香水作り、その過程。


こんにちはLillyです。今回は、ちょっと今まで聞かれても割とはぐらかしていた作業工程について、記載したいと思います。普段私が作品を製作するのにあたってどのような過程で行っていくのかを公開したいと思います。

原材料と区分

先ず、衣類用香水も香水もルームミストも全部原材料としてのセットは全く同じだという事を明記させて頂きましょう。
基本となる構成ですが

・香料(合成・調香・精油)
・エタノール、グリセリン類(配合変動有り)
・精製水・フローラルウォーター類(配合変動あり)

上記がいわゆる芳香系の液体を作るのに必要とされる原材料です。
原材料だけ見れば全部同じ液体なので、極論を言ってしまえばリセッシュも香水も似たようなもの、という訳ですね。化粧品として販売されている香水は、薬事法の規定をクリアし(大がかりな制作環境や、使用用途等)それ以外は雑貨品として販売されている、という感じです。ボディミスト(衣類用)とかも化粧品の記載がなければ区分としては雑貨品になります。でも香水として使えるか?という点については……自己責任の範囲でならOK、使えない事はないかな、責任は取れないけど。という感じ。(推奨は出来ないけど理屈で言えば香水と同質な訳なのでゴニョッ。まあ、あれです。私に聞かれても肌に付けないでください!としか言えないです。)


当店は化粧品を取り扱える様な施設(個人事業主では薬事法の規定をクリアできる程の大がかりな施設を用意することは現状難しい為)もないですし、メルカリやオタマートも自家製の「化粧品」を販売する事は禁止されています。したがって区分は「雑貨品」です。でも雑貨品である分、使用用途は肌への塗布を主とした目的でなければ大幅に色々出来るので利点でもありますね。香水・化粧品って書いてある商品ってなんだか、それをルームスプレーにするのちょっと抵抗がありません?なんとなくですけど。雑談は置いといて、例にもれず、当店も基本は香料・エタノールをメインにグリセリンは入れたり入れなかったり精製水やフローラルウォーターもしかり、って感じで衣類用香水を製作しています。香料・エタノール以外の使う使わないの基準はずばり、キャラクター性。では下記から実際、製作についてどうやって作っていってるかを記していきます。

今回の依頼と選別

まず今回のご依頼は、J系グループ(アイドル系でJってついたら某大御所事務所しかないですよね)のメンバーの一人となります。しかも若い世代の子達ではなく三人組。年末に話題が上がったグループと言えば、なんとなく察しも付きますね。

ご依頼内容はN.Hさんイメージでフォーマルで、セクシーかつ大人な夜の香りとのことでした。
普段でしたらどういうイメージで作りましたー、みたいな日誌になるのですが今回は作業工程を多めに執筆。

まず、ご依頼者様の好みの香り・苦手な香りをあらかじめ聞いておきます。この質問はその都度したりしなかったりしていて、必要そうだなぁと依頼時に感じた時やご依頼者様から何か答えるべきものはありますか?と聞かれた時に聞く様にしています。質問しない理由としては、当店の作品はその人の好きな香りを作るではなく、その人の好きな人の香りを作る、あるいはその人を錬成する、召喚するがメインになるから、といった感じ。でも嫌いな香りのせいで、推しを感じれないということがあるのは不服なので、好みがハッキリ別れてる、あるいは嫌いな香りは決まっているという方には出来る限りの配慮はしておきます。ただ私が作る時にコッソリやっていることは、予めこの香りは苦手です!という方の推しが万が一その苦手な香り成分をもつ香料を使うべき相手なら、私は推しの具現化を優先させています。ただここからが私のマジック。苦手な香りの必要な部分だけを残して「嫌いな香り」「苦手な香り」ではなく「得意ではないけれど、その人らしさの方が全面に出ていて、不思議とクセになる香り」を作りだす、というある意味の荒業。ただ何本も何本もバリエーションを作っていると(特にマンスリーの方)時たまどうしてもご依頼者様にとって苦手な香りが完成するタイミングも、まぁまぁあります。全体量が100本なら3本くらいは、そうなってしまう事も。苦手だと思っている香り、実はシングルノートだからでは? もしくは成分によるアレルギー反応では? 合成がダメなだけかもよ? 産地かもね。みたいに申告時にある程度しぼってたりもします。違うご依頼の方とも色々と話してみてましたが(直近で)どうも、その方はもしかするとヒノキ系のアレルギーかもしれない。ウッディ系が苦手なのではなくヒノキの香りにアレルギー反応が出ているか、或いはヒノキ科の成分にアレルギー反応が出ているか。こういう場合の体調不良を及ぼす系の苦手は推しイメージだろうと絶対外して類似品を使います。だって健康に害を及ぼしてたら意味ないでしょ?

