xx話_Tokyo➀
10代半ばを過ぎた頃、それなりに人間関係が嫌になって、漠然と自分は東京に行くんだと思ってた。行きたいと想っていたのではなく、確定した事実のように行くんだと。
遠くに行けば、誰も知らない土地に行けば、何かが変われるような気がしていた。(現実的にはそうではなくて、ただ見知らぬ土地に来て、また一から人間関係を築く作業だった。)
高校を卒業する頃、受験に全て失敗した私は、もう1年間を故郷で過ごすことになった。勉強というものを理解していなかった当時の自分は、悪戯にその時間を過ごしていたように思う。
受験の際に飛行機から望んだ関東平野はとても綺麗で、まさに地上の星があたり一面に広がっていた。僕もここに住んで、何者かになりたい、そう感じていた。
紆余曲折あって、19歳のときに、20代を過ごす場所として東京に拠点を移した。上京して間もなくは故郷の方言を出すのも恥ずかしく、ひたすらに言葉を覚えるように聴くことに集中していた。
電車のなか、大学の講義、バイト先、それぞれで私は聞き、話をし、田舎者の色を隠すことに必死だった。