本日は天気晴朗なり

天気とは。その名の通り天の気持ちである。天とは神様のことであり、気象とは本来関係ない。

丸澤圭一郎はため息をついた。ここ最近、金沢で明らかに不審なことが続いている。例えば、浅野川で巨大な緋鯉が遡上する。卯辰山で鼻の長い人間のような謎の飛行物体が煙草らしきものを吸いながら若い女性に声をかける。小立野の坂をカラフルな達磨が凄い勢いで転がっていく。これらの事象が最近増えた観光客に次々目撃。ネット上に公開され、火消ししようにも追いつかない。

丸澤の仕事は市役所でこれらのことの火消しとクレーム対応だった。金沢市長には「これらのことは現在原因究明中です」とだけ言うようにお願いしているが、流石にそろそろ市長の雷が落ちそうである。

原因はわかっている。天気のせいである。金沢に住む神様が何がしかの原因で腹を立てているに違いない。しかし、その何がしかがわからない。困った丸澤は文化課の井澤成道に相談すると

「じゃあ、東山の金城家に相談に行けばいい」

と言い、サラサラと地図と持って行くもの、やってはいけないこと、言ってはいけないことをメモ紙に書いてくれた。

なんだこれ。面倒くさい…丸澤は井澤に礼を言い自分のデスクで頭を抱えた。

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