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日々よしなしごと~貧乏な国日本?~

最近、日本は貧乏な国なんて言われているらしい。

いろんな経済指標とか幸福度ランキングとか世帯収入とかいろんな統計で、かつてGDP世界第二位で豊かな国日本!を標榜していたのが、どうやら転落?してそう呼ばれてしまうようになった・・・のか?

確かに、少なくとも私たち世代(ほぼ70代)からみると、今の若い方の賃金もなかなかアップしないようだし、政府は一生懸命賃上げ賃上げと言っていますが・・・
とはいえ、どの国でもいわゆるお金持ちもいればそうでない人もいる。そういう意味での格差は日本でももちろんあって、最近は大きな問題になっているが、その部分をとらえて貧乏な国日本と言われているのだろうか?

冒頭の写真は、先日近くの味噌麹屋さんで買い物したら、お店のおばあちゃんからいただいた天然鮎の塩焼き。
買い物をして清算済ませて出ようとしたら、奥からおばあちゃんが出てきて
「鮎食べられんけ?(鮎たべない?)」と声をかけてこられた。
これから買い物に行くので一旦遠慮したのだけど、
「貴重なものだから持っていかれ」と分けてくださった。
せっかくの大事な鮎、一旦帰宅し再度出かけることにした。

そういえば、店に入る前に、小さな車のハッチバックを開けて、おじいちゃんとおばあちゃんが何やらやっていた。私はさっさと店にはいったのだが、夫がそのやりとり見て「なんですか?」とのぞき込んだら、鮎がいっぱいあって、中には生きているのもいて思わず「すごいですね!と言ったと。「あのおじいちゃんは鮎釣りの名人だよ」と言っていたのは本当にその通りだった。
まあ、見られてしまったので?お裾分けするか、となったのかもしれない。
ラッキーというかなんというか 笑

鮎は4匹あって、昼食に1匹ずつ塩焼きにして食べたが、グリルで普通に焼いただけでもその美味しさといったらまさに絶品! 夜にまた1匹ずつ食べて、ほんまにうまいわ!!こんな天然鮎をいっぱい捕ってくるおじいちゃんは名人に違いない!
めっちゃラッキーだったなあ!

その時ふと思い出したのが、以前見た落合陽一とひろゆきの対談の中のひとこま。
あの論破王?と呼ばれているひろゆきはその時すでにパリ在住だったと思うが、彼が落合陽一に
「なんでまだ日本にいるんですか?」と聞いたのだ。
最近の若い成功者はみんな日本を脱出して海外で暮らしている人が多いようだが、彼らには日本は魅力のない国になったのかもしれない。だから落合陽一のような今をときめく若き天才教授がなんでいつまでも日本に?という疑問からだったのだろう。
その質問に、落合陽一は
「いや、ぼくね~鮎が好きなんですよ~」と答えたのだ。
おそらくそれを聞いたひろゆきは、????な感じだったのかもしれないし、私もびっくりして吹き出しそうになったが、あとでものすごく納得できることだなあと思ったのだ。
この天然鮎を食べてみて、これが食べられない海外に行ったって・・・
かなり大げさかもしれないけど、”だから”日本にいるというのがとても道理に適っていると私は思う 笑

と、ここまで
実は最初このnoteで、まだまだ日本の地方にはこんな豊かな自然とおすそ分けの文化が残っているんだから、「日本は貧乏」などと言われるのはお門違い・・・と書こうと思ったのだが、そんな簡単なことじゃないなと思いなおした。

いろんな統計などを見ると貧困家庭の割合は地方の方が高いし、当地でも同じような状況なのだと思うと、こういう情緒的なことだけをとらえて貧乏ではないと語るのは無責任だなと思った。毎日の暮しの中で、食べることも必死でフードバンクなどの支援に助けられているという家庭の人にとっては、豊かな自然だとかすそわけ文化は素晴らしいとかいうのは、いかにもノー天気と思われるだろう。

それでも私が言いたいのは、単に経済指標とかランキングではない何か。日本に暮らすことでしか味わえないsomething good.
離れがたい何か。
そういうものが、直観としてやっぱり地方の方が多いように思うのはあまりに単純な見方だろうか。

おすそわけ文化は、助け合いとは少し違う。
この鮎だって、私たちが貧しそうだから分けてやろうと思ってのことではないし、たまたま、思わず覗き込んできた夫が「すごいですね!」と言ったことで、うれしい釣果と絶品の味を食べさせてあげたいと思ってくださったのだと思う。
家庭菜園で成りすぎた野菜をもらうとか、うちでもたまに親せきから送られてくる釜揚げシラスもご近所におすそ分けしているが、貧しいお宅に施し的にしている訳ではない。当然だけど。
夫婦二人で食べるには少し多いから、というのもないではないけど、美味しいものを共有したいというか食べて欲しいなと思うからだ。

実際の貧困や格差の問題は、地方に住む私たちも、痛みを伴う事実に向き合い認めることも大事だし、何かできることがあればしたいと思う。
貧乏な国日本というのは、ある一面から見るとそうだろうと認めるけど、一方でこんな小さなやり取りの豊かさや幸福感はあるのも事実で、ひとことで「貧乏な国」と言ってしまうことにとても違和感を感じるのだ。
いやいやそんな甘いものじゃない!と言われるかもしれないが。
日本という国全体が貧しい寒々とした国ではないと思う。まだね。

しかし・・・・あの絶品鮎は二度と食べられないだろうなあ




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