200201 備忘録としての檸檬
「これ、あげようと思って」。
帰り際、中目黒駅前の信号が変わる直前。
呼び止められた。手渡された、檸檬ひとつ。
え、梶井基次郎…
ぽつんと置かれた丸善の檸檬を思い出す。
雑踏の中で一人、にやにやしながら乗車。
そういえば去年の今頃も。
奥渋の食器屋さんで、お姉さんに蜜柑ひとつ、手渡されたっけ。
果物片手に歩く東京に慣れてしまう。
いやいや、おかしいな。
その日は背伸びしているようでいて、なんだかずうっとそうであったかのような日。
あんなにおいしい一連のご飯、上京して初めて食べました。
選択肢がたくさんあることに感謝している。
でもたぶん少なければ少なかったことに感謝している。それでいいんだと思う。
幸せの尺度を勝手に当て嵌めないでほしい、と叫ぶんじゃなく、積極的にその土俵から降りること。簡単じゃないからこそ、かっこいい。
いただいた檸檬、はちみつれもんにしました。
おいしかった。今日飲み終えちゃうかな。
好きだから一緒に住む。
好きだから一緒にいる。
好きだから会いに行きたいと思う。
好き、は尺度からずれていてもいいじゃない。いつの日か、全部終わってしまう。
好きも嫌いも概念。
今の好き、を大切にしようと決めた日のこと。
一人暮らし生活もあと残り僅かになりました。
さて、荷造りしなくては。