人は外見ではホント見抜けない
第一印象は素晴らしくても付き合うと、その後に裏切られることはある。
恋人は外見で選び、友達は内面で選ぶという。
この人間の当たり前は、そのまま「失敗」するための格言にもなる。
人は見かけ通りのこともあるだろうが、実際にはわからないものだ。
「マスクしてなかったら変な目で見られる」
と、よく聞く。本当だろうか。事実確認はしていない。単なる想像なのだ。
「他府県に行くと車にイタズラされる」
という噂もたった。
「犯人は捕まったの?」
と訊くと「いや」と言う。何でイタズラの動機がわかったのだろう。
ぼくは本当なのかどうか車で他府県に行ってみた。ウロウロと待ってみたが、何の事件も起こらなかった。ガセだった。
妄想はそれが妄想だと理解するまで妄想をやめないものだ。真実は別にあるのだ。
以前仕事で、服装にはスキがなく、真面目なんだけど怖そうな年配の女の人に対応していた時の話がある。
何を話しても「でもね」から始まり、「他の所ではね」「それは違う」「それも違う」が連続した。話が全く噛み合わず、前進もしない。
さすがに疲れてしまった。耐えきれなくなったぼくは、
「えーい、やけくそだ!どうでもいいわ!」
と、下ネタ連発してやった。
必ず怒るだろうと予想しての言動だ。
「失礼な人ねあなたは!」
と、怒らせてサヨナラを期待した。
すると、意外や意外、
「私、そんな話好きやわー、もっとしてよ」
と言われてしまった。
「あのー怒ってもらっていいんですけど……」
「何で怒らないといけないの」
「はあ?頭がおかしいぞこの人」
「他になんか面白い話ないの?」
「…。いやそんな…ネタ切れです」
それ以降、なぜか急に打ち解けて、いろんな話や助言もいただくようになった。
気難しそうで、やりにくいと思っていた人は、全く反対のタイプの人だったのだ。
きっと、ぼくの悪い思い込みのせいで、トンチンカンな話ばかりするから、イライラさせてしまっていたのだろうと思う。その後も付き合いは長く、その方が亡くなるまで続いた。
人間には、外見からはわからない心の中には、たくさんの複雑なものがあることを知った。
ここで学んだのは、
「人の内面は、外見では判断できず、じっくり話をしてみるまではわからない」
この女性から学んだ大切な知恵である。