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第6回 Mー1のあれやこれや


どうも。自家焙煎珈琲パイデイアです。

今日はMー1も近いことですし、好きな漫才やくだりなんかを書き残そうかと思います。

私が一番好きな審査員コメントは第二回(2002年)の立川談志がテツandトモのネタ終わりに放ったこの一言。

お前らここに出てくるやつじゃない、もういいよ。

これには会場の空気がサァーっと青ざめていくのがわかります。放送事故です。
確かに、漫才の大会にテツandトモはお馴染みにの赤と青のジャージで揃え、ギターを使った「何でだろう」のネタで出場し、決勝に勝ちがります。
例のマジラブが漫才か否かと騒ぎ立てられたことが可愛く見えるくらいに、一般的な漫才から外れています。

しかし、この言葉を受けて、表情が強張ったテツトモ、会場の空気をどうにか戻さなきゃという司会の西川きよしさんに、慌てたように立川談志は続けます。

いや、俺、これ褒めてるんだぜ
わかってるよな

これはこれで、まさに立川談志です。しかし、テレビの生放送としては事故です。
島田紳助も松本人志も何も言わなかったのは、あの二人をもってしても焼石に水な空気だったのでしょう。

のちに、この時のことをテツトモの二人がインタビューで、番組後の楽屋挨拶での会話から、その後、寄せに呼ばれたり、飲みに行ったりした話をしています。

ここに出てくるやつじゃない、という談志の言葉の真意を私はちょっと考えました。
おそらく、立川談志の中では、テレビで画面の向こう側の大衆にウケるよりも、寄席で目の前の客にウケる方がよっぽど難しい。
そして、その後に寄席に呼んでいるところから、私は談志の言葉をこう解釈しました。

ここに(=こんなテレビなんて生ぬるいところに)出てくるやつ(=出てきて満足するほど程度の低い芸人)じゃない、もういいよ(=もうこんな甘っちょろいところは卒業していいよ)
と、言いたかったんじゃないかと思うのです。

そして今や、テツandトモというと、お正月の寄席番組にはなくてはならない存在になりました。

何よりも落語協会を飛び出して、寄席から離れた談志の寄席に対する、客前にこだわる姿勢が垣間見れるコメントには落語ファンとしてもこれ以上のものはありません。

さて、Mー1の中で一番好きな漫才を思い出そうとすると、こんなに難しいことはありません。
今思い出せるだけでも、結構な数の漫才が浮かんでくるし、見返してみようもんならとんでも無い。
パッと思い浮かぶものだけを羅列してみましょう。順不同です。

・Dr.ハインリッヒ「みょうが」(2018)
みょうがを散歩して歩くという脈絡のない話がどうしてこんなに面白いのか。果たして、これは面白い、に分類されるのか。

・金属バットのつかみ「旗揚げゲームの白と赤」(2021敗者復活)
キレイ。美しい。スマート。
もう漫才の新しい次元に取り残されてしまったような心持ちでした。2位という惜敗で決勝を逃した彼らのストーリーみたいなものも相まって、より一層めちゃくちゃ好きになりました。

・和牛「ウエディングプランナー」(2017)
現在過去未来、こんなに完成された漫才はもう生まれないでしょう。
和牛以降、漫才の伏線回収に憧れた漫才師がどれだけいることか。それでもこんなに鮮やかで、ぐぅーの音も出ない漫才がもう見れないなんて。

・南海キャンディーズ「医者」(2004)
ボケでなく、ツッコミのワードを漫才の中心に鎮座させた天才。あきらめたって天才だよ。これを境にツッコミが花形の漫才師の新しい時代が来ました。
とはいえ、ボケだって「動物にとって火は脅威なんやで」なんてフレーズは何度だって笑わせられます。

・ダウ90000「旅行」(2021)
こ気味のいい蓮見くんのツッコミの矛先は考えてみれば、ボケていない女子に向けられている。女子たちは女子たちの「あるある」を面白おかしくやっているだけなんだ。
その「あるある」が綺麗に伏線として回収されながら、思わなぬ方向に漫才が展開された時には、笑いと関心とでごっちゃごちゃ。
予選動画のサムネだけで「こういうわちゃわちゃだけで乗り切ろうとする人たち毎年出てくるよな」なんて思ってごめんなさい。

最後にMー1をお題にした面白いYouTube企画があるので、書き残して終わります。
ギャル2人とナルシストのトリオ、ぱーてぃーちゃんのチャンネル「今夜は何パ?」の中の企画「準々決勝のコメント欄でどの漫才師か当てるんだぜ」です。
文字通り、読まれたコメントを元をどの漫才師のネタかを当てるというものです。思いつきそうで誰もいなかった、Mー1ファンには堪らない至宝の企画です。


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