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混ぜるな危険。エントロピーの増大とは。

『動的平衡3』


『生物と無生物のあいだ』の著者である生物学者福岡伸一先生の、新刊である『動的平衡3』を読んでいます。
私たちの体では、脳が司令を出していると言うよりは自立分散的な細胞の集合体である器官がローカルに動的平衡を保っており、脳はそれらからの情報を経由させるサーバーのようなものだと。
また、胎児が生まれるとき、母親の膣内をくぐるときに獲得する最初の腸内細菌と免疫について、などなど、人体が驚くべき生命体であることについての話が次々と出てきて興味が尽きません。

その中でエントロピーという言葉が出てくる。

ここでは生命現象の秩序をだんだんと失わせて増大していく無秩序、一言で言うとそんなイメージです。エントロピーは秩序だった生命活動を、徐々に阻害します。例えば老廃物が次々排出される仕組みの中でそれが阻害されることにより排泄物、不要なものが溜まってしまい、細胞の新陳代謝ができず病気になる。細胞を生まれ変わらせるという秩序に異常が起こると秩序が壊れやがてエントロピーが増大して生体は死に至ります。

たとえば、フェルメールの絵が経年劣化してしまうこともエントロピーの増大と言えるとのことです。

エントロピー増大の法則は宇宙の大原則

この世界の全てものごとは時間の経過とともにエントロピーが増大する方向に進む。
(中略)
つまりこの世界ではあらゆる秩序はあまねく崩れ、乱雑になっていく方向にしか進まない。

福岡伸一著『動的平衡3』

価値を生み出すこととは

価値を生み出すこと。商品を作り出すこと。ビジネスモデルを考案すること。利益を生み出すことは、結局のところエントロピー増大の法則に抗って、乱雑さの中から秩序を創出することに他ならない。
(中略)
つまり、ありていに言えば、商行為とは、使ったエネルギーよりも作り出した秩序により大きな価値を創造すること、そしてその秩序が再び無秩序に還るまえに、その状態を転移することである。

福岡伸一著『動的平衡3』

たとえば、川底の土砂の中から、砂金を取り出してくること。精製は乱雑さの中から秩序を生み出す作業、つまりエントロピーを下げる行為である。だからそこに価値が生まれる。逆に、土砂の中に砂金を混ぜること。足し算なので価値が加算されているように見えて、一瞬にして価値は無に帰す。エントロピーが増大するからだ。いったん混ぜたものを再びセパレートするには膨大な労力を要する。しかも混ぜることは常に危険を孕む。混ぜることで、乱雑さがより拡散することになり、大きなリスクを生み出しうる。

福岡伸一著『動的平衡3』

私のnoteをお読みの方にはご存知であると思いますが、トランスイデオロギーって、この秩序を生み出すこととは逆の行為なんですよね。
生得的女性の集団に生得的な男性を混ぜる。それらは砂金(=女性)ではなくて砂金に似せた砂粒です。これまではせっかく性別別にシステムを運用していて、秩序を確保できていたはずです。

女性スペースでの混乱、加害の可能性は言うまでもなく

医療のデータも、生得的女性のデータに、はからずも生得的男性のデータが混ざるようになります。一度混ざってしまうと、不純物を取り出す作業は難しく厄介です。
同時にそのデータの価値、信頼性が下がります。

女性による犯罪者のデータ、これも変わっていきます。性別変更の手術要件が撤廃されたり、セルフIDの運用が始まったりすれば、「女性」による性犯罪のデータも増えていくでしょう。(イギリスでは不自然なほど女性の性犯罪が増えました。)

これもエントロピーの増大です。

少なくとも後天的に女性になった人のデータは分けて運用してほしいです。
せめてトランス女性ならトランス女性独自のデータを集計してほしい。
女性のデータの中にそのデータを隠さないでほしい。

そういったデータの汚染について、トランスアライの文系の学者たちは軽くみているのではないでしょうか。


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