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がんばろう北陸⑦ちょっと目眩、のち涙


能登半島地震のことを書きます。辛くなる方は読むのを控えてください。


1/6(土)
早朝、大きな横揺れ。
続いて小刻みな揺れが、次第に大きくなる。
こわいぃぃ…(泣)
地震速報を見ると震度3。こればっかりは、慣れるということはない。

午後から夫と買い物へ。
ユニクロで夫はフリース、私は暖パンを購入。
次に、食料品購入のため、ユニクロ隣のスーパーへ。
昨日までは、商品の補充が止まっている感じだったが、今日はあふれんばかりに商品が並んでいる。そして、大勢の買い物客でごった返している。
年の瀬の買いもの風景かと見まごうほど。
ところが、どういうわけか、店内に流れているBGMが「聖者の行進」なのだ。まさかと思って、足を止めて耳を澄ますも、やはり「聖者の行進」だ。
うーむ、なんで?
誰もそんなこと気にも止めず、喧騒の中、買い物している様子を眺めるうち、軽く目眩を覚えた。
そう見えるだけで、実際はそうとは限らないのだけど。
早々に買い物を切り上げ、帰宅する。

月曜日。
壁から留め具ごと外れた書架を戻すため、業者さん来館。
書架を戻す前に、書架から落下した約2000冊の本を別の場所に移動するとのこと。あとで私たち図書館職員が棚に戻すことに。

留め具ごと外れた書架のある場所は一体どんな揺れだったのか。真上の階の同じ場所でも、約1500冊の本が落下した。
それでも、書架が倒れることはなかった。ここに配架されていたのは、芸術・美術関連の本で、書架の一番下の段には、大型で、かなり重たい、美術全集が並んでいた。それが幸いしたのだろう、転倒は免れていた。
そこでは、作業員の中年男性が、落下した本を隅にランダムに積み上げていた。ひざの高さくらいの本の山がいくつもできていた。
私はそれを棚に(分類記号順に)戻していく作業をすることになっていた。
「おつかれさまです」と声をかけて気づいたのだが、作業をしている中年の男性は外国(ブラジルの方のようだ)のおじさんだった。

おじさん :「私、日本語わかりませんけど、(これで)大丈夫ですか?」
私 :「全然、OKです。サンキュー」
って、何を言っているのか、私w

おじさんが積み上げた本は、上下が逆さまになっていることもなかった。本の埃をはらい、丁寧に扱ってくれていた。

私が棚に本を戻しはじめて、しばらくすると、
「あなた、早いですね!」「素晴らしいです!」とほめてくれた。
同僚も加わり、2時間ほどで作業は終わった。
私たちが「お疲れ様でした」と声をかけると、
おじさんは「おめでとうございます!」と返してくれたのだった。
「おめでとうございます」!?
なぜだか、少し涙が出た。
おじさんは、知っている日本語の中で一番ポジティブな意味の言葉と思って、言ってくれたのだろう。きっと。

外国で被災すると、大変なことも多いはず。おじさんのお家は、ご家族は大丈夫だったのだろうか。
伝える術のない自分がもどかしい。

ここ数日、いろいろと悶々としていたが、おじさんの「おめでとうございます!」で、全部吹き飛んだ。
この日、日本から一番遠い国から来ているおじさんに励まされたのだった。



久々の投稿になりましたが、読んでくださりありがとうございます。
今思うと、この頃は気持ちが不安定でした。もう大丈夫です。
今日も北陸の伝統工芸品をひとつご紹介します。


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