🍉スタンディングデモ&フライヤー配りのつくり方🍉

１．自己紹介

　私は、10月から毎週日曜にスタンディングデモ＆フライヤー配布をしている、疋田（ひきた）香澄という者です。神戸で専門職としてフルタイムで働きながら、１歳児を育てています。
　質問があったので、どういう経緯と考えで行動しているかをまとめました。

２．スタンディングデモのきっかけ

　10月8日にニュースに気づき、私はこれは大変なことになるのではないかと思いました。
　10月21日には、遠方の友人がパレスチナへの暴力に反対するデモを行いました。自分も何かできることはないかと、10月22日に阪急百貨店前で一人でスタンディングデモをしました。最初のほうはとりあえず手書きのプラカードです。

　翌週の日曜に、友人たちが作った声明文をもらって道行く人に配布をしてみました。子どもの預け先がないので、ハロウィンパーティー帰りに子どもを連れていきました。

　配布前に警察署に電話すると、「広い歩道で少人数でチラシを配布したりアピールしたりするだけなら申請は要らない。もし警察に移動求められたら移動できるようにして。駅構内は私有地なので駅の許可が必要」と言われました。
　管轄によって運用が違うそうなので、不安であれば警察署に確認してみてください。車道に出るデモや大きな機器を使う場合は、道路使用許可申請が必要なようです。

スタンディングデモ&フライヤー配布の様子

　私の場合は、子どもを大阪のデモまで連れていけない、土曜日は仕事という制約があるため、毎週日曜日13:00-14:00に神戸マルイ前でスタンディングデモ＆フライヤー配布をしています。SNSで見た方が毎回3人～6人程度来てくださることが多いです。（追記: 2024年2月以降30〜40人になりました）
　プラカードを手に持っているとフライヤーを配れないので、ベビーカーにくくりつけています。子どもを午前中に楽しい遊び場に連れていき美味しいものを食べさせ、デモの間は寝てくれるのを期待しています。寝てくれず抱っこしたままフライヤーを配布することもあります。連れ合いも全面的に協力してくれています。

３．「パレスチナを知るキーワード」フライヤー

　最初はスタンディングデモで、声明文を配布をしていました。すると「あなたはハマスの味方なの？」「誰が爆弾を落としてるの？」「パレスチナはカザフスタンなの？」「えっ、人が死んでいるの？」といったことを聞かれることが度々ありました。
　また、中高生が受け取ってくれることも多く、状況が分かりやすいチラシをほしいと考えるようになりました。分かりやすさは危険です。でも、現在進行形で虐殺が起きていること自体を知らない人が圧倒的に多いんです。

　友人のimomioさんに相談すると、「今ちょうどフライヤーを作ってる」ということだったのでデータを分けてもらいました。それから、自分でカラーコピーをして配るようになりました。
　やはりカラーでデザインの良いチラシだと、道行く人に受け取ってもらいやすいです。私以外にも「フライヤーを配りたい」という方が出てきたのでPDFで共有し始めました。しかし、コンビニのカラーコピーで印刷をすると毎回4000円程度かかります。これでは、経済的にぎりぎりの方はフライヤーを配れません。
　そこで、私が持ち出しで500枚程度をプリントパックで印刷して、知人や配布したい方たちに送るようになりました。そうすると、みんなの活動全体でかかる費用が大幅に下がると思ったからです。
　配布前に、パレスチナ研究者を含めて数人の研究者に見てもらいました。そのうえで、ベストではないかもしれないがA4裏表の情報量ではこれがベターではないかと自分で判断して配布しています。
　メールや反響を多くいただきます。ありがとうございます。フライヤーを送ってよかったなと感じた最近のコメントです。

「チラシを塾の生徒にも渡しました。みんなとても興味を持って持ち帰ってくれました。うちの生徒もみんな死者数に驚いて、何も知らなかったと言ってました。お正月にネットで調べてみると言ってくれた子もいて、世の中を知る良いきっかけになりました。ありがとうございました」
(小中学生向けの塾の先生）

「本当にありがとうございます！パレスチナの事みんなに知って貰いたいが、日本語少ししか分からなくて、これを見るとほんとにわかりやすく書いてあって、泣きました」（イスラム文化圏出身の方）

