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2020.10.20(火) 不器男記念館の賑わい

一昨日の秋満喫ツアーに引き続き、昨日は宇和島から大勢の方が不器男記念館にお越しになられました。ご要望があれば誠悦ながら、川嶋ぱんだが芝不器男さんの年譜や作品について解説させていただいております。今回も例により川嶋ぱんだ が解説をさせていただきました。大勢のツアーで来られる方は、だいたい不器男さんについての予備知識がないのですが、昨日の方々はたいへん勉強熱心で多くの方が芝不器男さんについて既に知っておられました。また、それだけではなく、芝不器男さんの俳句を暗唱されている方もおられたいへん驚きました。

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あ な た な る 夜 雨 の 葛 の あ な た か た 芝  不 器 男

芝不器男さんが一躍有名になるきっかけとなった作品です。この句には「仙台につく。みちはるかなる伊予のわが家をおもへば」という前書きがあり、ふるさと松野町に想いを馳せた作品だということが分かります。この句は不器男さんの人生を語るときにとても重宝するので毎回ご紹介させていただいております。


さて、この句には、際立って特異な点があります。それは、「あなたなる」ではじまって「あなたかな」で終わるという俳句の構造です。どうしてこのような特異な構造になったのでしょうか。「あなたなる」の句には、実は壮大な推敲過程とされるものがあります。この句ができた当初 「陸奥の国と伊予の間の真葛かな」だったと不器男さんの俳句手帳をみた人が古い雑誌に書いていました。それがいくつかの推敲を経て、最終的に「あなたなる夜雨の葛のあなたかな」になりました。原型がなくなってしまったんですね。芝不器男さんの作品にはしばしばそういうことが起こります。不器男さんの作品は推敲をするうちに原型から遠くかけ離れたものに変わってしまうのです。

こういった大胆な推敲過程が、内田慕情さん(芝不器男さんのライバル)が「情懐の写生」と不器男さんを評した大きな手掛かりになるような気がしています。

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