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ちょっと思い出してしまったのは、彼女に恋焦がれていたほろ苦いあの頃と、ただただ楽しかった愛おしい記憶。
「私たちのハァハァ」という映画が好きだ。
ふと、そのことを思い出したと同時に、
愛おしいけれど苦いあの頃の記憶も
ほんの少しだけ、フラッシュバックした。
思い出したきっかけは、
今日「ちょっと思い出しただけ」を観てきたこと。
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の曲を基に尾崎世界観さん原案で作られた映画。
劇中に何曲もクリープハイプの曲が流れる。
私たちのハァハァは「ちょっと思い出しただけ」を手がけた松居大悟監督が2015年に作成した映画で、この映画もクリープハイプが深く関わっている。
主題歌はクリープハイプの「わすれもの」。
クリープハイプ本人たちも出演もしている。
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物語は、クリープハイプの大ファンである女子高生4人がライブを見に行くために、九州から東京まで4人だけの力で旅に出るという内容。
一見、クリープハイプが好きな人に向けて作られた映画なのかなと思うけど全くそんなことはない。
周りを気にせず自分たちの無限の可能性を信じて、無鉄砲に、無我夢中に、がむしゃらに好きなことに向かって突き進んでいたあの頃。あの日々。何も怖いものはなかった。そんな愛おしい日々をふと思い出して、思わずエモーショナルな気分になってしまう映画だ。
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無鉄砲がゆえに見ていてほんの少しの痛々しさはあるけれど、人目を憚らずある意味盲目で、何でもできると信じて、やりたいことに全力な彼女たちは眩しくてキラキラしていて、どこまでも自由で、
少しだけ羨ましくさえ感じる。
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でも、突き進むうちにどうにもならない壁にぶち当たり自分達の限界を知る。力が及ばない情けなさの中で、それでも自分たちなりに考えてもがく。泥臭くても前に進もうと、時には汚い大人の世界を知りながら。
全ては好きなことのため。
憧れのバンドのライブに行くため。
彼女たちにとっては道中の出来事なんて
何でもない。むしろそれさえもキラキラとした思い出にしてしまうエネルギーがある。
もっと言えば目的を達成できたかどうかの結果さえも関係ない。みんなで走ったこと自体が、彼女たちにとって気づいた時にはもう1番の宝物になっているのだから。
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現実と憧れを対照的に、リアルに描く。
楽しくて楽しくて楽しくて
毎日馬鹿みたいに笑い転げて爆笑して、
思いっきり叫んで、思いっきり走って、
全身で感情を表現して、
今が永遠みたいに感じて、
かけがえのない日々だと信じていた、あの頃。
そんな愛おしい日々を、振り返ってしまう。
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井上苑子ちゃん、大関れいかちゃん、
三浦透子ちゃん、真山朔ちゃん。
めちゃくちゃ自然体な演技をする4人。
役としてだけでなく、プライベートでもこの4人の仲良しぶりが本当に大好きだった。
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でも、この映画を見て思い出すのは
青春の日々だけじゃない。
それは、
人生で1番深く恋をして
人生で1番辛かった
大学1年生の頃の恋愛。
私たちのハァハァを初めて見たのは
私が大学3年生の時。
当時クリープハイプをよく聴いていた時期があり
友達に誘われてライブに行くくらいには、にわかのファンをしていた。
そんなクリープハイプは当時かなり人気だったように思う。そんな時、ふとこの映画をTSUTAYAで見つけて、思わず借りて、夜に一人で見たのが出会い。
▼「憂、燦々」がちょうど流行っていて
カラオケなんかでよく歌われていた。
ちょっと思い出しただけでも出演している
大関れいかちゃん演じる主役の一人、
さっつんのキャラクター。
彼女は、私がかつて本気で死ぬほど好きだった女の子にそっくりだったこと。。
ただ、それだけだったけど、
でもそれはもうこの映画を愛してしまう理由としては十分すぎた。
どうしようもなく切なくて愛おしく、当時の楽しかった思い出が一気にフラッシュバックして苦しくなる。だけど、今でこそ好きという感情をようやく自分の胸に抱きかかえて愛でることができるサイズになったのだと感じた。
叶わなかった恋。
押し殺して胸に仕舞い込んだ感情。
どうしようもなく拗れてしまった友情。
楽しそうに戯れ合って、
時には思いっきり喧嘩して、
思いっきり泣いて怒って感情剥き出しにして、
そんなさっつんや一ノ瀬や文子たちを見ていると、
当時の私たちを思い出す。
当時は、はっきりと
れいかちゃん演じるさっつんに
好きだったあの子の幻影を感じていた。
その好きだった女の子とは、