　スタンディングデモでは、エジプト出身の方が飛び込みでコールしてくれたり、中学生が「いっぱいください」とフライヤーを受け取ってそのまま仲間に配ってくれたり、希望を感じることもあります。
　私にとってimomioさんが作成してくれたフライヤーがありがたいというだけなので、もし他にもＡ４裏表くらいで今の状況がわかりやすいフライヤーがあったら配ります。ぜひデータをください。

４．「ガザの壁はあと50cmくらい高い」

　初めて「パレスチナ」について知ったのは、ホロコーストを扱う大学の授業でした。授業の最後のほうで、パレスチナに触れていたのを覚えています。
　大学卒業後、私は働きながら原発事故後のボランティア（『原発事故後の子ども保養支援』）をしていたので、支援活動のなかでパレスチナの話が出ることはよくありました。

　関心を持った一番大きなきっかけは、2014年にドイツ出身の方やパレスチナ出身の方とベルリン観光をしたときのことでした。
　私たちは真夜中に、一部残っているベルリンの壁に沿って歩いていました。私が想像していたより壁は高く、どう頑張ってもよじ登れなくて怖いと感じました。すると隣にいたパレスチナ出身の女性がぽつりと言いました。

「ガザの壁はあと50cmくらい高い」

　私はどうリアクションすればいいか分かりませんでした。他の人たちもそうだったと思います。私たちはそのまま歩いて、ホロコーストの犠牲者を弔うモニュメントを訪ねました。
　別れ際に思わず、パレスチナ出身の女性に「私が日本でできることはあるかな」と聞きました。彼女はとても驚いた顔をしてしばし沈黙しました。
　それから「そんなことを聞かれたのは初めてだ。世界中のほとんどの人はパレスチナとパキスタンの違いも分からない」と答えました。
　彼女は一日考えてくれて「パレスチナの状況を色んな人に伝えてほしい。日本はパワーがある国だから外圧をかけてほしい」と語ってくれました。私はそれを聞いて、学んで伝えるくらいは少しずつ出来るかなと思ったり、その質問をしたこと自体が傲慢だったかなと反省したりしました。

　その後も私は、仕事とボランティアに明け暮れていました。パレスチナについては、JVCさんの勉強会、清田明宏先生の報告会、YWCAさんの勉強会、ガザ攻撃に反対するキャンドルナイトなどに行ったりしていました。出産祝いのお返しにパレスチナ・オリーブを贈ったり、年末は寄付をしたり。薄くパレスチナに関心がある層だったと思います。

5.パレスチナにおける虐殺に反対する

　私はいま、自分のパレスチナへの関心が十分ではなかったと反省しています。
　パレスチナ出身の知人にスタンディングデモをしていることが伝わったとき、彼女は「ありがとう」と言ってくれました。私は、お礼を言ってもらうこと自体が本当に申し訳なく感じました。
　正直に言えば、8年以上ボランティアはしたし、フルタイム労働者で子どもも1歳だし、今回は何もできない（したくない）と思っていました。
　いまこれを書いている間も、子どもが足元で「ピカピカブーおどろー」と泣いています。

　でも、パレスチナでは今日も虐殺が起きています。殺されてしまった子どもたちは、もう泣くこともできません。
　私は「家庭」「仕事」「学校」の枠組みから、一歩出ることが必要だと感じています。
　年を越したら皆、忘れてしまうかもしれない。けれど、私とあなただけは忘れないでいましょう。
　私は大晦日もスタンディングデモとフライヤー配りをします。
　それぞれの場所でできることを、一緒にがんばりましょう。

2023年12月31日追記

　大晦日のスタンディングデモ＆フライヤー配りは、のべ22人の方の参加がありました。
ありがとうございました。
下記に報告しました。
報告:大晦日スタンディングデモ＆フライヤー配り

　まれに、通行人から皮肉を言われたりすることがあります。お一人でスタンディングをする方は気をつけてください。
参加する人が増えてくると、ハラスメントや個人情報保護（画像撮影等）のためのルールづくりも必要になってくると思われます。

2024年4月13日追記

「パレスチナを知るキーワード」を2024年4月13日に更新しました🍉