令和4年第1回定例会 録画映像(予算特別委員会) パートナーシップ制度に関する質疑答弁

予算特別委員会においては3名より質問、そして答弁がありました。

予算特別委員会令和4年 3月7日 映像①はこちらから↓ https://www.gikai.metro.tokyo.jp/live/video/220307.html

1.  都議会公明党 高倉良生 議員
【①映像内 6:13:00〜】

○高倉委員 それでは、次に、今年創設をされる方向になっております同性パートナーシップ制度−−同性というよりは、今回はパートナーシップ制度ということで、さらに少し広い制度になるというふうに思います。これについてお伺いしたいと思います。
 性的マイノリティーの当事者の方々から強い要望が寄せられてきた同性パートナーシップ制度につきまして、都議会公明党は繰り返し創設を訴えまして、昨年第二回定例会では、私や同僚議員が紹介議員となった制度導入を求める請願が全会一致で趣旨採択されております。
 令和四年度に制度を創設するとしまして、都はこのほど素案を示しました。その素案策定に当たりまして、性的マイノリティー当事者の思いをどう制度に込め、制度構築によって目指す都市の姿をどうされるのか、知事のご所見をお伺いしたいと思います。

○小池知事 インクルーシブシティ東京の実現に向けまして、性的マイノリティーの方々が自分らしく暮らせる環境づくりにつながるように、素案の策定に当たりましては、様々な観点からの検討を行いました。
 まず、対象者でありますが、近隣県からの通勤、通学者が多いこともございまして、そういう東京の実態を踏まえて、都民のみならず、在勤、在学の方も対象としたところであります。
 また、意図せず性自認や性的指向を知られてしまう、いわゆるアウティングへの対策に万全を期すということから、当事者のデジタル環境が整っていない場合などを除きまして、手続をオンラインで完結する仕組みを全国で初めて導入をいたします。
 加えまして、証明書発行後もメール等によりまして、都の施策に関する情報提供を行うとともに、生活上の困り事を伺うなど、つながりを持ち続けられる制度といたします。
 現在実施しているパブリックコメントなどを踏まえまして、今年の秋の運用開始に向けて制度を構築し、誰もが自分らしく生きられる共生社会の実現を目指してまいります。

○高倉委員 そこで、この同性パートナーシップ制度の導入に併せて取り組んでいただきたいという課題についてお伺いしていきたいというふうに思います。
 ちょっとこのパネルをご覧いただきたいと思います。これは、都の職員の方々の福利厚生の、そういった待遇の今の状況でございます。
 これを見ていただくと分かりますように、同性パートナーの方については介護休暇のみ、これは二〇二一年の一月だったかと思いますが、同居家族のみ対象になったということで、これは三角にしてありますけれども、一歩前進が見られたわけですが、まだまだこれからなんですね。
 私は、東京都の条例、規則、例規集を調べてみました。その中に、本文中に配偶者という文言があるものが一体どれぐらいあるのかというふうに調べてみましたところ、百八十本以上あります。まあもちろん、それが全て何らかの改善が求められるというものではないかもしれませんけれども。
 このパートナーシップ制度を導入した際に、今回の素案でも、民間の事業者に対して、やはり様々な呼びかけをする内容を盛り込まれておりましたけれども、その前提となるのは、やはり隗より始めよで、東京都自らがしっかり取り組んでいくということが必要であると思います。
 そこでまず、この制度創設に向けて、都庁自らが取り組んでいく取組としまして、同性パートナー職員の処遇について改善を図るべきと思いますけれども、見解を伺います。

○村松総務局長 都職員が性自認及び性的指向にかかわらず活躍できますよう、職場環境を整備することは重要でございます。
 そのため、都は、パートナー関係にある性的マイノリティーの職員に対する福利厚生制度等の適用に関しまして、国や他団体の状況等を注視しつつ、根拠となる法令との整合性について整理を進めてまいりました。
 今後、今回策定いたしました東京都パートナーシップ宣誓制度の素案も踏まえ、地方公務員法に基づく国や他団体との均衡の原則や、福利厚生制度の目的、趣旨を考慮しつつ、受理証明書の活用を含め、具体的な見直しを検討してまいります。

○高倉委員 今、具体的な見直しを検討するというご答弁がありました。しっかりお願いしたいと思います。
 先ほど申し上げた、例規集の百八十本以上に配偶者という文言があると申し上げましたけれども、その多くは、こうした、職員の方に関わる、そうした規定になっておりますので、ぜひしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。
 もう一つ、これは東京都職員のことではありませんけれども、都が実施をしている都民サービスにつながる様々な事業、これについても一つ一つ、やはりこのパートナーシップ制度の創設に合わせて改善を検討していくということが必要だと思いますけれども、これについての見解を求めます。

