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疲れやすくすぐ横になりたくなる人へ

私たちは日々食べたものを消化・吸収して、活動力である「気」を作っています。しかし、過食やストレスなど何らかの影響で消化系が弱ってしまうと、「気」が十分に作られなくなり、疲れやすくなってしまいます。

また、中医学で消化を担う「脾(ひ)」は全身の筋肉や手足をコントロールする臓腑とされているので、脾の弱りは疲れやすさのほか、筋力の低下や手足に力が入らないなどの症状を引き起こします。なので、疲れると直ぐに横になりたくなるという人は、まず脾(消化系)が弱っている可能性が高いです。

疲れやすくすぐ横になる人は、消化吸収力が弱って「気」をうまく作れない人です。

脾はジメジメに弱い

中医学で胃腸を指す「脾(ひ)」は、「湿を嫌い燥を好む」という特徴があります。脾はエネルギーである気をつくるほか、必要な水を取り込み、不要な水は排出するという役割も持ち合わせています。ただし、必要以上に水分が体内に入ってくると、処理が追い付かず過剰労働状態となり、脾が弱る要因となります。

水分代謝が追い付かず、体内によぶんな水分が溜まっている状態だと、外の湿気の影響も受けやすくなるので、湿度が高い時期はだるくなったり、軟便や下痢、浮腫みになったりする場合もあります。これを中医学では「内湿が外湿を呼ぶ」といいます。梅雨時期や台風時期に体調を崩す方は、暑い時期にたくさん水分を摂りすぎてるというケースが良くみられます。

夏にどこへ行っても冷たいものを飲んでいたら食欲がなくなったという経験がある方も多いのではないでしょうか。秋になったら食欲が出てきたという経験もありますよね。食欲の秋とはよく言われますが、中医学的にみると、空気が乾燥して、消化系の脾が楽に働けるようになってきたからと考えます。

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脾の嫌いなもの

脾を弱らせるもとは、脂っこいもの、甘いもの、味の濃いもの、冷たいもの、生ものなどです。疲れて食欲が落ちているときは、口当たりの良い冷たい麺類、サラダやスムージー、ヨーグルトなどを食べられている方も多いですが、麺類はあまり噛まずに飲み込むことが多く、消化しにくく負担となりますし、サラダやスムージーなどの生もの、ヨーグルトなどドロドロしたものも、乾燥状態で温かい環境を好む脾には負担となります。

夏になると「夏バテ対策食材」としてたびたび紹介されるオクラや山芋、納豆などのネバネバ食材も、実は乾燥を好む脾にとっては負担になることもあります。意外かもしれませんが、一般的には力をつける食材として紹介される「餅」も、ネバネバとした性質のため、消化しにくく負担となりますので、疲れやすく、すぐ横になりたくなるような方にはあまりお勧めしません。よく餅は腹持ちがいいと言われますが、「腹持ちが良い」というのは、言い換えれば消化しにくい、胃腸に負担になるという事ですからね。

疲れた時に元気をつけようと、焼肉やステーキなどの肉類などを食べる方も多いですが、これもタンパク質と脂肪が多い肉類は消化しにくく、胃腸には負担となるので、疲労回復には向きません。

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何を食べればいいの!?

と疑問を覚える方も多いと思いますが、このタイプの方は、脾の負担を軽減するために、とにかくしっかり噛んでから食べることがとても大切です。しっかり噛むって結構難しいです。私たちの口は常に飲みこませよう飲みこませようとしますからね。

御馳走様という言葉がありますが、「馳走」とは、準備のために走り回るという意味です。食事を頂くときは、材料を用意してくれた人、料理を作ってくれた人に対して感謝の気持ちを込めて、「ありがとうございます」というのを三回、心の中で呟きながら噛んでみてください。そうすると30回になります。一口ずつ「ありがとうございます」を3回唱えて食べましょう!

早食いの人も詰め込み過ぎ→噛まずに飲みこむという悪癖を生み出すので、箸置きを購入するのもよいでしょう。一口口に入れるたびに箸をおくことで、詰込みすぎによる早食いを予防できます。もう一つのおすすめは小さなスプーンで食べることです。口に入れる量が少なければ、噛み足りないこともへります。

もう一つ見逃しがちなのは、食事中に水分をとることもまた、脾を弱らせます。水やお茶、人によっては牛乳やジュースなどを飲みながら食べるという方もいますが、食事中の水分は、まだ十分に噛んでいない食事を、水分で流し込んでしまうことになることと、消化のための胃酸を薄めてしまうことになるため、消化のことを考えるなら、食事中に水分はとらない方が良いでしょう。そして濃い味付けではなく、出来るだけさっぱり味のモノを選びましょう。生ものや冷たいものを避けて温かい食事をすることも大切ですよ。

胃腸の機能を指す「脾」を元気にするには、健脾または補中という作用(食欲不振、疲労倦怠、体力や気力の低下、胃腸の弱りによるむくみ、軟便を改善するという意味)をもった食材がおすすめです。代表的なものをあげておきますので、加熱して温かい状態でしっっっっかり噛んで食べてくださいね。

健脾食材

うるち米、燕麦(オートミールの原料)、きび、黒米、玄米(めっっっちゃ噛んで)、発芽玄米(しっかり噛んで)、ハトムギ、紅麹、米麹、もち米(餅の状態だともたれやすい)、さつまいも、じゃがいも、タピオカ(ドリンクではだめ)、むかご、八頭、山芋(生はだめ)、いんげんまめ、黒豆、ささげ、大豆、納豆(湿気の多いときは不向き)、ひよこ豆、あさつき、エゴマの葉、エシャロット、えんどう豆、枝豆、オクラ(湿気の多いは不向き)、かぼちゃ、カリフラワー、小松菜、さやいんげん、ずいき、そら豆、青梗菜、なずな、人参、にんにく、にんにくの茎、ネギ、白菜、ひらたけ、ふくろだけ、ブロッコリー、マッシュルーム、ローズマリー、アボガド、干し柿、ココナッツ、さくらんぼ、サンザシ、なつめ、ライチ、龍眼、りんご、クリ、蓮の実、菱の実、ひまわりの種、あじ、いしもち、いわし、うに、カタクチイワシ、舌平目、すずき、タイ、ツバメの巣、トビウオ、はた、はも、ひらめ、ふな、ぶり、うずら肉、鴨肉、牛肉、牛の胃、クジラ肉、砂肝、馬肉、豚の胃、烏骨鶏の卵、うずらの卵、卵黄など

*果物はできるだけ室温で。また、食後は温かい湯、茶などを少量飲むほうがいい。



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