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ストック(サブスクリプション)ビジネスのノウハウ~その3

ストックビジネスを10年以上続けている私のノウハウを書いてて3回目の連載となります。前回はユーザー数が増えることで徐々に経営が安定してくるということを書きました。ここで見過ごしがちなのが解約するユーザーです。月に100の新規契約があったとしても100の解約があれば、ストックビジネスは決して成長はしません。

この状態はいわば穴が開いたバケツに水を汲むようなものです。いかにこの穴を防ぐか、すなわち解約数をいかに減らすかが実はストックビジネスの一番のポイントだったりします。

使ってそれ以上の効果を出していただく

前回の記事でも書きましたが、まずは自社商品やサービスを使っていただくことが大前提です。使っていただけなければいつかは解約されるでしょうし、こちら側としても頂いた対価に対する役務を果たしていないことになります。これは絶対に避けなければいけません。

そのために、カスタマーサクセス部を設立して、まずは使っていただくことでお客様から頂いている対価以上のサービスを提供する、そして、年払いではなく、費用が少額な月払いにすることで解約をよぎらせないということを書きました。

ただ、そうしたとしても、どうしても解約される方は出てきます。そんな時にぜひヒアリングしたいのが「解約理由」です。なぜ解約することになったのかをぜひ聞きたいところです。

ここで気を付けなければいけないのは、まずは「はい、解約でございますね」と受け入れることです。決していきなり引き留めてはいけません。その解約の処理をする上で、「差し支えなければ解約理由をお教えいただけますでしょうか。」とお聞きすることですね。これ、とても大切です。

とても聞きづらいことではあるのですが、サービス改善にすごく役立ちます。ただ、多くは本音を語っていただけないまま解約いただくケースもあるので、もし本音で語っていただいた時は真摯に受け止めてサービス改善に役立てたいですね。

もう一つ解約理由を聞くことのメリットとしては、廉価版があればダウングレードの提案ができることです。「実は○○というプランがあり、〇〇だと△△という制約はありますが、ビジネスに影響が無く使い続けることができ、お客様の状況にはピッタリかと存じます。また、いつか本格的にお使いの場合、初期費用なくアップグレードもできるのでいかがでしょう。」という感じです。

先にも書きましたが、無理やり引き留めるのはいずれ離脱になるので決してしてはいけないことだと考えています。Webサービスであれば、解約しづらいもしくは解約画面などが隠れているようなUIも避けたほうがいいでしょうね。

新規顧客を獲得するのは継続いただくお客様を獲得する5倍の手間や費用が掛かると言われていますし、実際にそう思います。

要するにバケツに水を入れる手間よりも穴を防ぐ方が楽ということです。せっかく自社を選んでいただいたお客様に対して、「釣った魚に餌をあげない」状態は絶対に避けたいところです。むしろ、選んでいただいたお客様にこそ全力で向き合う必要がストックビジネスにはあるということです。

これは解約理由からも見えてきます。最初はいろいろとやってくれたけど、あとは全然連絡がない、という解約理由が多ければ高い確率でそうなっているのかもしれません。

ユーザー数が増えてくると、お問い合わせの対応で精一杯となり、どうしても受け身になりがちです。ですので、こちらから連絡して使い方を提案したり、もし今の使い方に課題があればそれをお知らせするなど定期的なアプローチは継続に大きなプラスになります。それをするためにも受け身のカスタマーサービスではなく、こちらからアプローチする「カスタマーサクセス部」が必要というわけです。

なかなかできないことではありますが、愚直に定期的にアプローチできればお客様の心をつかみ継続につなげることができるでしょう。これにはさらにプラスのメリットがあり、こちらからアプローチすることで追加の発注をいただくこともできたりします。

長く続けていただいている方には時に無償でサービスをしたりできればより感動をうみますね。これは現場に、ある程度の裁量を与えておくと効果的です。(たとえば継続2年以上のユーザには5,000円までは事後報告で無償でサービス提供可能とかですね。)

お客様の期待を1mmでも上回れば感動につながる

これ、とても大切です。お問い合わせいただく際、お客様は課題を解決したいなど期待を持っています。それに期待通り応えるのは普通のサービスです。これに1mmでも超えられればお客様の感動につながります。

たとえば、以前、コードレス掃除機の充電が早めに切れるようになったので、充電池を注文しようと掃除機会社のカスタマーサービスに電話しました。

こちらとしては注文する気満々で電話したのですが、その際、実際に電池状態をヒアリングいただきました。実はその掃除機を強モードで動かしていると動作時間が短くなると説明書に記載があり、確かにその稼働目安時間とほぼ一緒でした。

そのため、「お客様の充電池は正常ですので購入する必要はないですよ」と。これにはかなり感動しました。「はい、わかりました。」と注文にうつるのではなく、まずは使っていただくことを最優先にしたサポートに感動して、今は自宅も含めてすべてその掃除機を使っています。周りにもその掃除機会社を宣伝していますので口コミの効果もありますね。

こういった感動が口コミや継続にもつながりますので、1mmでも期待を上回る感動というのが継続にはとても必要だったりします。掃除機のサポートの例のように、いい意味で期待を裏切るというのもありですね。

さいごに

最後に忘れちゃいけないのが一人ひとりが会社の代表だということです。99%が期待を上回る完璧なサポートをしていても1%が期待を下回るサポートをしてしまったら、会社に対する印象が一気に悪くなってしまいます。実際にそんな経験ありませんか。

そのため、対お客様の部署では特に一人ひとりが会社の代表として一定以上のサービス品質を提供できるように上司はしっかりと目を光らせておく必要があります。もちろん日々の指導や教育も必要になりますね。

中小企業の場合だと、教育や研修といったところはどうしてもなおざりになりがちなところなのですが、ストックビジネスに本格的に参入する際にはここはぜひ取り組みたいところです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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