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1.はじめに 長野ゲストハウスヘルパー体験記

1166バックパッカーズで、春から共にゲストを迎えてくれるスタッフを募集します。

 2013年のお盆に3日間滞在し、それ以来フォローしている宿のオーナー飯室織絵さんのFacebook投稿を見たのは2021年の2月3日だった。現在、同年6月8日。わたしは長野県長野市にあるゲストハウス1166バックパッカーズにいる。1ヶ月間、7月初旬までのヘルパーである。

 ゲストハウスというのは宿泊施設のことで、ひとつの部屋に複数人が寝泊まりする。魅力はゲスト(お客様)同士、宿スタッフ、地域の方々との交流で、リビングのようなオープンスペースが用意されていることも多い。
 飯室さんのスタッフ募集投稿“ヘルパーの過ごし方”によれば、ヘルパーというのはアルバイトスタッフのサポートで、ゲストが観光やチェックアウトで宿を出た後のそうじや、宿内整備の手伝いが主な仕事。給与は出ないが滞在費はかからず、午前中の仕事以外の時間は宿で過ごすもよし、他のところでのアルバイトもよし、観光もよし。給与ではなく、経験や知識を得ようとしている方、とのことだ。

 投稿を見た時、わたしは秋田県由利本荘市にいて県立高校の事務補助をしていたが、夫の転職が決まり、4月に岩手県奥州市に移住することが決定していた。さらに9月~翌年1月は某大学のオンライン社会人セミナーを受講しようと思っていた。2021年は春から無職になるけど引っ越しで忙しいし、新しい環境に慣れるには時間がかかるし、秋からは10年ぶりに授業を受けるからさらに忙しいなぁ大丈夫かなぁなんてへらへらしていた。そして未知のウィルスは大いに心配でもあった。

でも、ピンときてしまったのだ。

 定職に就いたら長い期間滞在なんてできないんじゃないの、仮に子どもができたら長距離移動なんてしばらくできないんじゃないの、宿泊費がかからず希望の期間滞在できるなんてそんなチャンスもうないんじゃないの、そんな声が頭に鳴り響いた。でもなにより、これから何をして生きていこうか全然見えなくて悶々としているんだから、ヒントを得に行きたい。そんな思いに突き動かされた。

 8年前、はじめてのひとり旅で長野市を訪れ、各国のゲストと話して自分とは全く違う価値感があることを知った。あの宿でならヒントが見つかるはずだと、投稿を見た夜に応募メールをほぼ完成させ、夫にも一応相談し許可を取りつけた(二つ返事で「いってらっしゃい」だった)。

 そんなこんなで無事に採用になりゲストハウスの1ヶ月ヘルパーが始まる。期間が終わる頃、果たしてわたしは何か得ることが出来ているのであろうか。1ヶ月の体験記をこれから書いていきたい。


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