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Mamma

空気の温度が日々下がっていくのがわかる。
ここ最近、家の中にイトトンボを見つけては外に出してあげる。命を落とした子も部屋や車で見かけ、どこから来たのかなと思う。
昨夜見つけた子は、照明の周りを突くようにして飛んでいた。その音を息子は少し怖がりながら、トンボは蚊のように吸わないから大丈夫と私に宥めなれながら眠りについた。
今夜も主人が読み聞かせをしてあげている時に、そのトンボの羽音が部屋に響く。
息子は学校で一生懸命楽しく過ごしたようで、その音にも気づかず、力果てた様子で眠りにつく。

今日で娘は3か月になり、首が座った様子。
アブーやキャッキャ、あーあーなど言いながらよく話す。
とにかくよく話し、笑う。

今夜、娘と息子を寝かしつけて、一緒に寝落ちしてしまい、目覚めたのが11時。トイレに行き、鏡を見ると抱っこ紐をつけたまま、コンタクトをつけたまま寝ていた。鏡に映るその姿を見て、昨日読んだ記事を思い出す。

昨日は隣町の図書館に立ち寄った。ハワイに住んでいた頃にずっと読みたいなと思っていた雑誌。母の友やクーヨンが借りられた。
胸の中の興奮が抑えられず、とりあえず読んだページが西加奈子さんの母とおんぶ紐の話。
18歳の時に彼女の本を好んでいたので、彼女はいつの間にか母だったのかと思いながら、自分もいつの間にか二児の母であることに気づく。

子育てにおける抱っこ紐、おんぶ紐の進化と便利さについて。彼女はイランで産まれ、異国の地で育ててくれた母を思う気持ちを描いていた。異国の地で子育てをした自分を、少し照らし合わせながら読み終えた。

その記事を読んだ後だったからか、今夜、鏡に映る自分を見て、生きるってこうゆうことと現実に目をやる。
洗い物、洗濯物を畳み、明日の朝の準備、雑務を終える。この瞬間達に、わたしは今日あったすべての出来事達を思い返していた。

娘の為に行った病院の先生と折り合いが合わなかったこと。
帰ってきたら父が祖母の命日にお墓に行く準備をしていたこと。
主人が一生懸命に働いていること。
息子が友達と楽しく遊んで帰ってくること。 
息子と宿題とピアノの練習をがんばったこと。
彼の書く気の字を見て、何かを感じたこと。
彼の弾く新しい曲が、彼の赤ちゃんの時の思い出の曲だったこと。
今日の月は満月かな?明日が満月かな?と話しながらお月見をして、寒くなった午後6時を歩いたこと。
お風呂上がりに息子にMamma!と呼ばれること。
こんなに沢山のことをしてるのに、自分のことより家族や友達の顔を浮かべては何かしてあげたいなって思ってること。
早く借りた本を読みたいなぁ。でも時間がないなぁってこと。
父の顔を見たら、お酒を飲んで赤くなってることに気づき、わたしも飲みたいと思い、夕飯に母と小さなグラスに冷酒を分かち合ったお酒が甘かったこと。
その時、あぁ今日はおばあちゃんが亡くなった日だったんだってまた気付かされたこと。

この地球の中で私一人だけでこんなにギュウって詰まった思いがある。日本の人、アジアの人、アメリカの人、世界の人、全てが地球の中でギュウってなってることを想像した。
想いが詰まって張り裂けそうになったり、光に変わってきれいに放たれていたり。
どんな想いも未来がわたしを迎えにきてくれて、今の出来事を経験させてくれる。

色んなことがあることは幸せだ。

鏡に映る自分は私ひとりのわたし。

それなのに、わたしという人間がたくさんの人を反映させ、生きている。

1日の中に想いが重なり、字に残したくなった。

命の美しさや尊さに触れると字に残したくなるのかな。

抱っこ紐を外して、ゆっくりと寝よう。

Aloha

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