◯天王洲運河を眺めて・・・ 入道雲 のぞみて 河常に流れて 心清くして前にあり ・臨兵闘者皆陣列在前の言葉を文字遊びしてみた
○今年も増上寺の近くにいて・・・ 天の川底深く 短冊はただ風にゆれ 薮蚊に刺され夏 ・哲学者のこの歌がふとよぎり 我心 深き底あり 喜びも憂いの波も とどかじと思ふ 西田幾多郎
○ 神田教会は静謐で・・・ 静けさに ステンドグラス 光射し 焼かれる毒麦 祈りの中
○小雨の中、夏越のまつりはあるけれど・・・ もどかしい やまない雨に 傘身一つ 鈍色の社に 茜さす
◯漱石、田中、過去の偉人達を思い果のない道を行く・・・ 平櫛の 沢流れて どこまでも 草生す命 虞美人草(ひなげし)の花
在原業平が詠んだ歌 からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞおもふ を真似て田七人参で詠んでみる・・・ 田子の浦 七夕の結願よりも塚の高嶺に 人参るべく いうまでもありませんが 「田子の浦ゆうち出でて見れば真白にそ富士の高嶺に雪は降りける」の歌がかけられています そういえば富士にまだ残雪はあるようですね
◯松尾芭蕉の句も残る江戸の名勝だけれども わたしと同じでに静かに佇む・・・ わた雲は 江戸のかつての ゆめのあと 閑古鳥なく 甲斐の猿橋
◯祖母が亡くなり人の儚さと諸行無常を知ることは・・・ 新緑も 花の宴も まい消えて 立ち上る斎場のけぶり
◯待っていても何も始まらないけれど社会のあたりは厳しくて 終わってしまえばいいのにと・・・ 乳待山 目を閉じて 耳を塞ぎて 前にあるは 気色はなんぞ ◯上の句をうけ心配しては・・・ まつやまを 駆けゆく鹿は 色を見ゆとも 風吹きて心ともなし
◯ 探しても見つからないのに・・・ 見えず いない ボクはうなだれる ああ、神の御許は 地にあるのだろうか
◯旅先でかつての旅を思う・・・ 「ローマの松」の作曲者レスピーギは『ローマの松』では、私は、記憶と幻想を呼び起こすために出発点として自然を用いたと云っており、、、 ・ 新緑の吾妻の松に ローマを思いて ダビデの尻も美しい ・手を伸ばし 触れることさえないものを 哀れみたまえ 五葉の松よ
◯池袋の某所。ここは眺めがいい 屋上の排気塔に ゆらめくかげろう ビルの影に夕陽が降りる
◯そこには花御堂があって、ああそうかブッダの誕生日なのか・・・ 花まつり ボクは夜 空を見上げた 月の影さえ あなたにみえて
◯ 思いばかりがつのっても何もできないのに・・・ ・ 眠れない夜 目を閉じても 小さな灯りひとつ 目に伝(うつ)る桜色 ・ 宵醒めて 天井見上げ 身を起こし 窓の外に見える桜は
◯ 明日くる鬼だけが本当で 今日くる春はなんだろう・・・ 吹く風は 飄々と 悲しく泣き 春の琴音に 鬼来る明日 ◯ ここにも春は来るけれど私には来るのであろうか・・・ あすかやま 待ち人あらず 花吹雪 青空さえも 鈍色に見え
◯ ふと降りた四谷駅 教会の前を通り過ぎようとしたら神父の葬儀がおこなわれていて・・・ 春来たる 神のみ前に メメントモリ 冷たい手を そっと胸に寄せて 若草香り はかなき枯れ草 いのちを生きんとす 「われは草なり」 本歌 https://note.com/okudenote/n/n4258cc72690a