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溝の中に落ちた仔猫 1

日曜日の昼過ぎ、リビングでくつろいでいると、外からピーピーという猫の泣き声が家の中に聞こえてきました。変だなと思いながらも、ご飯のおねだりをしているどこかの猫の声だろうと思い込んで放置してたのですが、ずーっと鳴き続けています。

流石に気になり、ベランダに出て辺りをみわますも、猫の姿はありません。他のお家の人も一瞬ベランダに出て声の先を探してるようだったので、私の空耳でもなさそう。もしかしたら助けての声かもと、外に出て近所を歩いてみました。
泣いたり泣かなかったり、その度に耳をすませて、この辺かなという場所の家の集まる場所に目星をつけました。何度か泣き声を聞いているうちに、声が聞こえてくる家を特定できたので、勇気を出して玄関のチャイムを鳴らしました。
出てきた女性は、「うちは犬はいるけどネコは飼っていないし、窓を閉めてるから聞こえなかったけど、本当にいるんですか?」と、ちょっと怪訝な顔。
そんな時タイミングよく、実際にピーピーとなく声が聞こてきたので、「本当ですね!」と、旦那さんと思われる方も出てきて探してくれました。2、3回庭を見たり、家と家の間の狭い隙間も探してくれたのですが姿が見えません。すると、
「いました!倉庫の下に!」と、小さな仔猫がそのお宅の倉庫の下にいるのを、旦那さんが写真付きで見せてくれました。どうやら猫は1匹で、ちょこちょこ動き回れる2、3ヶ月くらいの仔猫てした。
この辺に子猫を産む猫は居ないはずなのだけど、どこからやってきたのだろう?
色々謎が深まりますが、しばらくぶりの仔猫発見です。とりあえずこの先をどうしようかと保護活動休止中なこともあり、負担がのしかかってきます。とりあえず心を落ち着け、親が近くに居るかどうかも知りたかったので、倉庫の下にご飯を置いて一旦帰る事に。せめて保護先があればなぁ、知り合いに保護するアイテムを借りに行っていると、「猫がご飯を食べたあと、何処かへ移動した」との連絡が。しまった、、私が保護を迷ってしまったばかりにと、後悔が募ります。
幸い風邪の症状もなく健康そうだったこと、さっき食べた事で空腹が多少は満たされているであろうことが、せめてもの救い。ただ、外は雨。親猫が見つからなければきっと衰弱するか、交通事故に遭ってしまう可能性が高いでしょう。

戻って、そう遠くない場所で聞こえる声の先を探すと、とある傾斜地に建つマンションの3階ほどの高さにある側溝の中にいることが判明しました。気付くと隣に見知らぬ女性。近所の者ですとおっしゃっていましたが、後から聞くと猫ちゃんがいたお庭の方の知り合いで、子猫を保護したら迎えたいと思って車を飛ばしてみにきたとのこと。時間は夜中の12時を回っていました。

さぁどうしよう。一応貰い手がいる(お話を聞く限りだと信頼できそうな方)し、1匹で迷っているのだから保護しなければ。他人のマンションの結構深そうな溝の中、夜中のうちにさっと保護できたら1番ですが、そこにいくには高いフェンスを乗り越えていかなくてはなりません。
こんな夜にもかかわらず、遠くに住むボラ仲間が知恵を出してくれ、網はどうか?ということでした。網を持っていなかったので、明日の朝になって借りに行くよりも、今のうちにあった方が早いと思い、警察に網があるか聞きに行くことにしました。夜中の1時過ぎに一人で自転車を走らせ警察に網を借りに行く私。住宅街はどこを走っても無人で、静寂に包まれていました。
結局網は大きすぎて幅が溝に入らなさそうで無理だったのですが、まずはマンションの管理会社に敷地に入る許可がないとだめということでした。警察の方も真剣に対応してくださいました。夜中に網を借りにくる変な人ですみません、という気持ちに。

結局2時過ぎまで色々と考えたり、仔猫の安否を確かめに行ったりしました。ただ、猫の声が響く中、現場のマンションの人、近所の家の人、誰一人として窓を開けたり気にする人はいませんでした。皮肉にもそれがかえってやりやすかったのですが、とりあえず明るくなってみなければ状況もわからないので、一眠りすることにしました。

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