「わたしは幸せになってはいけない」—自罰思考から解放されるまで
記事執筆日:2016年12月11日
※作者注:この当時はまだカウンセラーをやっておらず(将来やることも予定になく)、また、境界性パーソナリティ障害も寛解していませんでした。
前回「メンヘラ彼女と別れたい男友達の相談をメンヘラが受けてみた」という記事を書いたら、相談者本人に「金払え〜!」と言われたので、今回は自分の話を書く事にする。
(ちなみに相談者には「報酬が発生してないから払わない!」と突っぱねた。)
メンヘラ全員がそうなのかどうなのか分からないが(境界性人格障害の特徴なのかも知れない)、わたしはずっと「幸せになってはいけない人」だった。
もうちょっと正確に表記すると「自分は幸せになってはいけないと思い込んでいる人」。
口では「幸せになりた〜い!」と言ってはいたが、行動は「わざわざ自分が不幸になると思われる池へ全力へ飛び込んでいく」という感じだった。
東にヤリ捨ての男いれば東の池に落ち、西に不倫の種あれば西の池に落ち、というぐあいに。
メンヘラゆえに大した収入もないのに無理やり遠方へ行って一人暮らしをし、最終的に消費者金融へ手を出したこともある。
いやあ、返しても返してもなくならないんだね、あれ。
(今は完済しました)
不幸な時は悲しくて悲しくて毎日泣いていたけど、同時に安心もしていた。
「やはりわたしはこういう目に遭うべき人間だ」「何をやってもダメなんだ」という思い込みの沼に安住していられたから。
だから突然いいことが起きると猛烈に不安だった。
「こんな幸せ、ずっと続くわけない!!」と自分に呪いの言葉をかけつづけ、少しでもその幸福にヒビが入るようなことがあれば
「ほーらね、やっぱり自分は幸せにならないんだ」と沼に逃げ込んでいた。
何でそうだったのかは、はっきり分からない。
きっと幾重にも理由はあったのだろうけど、わたしはものすごいマザコン&親戚コン(親戚コンプレックスってあるのか?)だったので、「彼女・彼らの期待通りの自分になれなかった」という思い込みが最大級の理由だったように思う。
「だからわたしはずっと罰を与えられなければならない」「そしてわたしはずっと償わなければいけない」「むろん幸せになどなってはいけない」という風に。
そしてその「罰を受ける理由」は年々増えていった。
というより、無理やり作り上げていった。
筆者には両親の離婚のため1歳〜21歳くらいまで一切会う事がなかった父親がいるが、再会した父親がだいぶクズだったので
「こんなクズの父親から生まれた自分はやはり幸せになってはいけない」と罰を受ける理由が増えた。
自分に良くしてくれた友人が突然死した時も、やはり「罰を受ける理由」が増えた。
「あの人はわたしなんかに親切にしてくれたから死んだのだ」「そんな自分はやはり幸せになってはいけない」と。
ただそれは、その時その時で「ピロリロリ〜ン! 罰LVが5になった!」と自覚していたわけではない。
無意識だった。後で気づいたのだ。「わたしは自分で自分に罰を与えてるし、それを受ける理由を増やしている」と。
そう気づく前までは、自分が不幸なのは周りの環境や自分の運のなさのせいだと思っていた。
違う。わたしは「アタシにゃ不幸がお似合いさァ」と昭和の歌謡曲のように歌い続け、そのイメージ通りの歌手になるためにわざわざ不幸を探しては飛び込んでいたのである。
結論から言ってしまうと、親や家族や親戚の期待通りの自分になれなくても、血を分けた肉親がクズでも、大切な友人が突然死しても、別に幸せになっていい。
「幸せになりたい」と叫び続けるのはむなしくて辛いが、「幸せになってもいい」くらいのスタンスでいるとそんなに辛くない。
一番辛いのは「自分は幸せになってはいけない」と思い込むことだと思う。しかも無意識だとなおタチが悪い。
「部屋を汚いままにしているのは、自分はそういう汚い場所に居るのがお似合いだと思っているから」というのをどこかで見たことがある。
わたしは依然として掃除が苦手だが、前より少しは、ゴミをすぐゴミ箱へ持って行くようになった。
「汚い部屋がお似合いの自分」「どうしようもない不幸がお似合いの自分」ではなくなるように。
これから先、ぴかぴかの部屋にもぴかぴかの人生にもおそらく住めないだろう。
だけど、目にとまった小さなゴミを少しずつ捨てられるような人生を、生きていけたらと思う。
蛇足かも知れないが、現在のパートナーに「友人はわたしなんかに親切にしてくれたから死んだのだ。わたしに関わるとみんな不幸になる!」と号泣しながら言ったら、「落ち着いて! あなたにそんな特殊能力はないよ!」と言われた。
確かに、と思った。
<了>
【2022年補足】
・この記事は、かつて「メンヘラ.jp」というサイトに寄稿した文章です。
現在はサイトごと閲覧できなくなっているのですが、この記事はかなり好評だったので、「同じ悩みを持っている人にまだ読んでほしいな」と思い再掲しました。
・このとき私に「あなたにそんな特殊能力はない」と言ったパートナーとは、現在も仲良く一緒に暮らしています。
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◎アイキャッチ写真について
撮影:いしとびさおり(Tsubaki_Rokka)さん
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(いしとびさんホームページ)
→Twitter@koto000
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