詩を思い出す。 



茨木のり子『詩のこころを読む』を読みました。


この本は、茨木さんのこころに響いた折々の詩について、解説が施されています。
素晴らしい詩人は、素晴らしい文章を書きます。
そして、読者刺激し、読者に行動を起こさせます。

私の場合は、これまで詩はあまりよんだという意識がありませんでしたが、これまで読んだことのある詩についての記憶の扉がぱかぱかと開いていきました。

例えば小学3年生の副教材で詩の本があり、それをよく音読させられていたのを思い出しました。そのなかの詩が気になって思い出せなくて、数年前に調べたときは、分からなかったのだけれども、また気になり出して調べてみると誰の詩だったかが判明しました。それは畑中圭一さんの「さかなやのおっちゃん」という詩でした。

思い出の詩

さあ こうてや こうてや
ててかむ イワシやでぇ
おてて かみまっせ
    ほんまかいな 
    おっちゃん
 
さあ こうてや こうてや
とれとれの イワシやでぇ
まだ およぎまっせ
   そんな あほな
   おっちゃん
 
さあ こうてや こうてや
ぴんぴんの イワシやでぇ
ぴぴんと はねまっせ
     もうやめとき
     おっちゃん  

畑中圭一「さかなやのおっちゃん」


たった十二行の詩ですが、ゲラゲラと笑ったものです。
この詩は威勢のいい魚屋のおっちゃんが大袈裟に鰯の活きの良さを宣伝し、そこに、こどもがツッコミを入れるという構成で描かれています。
口に出して読んでみると、つい早口になってしまうのは魚屋のおっちゃんというキャラクターと畳み掛けるように繰り出される大阪弁のためでしょう。
子どものセリフも6音5音となっていてリズムを生んでいきます。

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