金魚も時には空を飛ぶ1

館林教授は金沢大学で金魚の研究をしている。教授の研究室にはありとあらゆる金魚がいる。しかし、教授が手に入れていない金魚が1つだけある。空飛ぶ金魚だ。数年前までは灯籠祭りの夜店で売られていたらしいが、教授が金沢大学へ赴任した時にはもう売られていなかった。

どうしても手に入れたい。教授はあらゆる手を使い空飛ぶ金魚採りが尾張町にいる情報を掴んだ。が、金魚採りはすでに引退しており、後継者はいないという。なんということだろう。手に入らないとわかればどうしても手に入れたくなるのが人間というもの。教授は考えた。手に入らなければ作ればいい。

教授は手に入る限りの文献を読み漁ったがまるでわからない。諦めるか…いや、この館林康男が諦めるなんてことがあってはならない。もはやここまできたら執念である。そんなある日、玉川図書館の分館に指南書があるらしいということがわかった。しかし、ここでまた大きな障害が現れた。玉川図書館に問い合わせると分館も存在しないとの回答された。くそっ忘れてた。金沢はよそ者には深部を見せないのだ。教授は頭を抱えた。抱えた時にあることを思い出した。これだ!これしかない。教授は急いで受話器を取り番号を打ち込んだ。

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