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赤く染まった東の空に【不思議で奇妙な話】
ある日の放課後。
わたしは吹奏楽部の部活中で、音楽室のベランダで数人と練習をしていた。
夕日で赤く染まった空、東方向を見ながら楽器を吹いていた。
ふと、目線を小高い丘のある方向へ向けた時、白くて丸い光が空に浮かんでいることに気がついた。
まるで、赤い空に白い穴が開いたかのようだった。
白くて丸い光はじっと動かず、その場にいた。わたしはしばらく それを見つめていた。
一緒にベランダで練習していた友人たちに、何気なく「アレ、なんだろう」と言ってみると、友人たちもその白くて丸い光を認識した。
「なんだろうね」「どこかの光が反射してるのかな」「動かないから飛行機じゃないね」
『もしかして、UFO?』
誰かが言った。すると「えっ!? UFOなのかな?」「みんなにも見てもらう?」「呼んでくる!」と、ちょっとした騒ぎになった。
しばらく白い光はその場にいた。しかし、だんだんと色が薄くなり、夕日に染まる赤い空と同化した。
野次馬が集まってくる頃には白い光は消えてしまっていた。野次馬は残念そうに帰っていった。
白い光が何かわからないまま、練習を再開した。
すると、5分もしないうちに、またあの白くて丸い光が現れた。
先ほどと同じ大きさ、同じ白さだった。しかし、先ほど居たところからは左へずれていた。
「あっ、また現れたよ」とわたしが言うと、今度こそみんなと見るぞ! と友人は張り切り、走っていった。今度は野次馬含めて見ることができた。「UFOだ!」「ほんとだ」「えー? UFO? そうなのー? 信じらんなーい」
そして白い光は先ほどと同じように、少しずつ色が薄くなり消えてしまった。
また現れるのではないかと思い、しばらくベランダにいた。しかし次は現れなかった。
赤い空は少しずつ黒に変わっていった。
あの日以来、白くて丸い光は見なかった。
一体なんだったのか、検討がつかないでいる。
(了)