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ふたりと2匹のための家づくり④

「年収はこれぐらいで~…貯金はこれぐらいで~…将来は~…」
初対面の人(ファイナンシャルプランナーさん)にいきなり自分のすべてをさらけだすので緊張します。
少ない貯金額を白状するときは、相手の表情を見ることができませんでした。
(これだけしかないのに家を建てようと思っているの?)
(子どももいないんだからもっと働けよ)
そんな風に思われていたらどうしよう…とドキドキしていました。

優しそうなFPのおじさんは質問をしながらパソコンに何かを入力します。
「できました」と言って見せてくれたのは、夫や私の年齢と今の収入、これからどれぐらい収入が増えていくのか、家を建てた場合の毎月の返済額などがエクセルのグラフでずらりと何十年も並んでいました。

彼によるとわたしたちは意外と余裕があるみたいで、ローンの借入額は37,000,000円でした。

3千700万円…!!
めまいがしてきました。毎月の返済額は13万円です。今の家賃の倍…。
同席している建築会社の営業さんも「良かったですね~」とニコニコです。
ちっとも良くないのです。わたしたちはふたりとも奨学金の返済だってあるし、旅行にだって行きたい。マイホームにすべてを捧げることはできないのです。

それから「子どもは3人は欲しいですか?」という質問、からの「2人以上が国民の義務ですよ」とのこと。こどもの「こ」の字だって言ってないのに。どうして断定するの?
この時点でわたしのMPは0になってしまいました。

しかし、ここからがFPさんの本領発揮でした。
どうやらFPさんは保険代理店から派遣されてきた方で、家計診断というより保険の紹介がメインのようでした。
一般的には銀行からお金を借りる際に付属の団体信用生命保険に入るが、フラット35で借り入れをした場合は団信には入らずに、自分で団信のかわりとなる保険に入るのがおすすめとのことでした。
もしも夫が亡くなれば親戚もいないこの土地に留まるよりも、家は相続を放棄して地元に帰って親と協力しながら子どもを育てて毎月10万円の保険金を65歳まで受け取れるほうがいいと言われました(子どもがいる前提で)
たしかにその保険は魅力的です。でも、家づくりを楽しみにしていたのに、いきなり「死」について話されるとは思ってなかったので、気持ちが追い付かず泣きそうになりました。
それに、もし本当に夫が亡くなってしまったとして、一緒に過ごした思い出のある家を簡単には手放せないと思います。

こんな感じで面談は終わりました。勉強にはなったけれども、気持ち的にはすごく疲れた1時間。
営業さんから「家のプランを作るのでまた来週来てください」と言われました。押しに弱いわたしたち…。約束をしてしまいました。

1週間後、家についての要望とか何も聞かれなかったけど、それが普通なのかな?後から手直ししていく感じなのかな?とか、考えながら会社に向かいました。

できあがったプランはすてきだったのですが、ふたりと猫2匹には広すぎました…。
幸い今回の打ち合わせは、優しい女性の営業さんとだったので夫とふたりで考えた要望をぶつけてみました。

・1階にビルトインガレージ+夫の作業スペース
・寝室とゲストルーム(兼わたしの作業部屋)とLDKの2LDKでいい
・マンションのように基本的には1フロアで暮らしたい
・猫たちのための広いトイレ

それからまた1週間後に打ち合わせがありました。
1階は大きなビルトインガレージで2階に生活空間、さらに7帖くらいのロフトがついていてゲストルームとして使えるようになっていました。
この間取りを見たときが、この会社で1番テンションが上がった瞬間でした。でも、予算を見ると3,700万円です…。
「どうですか?」と聞かれ、間取りはとっても良いですが予算が…と伝えると「そうですか…でも予算を下げるとおふたりの希望通りにはならないと思います」と言われました。
「今契約したらキャッシュバックがある」
「これからオリンピックもあるので、金利がどんどんあがる」などなど、営業さんは契約を迫ってきます。
でも、まだ土地も決まっていないのに家の契約をするなんて…とわたしたちは思っていました。営業さんによると「まずは建築会社を決めて契約してから土地を一緒に探していく」そうなのですが、そんなものなのかなぁ…?
それに見積もりを見ても、何にいくらかかってこの金額なのかというのが詳しく書かれていませんでした。

結局、ふたりで話し合ってまた連絡しますと伝え、この日は帰らせてもらいました。
帰りの車の中で「もう行きたくない」と言ってしまいました。いつのまにか家づくりの「楽しい」という部分がなくなっていたのです。
やっぱりここの営業さんとは何となく合わないし、そもそも高すぎる。
営業さんの言うように金利がどんどん上がって、結果何百万も損をしたとしても、本当に信頼できる会社で家を建てたい…。
そんなことを夫と話しながら、これからは自分たちでも土地を探して、別の建築会社にも話を聞きに行ってみよう、ということになりました。

これまではネガティブな内容ばかりでしたが、現在の建築会社さんに出会い、今はふたりとも心から「楽しい!」と思いながら家づくりを進めていってます。次回はそのことについて書いていきます。

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