○村松総務局長 パートナーシップ宣誓制度の目的の一つでございます性的マイノリティー当事者の困り事の軽減など、暮らしやすい環境づくりにつなげるためには、都の行政サービスにおいて受理証明書の活用を図っていくことが必要でございます。
 このため、当事者からのニーズが高い、住宅や医療等の分野をはじめとした行政サービスについて、国の法令により対象者が規定されているもの等を除き、幅広く証明書が活用できるよう検討しているところでございます。
 これまで各局とは、それぞれの所管事業における受理証明書の活用や実施に当たっての課題整理など、検討を進めております。
 今後も引き続き、各局と精力的に調整を図ってまいります。

○高倉委員 これはぜひ、都の事業をしっかり調べて検討していただきたいと思います。各局にそれぞれまたがっているものもあるかと思います。ちょっと局の方に聞いてみたいというふうにも思ったんですけれども、ちょっと今日は時間がありませんので。
 先ほど答弁で住宅のことがございました。私どもも、特にこの都営住宅の入居について改善を図っていくべきということを申し上げてまいりましたけれども、このことについてだけ答弁を今日、求めておきたいと思います。

○榎本住宅政策本部長 パートナーシップ宣誓制度導入の趣旨を踏まえまして、都営住宅への入居に当たりましても受理証明書が活用できるようにすることが必要でございます。
 このため、都は現在、同様の制度を導入している他の自治体における公営住宅への入居資格の確認方法等について調査を行っております。
 今後、こうした調査の結果やパートナーシップ宣誓制度構築の検討状況を踏まえまして、関係局と連携を図りながら、パートナー関係にある性的マイノリティーの方々が証明書を活用して、都営住宅への入居が可能となるよう、管理制度等における取扱いについて検討を進めてまいります。

○高倉委員 このパートナーシップ制度について、最後に、今日、都庁職員のことをお聞きしましたけれども、都庁グループであります政策連携団体の職員についても、私は改善を図っていくべきであるというふうに考えます。
 このことについて答弁を求めたいと思います。

○村松総務局長 都庁グループの一員でございます政策連携団体におきましても、多様な性に関する職員の理解を促進し、性的マイノリティーの当事者を含めた職員一人一人の人権が尊重されることが重要でございます。
 このため、都は政策連携団体に対して、パートナーシップ宣誓制度の意義等について十分な周知を行い、職員の意識向上を図るとともに、都における福利厚生制度の見直しの状況も踏まえながら、団体の制度整備を促してまいります。

○高倉委員 今、ずっと聞いてまいりましたけれども、それぞれしっかり検討していくということでありますので、制度創設に合わせて改善が図られるようによろしくお願いを申し上げたいと思います。




 予算特別委員会令和4年3月9日 映像②はこちら↓ 
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/live/video/220309.html

2.  日本共産党東京都議会 曽根はじめ 議員
【②映像内 2:04:09〜】

○曽根委員 この間、知事は、新たにパートナーシップ制度を新年度に導入し、住宅や医療等の都民サービスについて、制度利用者が活用できるよう検討すると述べました。
 都営住宅についての活用の検討は、今どのように進んでいるでしょうか。

○榎本住宅政策本部長 パートナーシップ宣誓制度構築の検討状況を踏まえながら、同様の制度を導入している他の自治体における公営住宅への入居資格の確認方法等を調査しておりまして、都営住宅の管理制度等における取扱いにつきまして検討しております。

○曽根委員 重要な答弁です。LGBTQの方々からは、一緒に暮らす上で大きな障害になっているのが住まいの問題だと、切実な声を伺っております。
 民間、公共を問わず、賃貸契約が大変だという問題を、パートナーシップ宣誓制度が発足次第、早期に入居資格の拡充をすることを強く求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。




3.  日本共産党都議団 原のり子 議員
【②映像内 7:21:22〜】

○原委員 次に、パートナーシップ制度について伺います。
 ようやく、パートナーシップ制度の実現へと動き出しています。都民、そして何よりセクシュアルマイノリティー当事者の声で練り上げて、よりよいものにしていくことが大切です。幾つもの大事な論点がありますが、特に根幹に関わると思われる二つのことについて伺います。
 まず一つは、素案で示されたオンラインで申請から登録まで完結するということについてです。その理由はどういうことか。また、オンラインだけでなく、ほかの方法も選択できるようにすべきではないかと考えますが、いかがですか。