入学してすぐ大学で出会った当初は、劇中のさっつん(大関れいかちゃん)と一ノ瀬(井上苑子ちゃん)のように仲良しだった。彼女は面白くて底なしに明るく楽しい子で、毎日ふざけて笑い合ってはしゃいで、彼女の性格が本当に好きだった。彼女も私の性格を好きだと言ってくれていた。お互いにお互いの性格を好きだと言い合うような関係だった。
心優しくて、無邪気で、かなりぶっ飛んでいて、
彼女は私にないものをたくさん持っていた。
でも、友達としての "好き" を超えてしまった瞬間
関係はたちまちこじれた。
彼女の存在が身近であるゆえに、
途端に付き合い方が分からなくなった。
当時私は大学祭実行委員会に所属しており
私とその子は最初、急激に仲良くなってしまったことから1年生だけでやる企画のヘッドを2人で務めることになった。1年生全員をまとめて士気する任務も背負っていた。
友達であり、好きな女の子であり、
仕事のパートナーである関係。
危惧していたことが当たった。
関係がうまくいかなくなっていった。
出会って間もない頃から好きだと気づき、
そのせいで意識しすぎてしまい、
素直になれず、関わり方が分からなくなった。
凄まじく不器用だった私。
まともな友情関係も築くことができないくらいに
修復不可能なまでにこじれていった。
仕事(実行委員会)が関わってきたことも大きく、
お互い初めて任された大役で責任を感じており、様々な場面で意見をうまく譲ることができず
ぶつかり合い、すれ違い、素直になれなくて、分かってほしいのにうまく伝えられなくて、歩み寄りたいのにうまく歩み寄れなくて、ただただ自分は未熟だった。恋愛においても、仕事においても、人間関係においてもあまりにも未熟だったのかもしれない。
私と彼女はただの友達どころか、周りに迷惑がかかってしまうほど壊滅的な仲になっていった。
それがどんなに辛かったことか。
もう出会った頃のような友達にも戻れない。
恋愛にも発展しない。こんなにも好きで好きでどうしようもなく恋焦がれているのに。
私はまさに言葉の通り、"絶望" を感じていた。
何をするにも息が詰まった。胸が痛んだ。
学部の友達には明るく振る舞ってはいたけど、
ずっと胸が苦しかった。気を抜くといつでも泣いてしまいそうなくらいには、精神が限界だった。
もう世界が終わってしまったらいいのにと、
あの時の感情は一生忘れることができないと思う。
彼女とまた笑い合う日々を過ごすことを
心から夢見ていた。毎日夢見ていた。
ただただ、夢だけを見ていた。
叶うことはないって分かっていたのに
夢見ることはやめられなかった。
心から望んでいた瞬間。
世界が終わってもいいから、
もう一度友達に戻りたいって何度も後悔した。
好きになってしまったことを呪った。
どうして友達のままでいられなかったんだろうって
あんなに仲良しで大好きだったのにって、
だけど、死にたいくらい好きだった。
夜な夜な泣き明かした日々。
もうこれ以上泣けないってくらい、
涙が枯れるくらい嗚咽混じりで泣いた。
夜になると涙が自然と溢れてきた。
好きで好きで好きで好きで好きで、
もう、本当にどうしようもないくらい好きで、
気が狂いそうなほど大好きだったけど、
どうあがいても、救いようのない恋だった。
諦めるしかなかった。
*
映画に出てくるさっつんは
まるで彼女のようにキラキラしていた。
サバサバした性格や、滲み出る優しさ、
底抜けの明るさ、お調子者感、活発で社交的で
誰とでもすぐに仲良くなってしまう性格、
こだわりの強さ、芯があるところ、
好きなことを貫いているところ、
周りの目を一切気にせず自分の世界観を持っているところ、
彼女は魅力的だった。
知れば知るほど面白い女の子だった。
掘れば掘れば底なしに深く興味深い。
人懐っこい性格なので、
仲良くなるのに時間がかからなかった。
思い出はフラッシュバックする。
別れから辛かったピーク、楽しかった日々、
そして恋に落ちたきっかけの出会い。
願わくば、出会った頃の記憶だけを、
笑顔で笑い合ってる記憶だけを残しておきたい。
この映画を見るといつでも思い出せる。
楽しかった頃の夢だけを
見させてくれる気がした。
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井上苑子ちゃんと大関れいかちゃんが好きだ。
それはたぶん、仲良しな2人に無意識にも自分たちの叶わなかった理想を投影してしまうからなんだと思う。
私と彼女も最初はこんな感じだった。
だから、彼女に似た性格のれいかちゃんと
苑子ちゃんが仲良さそうにしている姿を見ると
本当に幸せな気持ちになれる。
今はもう、すっかり昔の記憶。
普段思い出すことなんてないのだけれど、
ちょっと思い出してしまった。
"誰しもが過去を抱えて生きている"というのは、
あながちそうなのかもしれないな。
ちなみに関係ないけれど、ふと思い出したこと。
大学生の頃、仲良しだったセフレと夜の公園でブランコ漕ぎながら2人で歌っていた「ラブホテル」
あの曲はなぜか好きだったっけ。
私たちは、確かにクリープハイプが好きで
クリープハイプにちょっと心を救われてきたのかもしれない。
全ては、昔の話。
過去は戻らないし変えられないから、
今に集中して生きていこう。
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