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不思議で奇妙な話

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わたしが体験した奇妙な出来事、わたしが聞いた不思議な世界の話を、おひとついかが。
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2021年1月の記事一覧

新しい住宅地に居るもの【不思議で奇妙な話】

過疎化が進む、とある山間部の村。 若い人たちに住んでもらい、人を増やしたいと考えた行政は、草むらだった空き地を整地、そこに住宅地が出来た。付近の獣道を広げて、県道に整備した。 新しい県道は夜は街灯に照らされ、建てられた住宅には若い夫婦等が住むようになった。家明かりは眩しく、かつての暗く静かな、誰も寄り付かない草むら一帯は、その気配を失ったかのように思えた。 深夜。 新しい県道をバイクで帰宅中の男がいた。男はこの村に、生まれたときから暮らしていた。今までは細く暗い古い県

腕の傷痕【不思議で奇妙な話】

私の左腕、手首から下に約5cmのところに、傷痕がある。 それは腕と同じ方向、つまり縦方向に長さ7~8cmにわたっている。 イメージで言うと、鬼滅の刃の悲鳴嶼行冥さんの額の傷痕によく似ている(あそこまで大きくはないが。) 物心ついたときには、すでに私の腕にあったそれに対して、ふと疑問に思ったのは高校生になってからだった。 いつ、どこで、このような傷痕がつく怪我をしたのだろうか。 それまでは、「怪我をしたから痕が残っているのだ」と勝手に思い込んでいた。痕があるのが当たり前