今回の依頼者さんは「ムスクが特に好き、ウッド系・スパイス系が好き」「甘い香りが苦手」とだけ聞いています。どの甘い香りが苦手かは聞いてないのですが、そもそもN.Hさんからはシチュエーションも込みで考えると甘ったるい系の香りはしないな、という判断から深く追求はしていません。あとランクが低いので、というのもあります。という感じなので正直そこまでこだわってられないのもありますね、予算的に。
この時点で除外した精油は「ベンゾイン」「カカオ」「水仙」「蓮」「カモミール」です。バニラは人によってはムスク系に似た甘さを感じるから候補の中から外してません。あとイリスやヘリオトロープも、似たような理由で外しませんでした。

別に読まなくてもいい余談というか愚痴

ちなみに余談ですが、かな~~~り昔に質問箱で、結局中身にパターンがあるんでしょ、中身似たり寄ったりなんでしょ、みたいな感じのニュアンスのものを頂いた事があるんですけど(本当にね何度も言うけど買ってから言え。話はそれからだ。当店は購入者には甘い顔をするけど購入してない人はお客様でもなんでもないし、買う可能性があるからって言っていい事と悪い事があるぞ、というスタイルなのでそういう事言っちゃうやつは買ってから言え、しか出てこないのよ)当店の香料、当時だけでも80本以上、今は100本以上あるからね、そんなことしてたら使いきれる訳がないんだよ、って感じです。あ、ちなみに安価版はだからこそ赤字スレスレ(原価で考えたら)だけど提供できるんだよ、という事でもあります。香料だって腐る時は腐るんだよ……香りは劣化するんだ。あとこの間オタマートで安価版を購入した人が購入後に「ボトルが100均にあったやつだった!!!!消費者をナメてる、100円のボトルに1800円(現在受け付け停止している安価サンプル)はぼったくりだ!!!」ってコメントしてた事に対して、深夜にキレ散らかしてましたけどね、私が。原価計算も出来ないのかテメェは?????ってなるだけなので、本当に私に言うのはオススメしないです。(ボトル代:110円、送料:140円 包装代:100円 香料3~5種:800円 エターノール:20円、上記1170円くらいが原材料費用。630円利益出てるじゃん?って思うでしょ、最低賃金以下なんですよね、1本に対する報酬が、それにこの1本の為に香料を買わないといけないとしたら、大体いつも安価で手に入る香料、まぁ柑橘系が多いんだけど大体1本250円、これを五種類そろえるとして1250円なんですよ。1800円超過するわバーーーーカ!!!!!ってなりません?私はなります。最高級って言われてるイリスなんて、イリスの95%特注精油(希釈して使う事が多いので滅多にお目にかかれない)1ml 5万円程度すんだぞ。仮に1滴しか使わないとしても2,500円なんだ。この重みが理解できるか?????っていう話なんですね。安価版で使えるか?っていったら否です、無理。真面目にそういう文句言う人達に言いたいのは、ならその金で材料買って自分で作ってくれ、レシピも自分で考えてください。ってことですね)ちなみにこの話の延長で、今後アロマ香水系のビジネス考えてる人に言いたい、あと今出品してる人にも言いたい。趣味だから~とか手に取ってもらいやすいから~とかあるとは思うんだけど、自分と周囲と今後のアロマビジネス業界の人間の為に、原価計算はしてくれよ、まじで。前々から知っている出品者として知っている人もいるんだけど、他の人から似たような金額で出してた作家がいるって聞いたんだよね。1,000円でその香料使って販売するのまーじでヤメロ。アロマ業界に限った話じゃなくて、ハンドメイド界隈の全員に次ぐ。技術の安売りをするんじゃない、技術っていうのは「誰にでもできる」ものじゃない、それは小説でもイラストでも香水作りでもなんでもそう。小説・イラストであれば「誰にでも書けるから」、ハンドメイドなら「似たようなものが誰にでも作れるから」っていう言葉が私は大嫌いだ。小説もイラストも経験・知識・本人のセンス、その全てがあって初めて成立する。特に値段表記を付けてる場合はそうだ。「誰にでもできる」んじゃない「ソレは私にしか作れない」だ。何度だっていう、安売りするな、原価を計算しろ、あと原価の三倍以上で売れ。お姉さんとの約束だぞ。
せめて条件を付けてくれ……例えば私の安価版はメインターゲットは「新規顧客の取り入れ」だからリピート生産は原則してないし、香料の制限もかけてるし、どこまで表現するかの限度も決めてる。そういう売り方なら良い。そうじゃない販売者は真面目にやめような、って気持ち。それとな、安かったら買ったのに~は実際どんな値段でも大抵買わないし、ブランド価格に見合ってないってことなんだよ。踊らされないで欲しい。価格帯っていうのはその企業の「ブランド」の値段だから、それに見合わない相手はそもそもお客様ですらないんだ。これを読んでる人にハンドメイドしてる人がいたら自分の価格とにらめっこしてきなさい。果たしてその金額は労力に見合ってる?
企業として必要なのは「その店でなければならない理由」と「知名度・認知度」と「コストパフォーマンス」だぞ。前者二つはいわゆるブランド力とも表現できる。それ以外にも大切な事はたっくさんあるが、そういうのは経済に詳しい人や経営コンサルの人達の領域なので彼らからお仕事を奪わない為にもこれ以上は省略するけど、その三つは商売の基礎のキみたいなものだと私は思っているから、覚えておいてくれ。


