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ノートに現れた謎のメモ【不思議で奇妙な話】

高校3年生。受験生。

夕食後は塾へ行って帰宅したら夜11時。そこからまた勉強して、日にちをまたいで2時頃に寝る。朝は7時に起きる。そのサイクルがだんだんおかしくなり、ラジオを聴きながら勉強をしていたら2時頃にいったん寝落ちして、3時にお風呂に入ってから布団に入り、朝7時に起きるようになっていた。

完全に寝不足状態だった。学校で授業を受けていると、眠たくて仕方がなかった。しかし、わたしは受験生である。寝ちゃだめだ。寝ちゃだめだ。寝ちゃ






気がついたら授業が終わっていた。完全に意識が飛んでいた。シャーペンを持ったまま、頭をさげることもなく寝ていた。周りから見たら、授業中に瞑想している奴である。

わたしはノートを取ることが出来ず「しまった、やってしまった!!」と落ち込こみ、白紙ページに目線を落とした。

ノートを取ることが、でき

でき

...

ノートの隅に、何か書いてあった。


レリゴータイト ◎ー〇ー△
ノータイレムス  △ ▲


これは一体なんだろう。よく分からないカタカナと、丸や三角の記号の羅列。

意識があったときにはノートは白紙ページだった。その後、わたしの意識が吹っ飛び、気がついたら授業は終わっていた。そして白紙ページに謎のメモが現れていた。

しばらくメモについて考えた。


... ハッ

これは

もしや


競 馬 予 想 ?


馬名っぽいカタカナ、そして丸や三角は予想印というやつでは!?

しかし、わたしは競馬に興味がないし詳しくもない。そして「わたしが書いた」という記憶は一切ない。なのに、何故。


急にそのメモが気持ち悪くなり、すぐに消しゴムで消した。

「わたし」ではない「誰か」がわたしの体を使って、競馬予想をしていたとでも言うのか。授業中に。



後日。その正体が誰なのか、わたしの頭に答え(?)がフッと降りてきた。

それは、幼い頃から わたしの頭の中にいる「いつも怒鳴るオッサン」だ。反覚醒状態の時に限って頭の中に現れる、不機嫌な中年のオッサン。

このオッサンは、競馬が趣味なのか。



... いやいや。問題はそこではない。

ついに「体を乗っ取った」とでも言うのだろうか、現実世界に文字という形でオッサンが現れたのが問題だ。これはさすがにドン引きだった。

そういうわけで、わたしは生活習慣を見直し、寝不足にならないように夜はしっかり寝ることにした。

その後、オッサンがノートに競馬予想をすることはなかった。そして、わたしは今でも競馬に興味はない。


(了)

※ 記事中の謎のメモは、すぐに消したので正確には覚えていません。こんな感じだったというイメージです。

※ 頭の中にいる「いつも怒鳴るオッサン」の記事はこちら▼