おそろい

「おっ、おつかれ〜」
さっきまで暑さと眠さでぼーっとしてたのに
一気に目が覚めた。
「授業終わった?」
「うんー、めーーーーっちゃ眠かった」
「そんな顔してるわ、ほら」
顔に当てられた冷たい缶でさらに目が覚めた。
「あー!好きなやつ!ありがとう!」
ジュースを受け取ってお礼を言うと
「ん」とだけ言って前髪を触りながら
あっちを向いた。
(あっ照れてる)
私だけが知ってる大好きな彼の癖。


「今日なにするー?」
「んーまぁとりあえず帰るかー」
「うち来る?そっち行こうか?」
「どっちでもいいよー」
「じゃそっち行こーっと」
「あっ片付けしてねぇや」
「いつもじゃん笑」

暑くて汗が吹き出しそうなのに
手は離さないでいてくれるところが好き。

「ゲームでもする?」
「んー課題でてるからちょっとそれを
「えーいいじゃんおいで」

結局いつもなにをするわけでもなく
ベッドの上でゴロゴロして1日が終わる。

「ぁあ〜〜」
「おっきいあくびだねぇ笑」
「はらへったなー、飯食いに行くかー」

よく行く近所の居酒屋でご飯を食べて
コンビニでアイスを買って食べながら帰る。

「なんかいつも一緒だねー」
「え、今日チョコじゃねーよ?」
「いや、アイスじゃなくて笑
 大学終わって家行ってご飯食べてアイス!」
「あー、確かに。なに?たまにはどっか
 連れてけって?」
「いいねー!ハワイとか?!」
早足で先に行ってしまった
「ちょっと!待ってよ!笑 嘘だって!」
「まぁじゃあ次の休みはもちょっと高いアイス
 食いに行くか」
結局アイスなんだと2人でケラケラ笑いながら
少しだけ涼しくなった夜道を歩いた。

「でもいつかほんとに行きたいなー、ハワイ」
「まぁいつか、はね。お金ないしね」
「じゃあ新婚旅行はハワイにするか!」

ドキッと胸がなった。

「えー、うんいいねー」

気づかれないようになるべく普通にかえす。

「あっ、照れてる」
「え?照れてないよ?なんで?なにが?」
ふふっと笑う彼。
「自分では気づいてないかもだけど照れると
 髪を変わるんですよ、きみは。
 知らなかっただろー笑」

びっくりした。

「え?私も?」
「え、なに私もって。え、俺も?!」
「そうだよ」
「まじで?!ちょ、なんかはず!」


いつもと同じ景色の帰り道が
なんだか今日は少し違って見えた。
こうなったらいいなって思ってたことを
相手も思っていたと知ったから。
自分だけが知っている特別が
大好きな人と同じだったから。

未来はどうなっているかわからないけど
今は繋いでるこの手を離さないようにしよう。


🎧気づかれないように
 aiko

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