好きだなと思った歌10首)

塔の会誌を読みながら、ああいいなと思った歌に印をつけています。印をつけただけだと忘れてしまうので書き写すようにしました。こちらではそのうち10首を紹介します。
短歌を読むときは、その歌との対話をしているような気がします。ひとりごとが多めになる。え?なんで?そうなの?なるほど。ほぉー。とか言っちゃってます。にやにやしたり顔を顰めたりうなづいたりしています。


快速の車窓から見るパラソルが等間隔に並ぶ海岸/音羽凜

常識がないと言われて常識はあの日環八にでも落としたのだろう/鈴木智子

炎昼の拳にふたつはたかれて革のミットが夏をみひらく/浅野馨

冷蔵庫(でいん)と押して閉めくくる。日付の変わらぬ日曜の夜/大西伸子

それぞれの番号が呼ばれる僕ら座って雨音も聞く銀行/瀬崎薄明

鉄橋を渡る電車の音を背にくれる川辺を歩く むらさき/則本篤男

夕立を浴びてしまったら死ぬんだよ 村田がしょうもない嘘をつく/藤田エイミ

脱水の効いてからりとハンカチは詩を消し去りぬリルケの薔薇の/宮里万里

台風の朝もパン屋はふかふかのパンのにおいをさせて立ちおり/吉村おもち

雷が会社のビルに落ちたこと夫は蜜柑を剥くように言う/丸山かなえ

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