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途上国の偽造医薬品が怖すぎた:その現状と身を守る3つの方法

はじめに

こんにちは、今回は途上国で問題となっている「偽造医薬品」についてご紹介します。日本でも製薬企業の不祥事が話題になったりしますが、途上国では比にならないくらい深刻なんです。この記事を通して、その現状と身を守る方法をお伝えします。

偽造医薬品の特徴

まず偽造医薬品は様々な特徴があります。成分が全く含まれていないもの、成分の量が不十分なもの、そして別の成分が含まれているもの等。これらは「counterfeit medicine」や「substandard and falsified medicine」とも呼ばれ、特に途上国で深刻な健康被害を引き起こしています。

途上国での深刻な現状

WHOによると、途上国ではなんと薬の約10分の1が偽造医薬品と推定されています(1)。
実際に健康被害も出ていて、アフリカでは推定12万人の子供が偽造医薬品によって命を落としています(2)。これは偽造医薬品により本来治るはずのマラリアが治らなかったためです。


私自身の経験としては、実際に途上国の学会に参加した際、多くの演題が偽造医薬品に関するもので大変驚きました。


また、下の写真のように実際に怪しい薬にも出会ったことがあります。

パプアニューギニアにて

本来遮光が必要なお薬が遮光したりしなかったり、でした。なんか怪しいですよね。

偽造医薬品が蔓延する原因

では、なぜ途上国でこのような事態が起きているのでしょうか?主な原因は2つあると考えます。

  1. 自国で医薬品を生産できず、安価な中国産・インド産の薬を輸入してしまう。

  2. 途上国では輸入の規制が緩く、簡単に偽造医薬品が入ってきてしまう。

これらの問題はなかなか改善されません。

偽造医薬品への取り組み

一方で偽造医薬品に対する対策は確実に進められています。まずは、WHOを含む国際機関が中心となって、偽造医薬品を監視するシステム(サーベイランス)を設けています。このシステムは、現場からの情報を基に調査を行い、偽物が見つかればすぐに警告を発する仕組みです。
また、途上国では輸入規制を厳しくする動きがあり、特にアフリカのAfrican Unionはこの問題に力を入れています。

また現場レベルで見ると、
例えば国境なき医師団は、途上国で医療支援を行う際、「医薬品の現地調達はせず現地まで送る」という方針を徹底しています。これも現場でできる対策の一つでしょう。

途上国で偽造医薬品から身を守る3つの方法

では、個人レベルではどのように偽造医薬品から身を守れば良いでしょうか?以下に3つ挙げてみました。

1. 日本から薬を持っていく

当たり前ですが、最も確実な方法は日本から薬を持っていくことです。これにより、現地で偽造医薬品に遭遇するリスクを避けられます。
ただし、持ち込む際は、日本の薬が現地で違法になる可能性があることや、英文の文書がないと空港で問題になることがあるので注意が必要です。特に抗ヒスタミン剤や眠剤、コデインなどは要注意です。渡航前にしっかり持ち込みオーケーか調べる事と、「くすりのしおり」などのサイトで薬の内容を事前に印刷しておくと良いでしょう。


2. 外国人向けの医療施設を利用する

もし現地で薬を購入する場合は、外国人向けの医療施設を利用するのがおすすめです。これらの施設は通常、品質が高く信頼できる薬を提供しています。価格は少し高めかもしれませんが、安全を考えるとコスト以上の価値があると思います。

3. 認可された医療施設を利用する

現地で薬を購入する際は、無認可の薬局や病院を避け、認可された施設を利用することが重要です。
例えば、私が調査したケニアの農村地域では、薬局の約7割が無認可でした。こうした場所では、薬の入手経路も怪しく偽造医薬品が入り込みやすいとされています。
ただし、認可された施設でも偽造医薬品がまぎれ込む可能性があるため、購入時は常に警戒が必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?途上国における偽造医薬品に関して参考になりましたか?偽造医薬品の問題は、少しずつ対策が進んでいますが、いまだに多くの健康被害が出ています。実際に現地に行く際は、偽造医薬品から身を守ることが重要ですね。

以上です。最後まで読んで頂きありがとうございます。
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参考文献:

  1. https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/substandard-and-falsified-medical-products

  2. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4455082/

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