ちなみに当店の場合だと……「その店でなければならない理由」はイメージ香水なんて正直探せばいくらでも見つかるだろうけど、私が作っているのはそのイメージ相手の「本質」であり、同時に市販品が頑なに守っている「いい香りであること」からの逸脱。いい香りかどうかなんて「どうでもいい」んだよ、求めてるのはもっと奥深い所なんだからさ。という話。かつて依頼者さん兼、最近では個人的に投資家の様に研究費の様なものをチップしてくれる人が依頼をしよう!と一番最初になったのも私のこの方針が理由。詳しくはアメブロ移植2018の所にDIO様の香りについて記載があるからそちらを読んでもらえればわかるかなと。知名度と認知度は時間がかかるけど正直本当に誰かが欲しがるもの、を作ってたら自然と知名度は上がっていくんですよ。特に口コミはバカにならない。コスパについては省略。そろそろ本題に戻ります。

行程:リサーチ

除外すべき香料の系統をきめたら、今度は依頼内容のレシピ考案の作業に入る訳ですが、その為に必要なのがリサーチ。今回のN.Hさんの場合は直近の情報と同時に過去の情報も漁りました。大体pixivとかwikiが大活躍しますが、時にはTwitterやTV番組、動画等も視聴して考案しています。今回の場合は既知の人物だったので、動画とかは視聴してないです、どういう人物かなんとなく把握していると作業が早かったりします。今回のケースで取り入れた情報はTV情報と、Wiki。ではここからリサーチした内容をまとめます。

まず娘の為にDや最近流行ってる鬼滅について調べたりグッズを購入したり等子煩悩な面があり、自分で決めた目標をやり遂げる完璧主義な箇所があります。良い意味でのナルシスト(GAKTさんとかもそうですが)でアダルトでセクシーなのに上品
それから少年時代は母子家庭で貧しく、苦労したという事も。躾の厳しかったそうです。それから天秤座でA型、考え方は男性的ですね。

行程:解釈

そこからレシピ考案をするにあたって私なりにその人物像を解釈していきます。
子煩悩な所から、愛情を与えたいという強い気持ちを感じ面倒見の良さも感じられるので、幼少期の経験から愛されたい、愛したいといった感情が強い愛情にあふれる人だったのではないかと推測。穏やかで、けれども重たく、同時に暖かい感情の持ち主という解釈を私はしました。ナルシストというのは完璧主義をもって初めて成立すると思うので、そこの原点もその愛情が関係している可能性がありますが、それ以上に本人がストイックなのでしょう。躾の厳しさはそれは虐待では?と少々思いましたが躾と虐待の境界線は難しいので何とも言えない部分ですが、ただ少なくともこの人物が何を話、どういう振舞いをしても上品に見えるのはこの躾があったからなのかもしれないなと思います。華やかではあるものの血のにじむ様な努力が出来る人という事は間違いないです。

ここから統計学的な面から見て、天秤座は自立心や公平さが強いと言われています。他者の領域には入らず、しかしながら相手への関心が高い、といったコミュニケーションでのバランスが非常によく取れた人が多いので人付き合いが上手です。実際後輩にも好かれているし、人付き合いは得意な方なのかな。行動原理として愛されたい、人に嫌われたくないという面も持ち合わせていますがもう一つは美的センスが非常に良い傾向にある、という事です。自身に美学がある人が多いので必然的にそのようになってしまうのかなぁとも。


行程:レシピへの落とし込み

さて今回はご依頼者様から可能であれば使っている香料について添えてる紙が欲しいと言われているので基本当店はレシピを公表してないのですけど、今回一部をのぞきメインの香料について記載したいと思います。
あとSランクならこういうレシピにしたであろう、というのも載せておきますね。

上記の解釈や考察とご依頼者様からの要望を合わせて考案していきます。
まず完璧主義や上品さはイリス、サフラン、サンダルウッド、イリスは言ってしまえば香りの中でも最高級品であり、同時に魅力的で品がある香りです。サフランもサンダルウッドも同様で、サンダルウッドの場合は温かみやムスクの様な包み込むような面もあるので表現には良いでしょう。
それからストイックさはブラックペッパーとジュニパーベリー。ジュニパーは癖があるので扱いが難しい時もありますが、ストイックさを表現する時に活躍してくれます、同時にセクシーではない意味のアダルトさがありますね。それから温かみにラベンダーアルパイン、アンブレッドシード、ネロリ。大人な夜を表現するのであれば他の香りと混ぜると依存性(クセになるという意味で)が高まるラブダナム、オピウム。セクシーさは彼の人柄からあふれるものとしてシナモンリーフあたりを構成するのが良いかな?と思いました。
ちなみにこれはSランク規模のレシピです。あと実際に作る時も何個か減らしたり増やしたり、構成の段階なのでします。

安価版のレシピ

上記の考察からブラックペッパー、フレンチラベンダー、シナモンリーフをメインに構成しました。ラベンダーがアルパインからフレンチになったのはアルパインがラベンダーの中でも高価だからという理由です。予算の問題ですね。ブラックペッパー、フレンチラベンダー、シナモンリーフとあとほかに二つの香料が入っています。


あとは熟成させて納品という形です。
これが作業工程となっております。


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