○村松総務局長 都が実施しました有識者等のヒアリングで、当事者同士が窓口に赴くことで、意図せず性自認や性的指向を知られてしまう、いわゆるアウティングに当事者の方が不安になるというご意見がございました。
 そこで、アウティングへの対策に万全を期すため、当事者のデジタル環境が整っていない場合など除きまして、証明書の発行に至る全ての手続について、オンラインで完結する仕組みを全国で初めて導入することとしております。

○原委員 オンラインでできるようにすることやアウティングへの配慮は、大事なことだと私も思っています。しかし、原点に返って考えてみると、本来祝福されるべきことなのに、オープンにすることが難しい今の日本の遅れた現状が問題だというふうに思っています。
 また、多様な生き方を尊重する制度なのに、オンライン一択というのはどうでしょうか。ご本人たちの希望を尊重し、直接窓口で申請をしたい、証明を受け取りたい、そういうことも検討すべきではないかというふうに思います。
 これは手続の問題ではなくて、誰もが自分らしく生きられることを認め合える、そういう制度の在り方に関わる問題ですので、パブリックコメントの意見も踏まえながら、検討していっていただきたいと要望しておきます。
 もう一つの課題は、子供の問題です。パートナーシップ制度素案では、子供の名前を補記できるとなっていますが、補記とはどういうことですか。

○村松総務局長 子供の名前の補記につきましては、パートナー関係にある方々に子供がいる場合に、希望に応じて都が発行する受理証明書にその子供の名前を記載することにより、保育園の送迎時や病院の付添いなどに際して、受理証明書を活用可能とするものでございます。これにより、子供に関する困り事の軽減を図れるものと考えております。

○原委員 補記というのは、補って書く、書き足すということです。子供は大人の附属物ではありません。子供の名前を実際に書くかどうかはそれぞれの判断ですが、補記というこの表現は使うべきではないと思います。
 では、セクシュアルマイノリティーカップルの子供たちの権利を守ることについて、こども基本条例ではどう位置づけられていると捉えていますか。

○中村福祉保健局長 東京都こども基本条例の前文では、社会の宝である子供は、また社会の一員でもあり、あらゆる場面において権利の主体として尊重される必要があるとしております。

○原委員 今のこども基本条例で書かれていることは、とても大事だと思います。この立場に立って考えていくべきことだというふうに思います。こども基本条例に立てば、補記というこの言葉はあり得ないと私は思います。この場では、ぜひとも検討して見直していただきたい、そのことを強く要望しておきたいと思います。
 この間、セクシュアルマイノリティーファミリーの方々のお話をいろいろ伺ってきました。命や尊厳に関わるような問題がたくさんあるのだということを知りました。
 日常的に困り事はたくさんあって、そのたびにパートナーや子供のことを何度も説明しなければならず、結局理解してもらえず傷つき、もう何もいわないと決めている人たちもいるということ。また、子供が骨折をしたときに、実母ではないパートナーが病院に連れていったけれども、実母が到着するまで手術をしてもらえなかったこと。パートナーの病気についての説明を受けられなかったこと。パートナーをみとることもできなかったこと。何かあったときに家族として認めてもらえない、こういうことがたくさんあることに胸が痛みます。
 パートナーシップ制度と併せてファミリーシップ制度も実現をして、誰もが自分らしく生きていくことを応援する制度にしていかなければならないのではないでしょうか。
 そして、制度をつくった後も大事です。証明を受けた方々がいつでも相談できる体制をつくり、それぞれの悩みや困難を聞き取り解決につなげていく、制度を常にブラッシュアップしていくことも必要です。そのためにも、当事者による専門職の配置をすべきであることを提案しておきたいと思います。
 パートナーシップ制度創設とともに、セクシュアルマイノリティーの方々の困難に寄り添った施策を前進させていくことが求められています。
 ひきこもりUX会議の調査によると、引き籠もっている方々の中に、セクシュアルマイノリティーの方たちが一定数いるということが分かりました。都としては、こうしたダブルマイノリティーの方たちの存在を把握していますか。

○中村福祉保健局長 ひきこもりの状態にあります性的マイノリティーの方がいることにつきましては、東京都ひきこもりに係る支援協議会における議論の中で意見をいただいております。

○原委員 当事者や家族が協議会に入ったことにより、こういうことが可視化された。とても重要だと改めて思いました。
 UX会議の調査では、ひきこもり支援はセクシュアルマイノリティーを想定していない、あるいは、セクシュアルマイノリティーが安心して行ける、話せるひきこもり支援場所が欲しいなどの意見が寄せられていました。
 セクシュアルマイノリティー当事者を孤立させず、寄り添う取組の強化が求められています。その鍵は居場所支援だと考えます。安心して参加できる居場所の必要性について、知事はどのように認識されていますか。

○小池知事 自身の性の在り方や生き方について、一人で悩みを抱える性的マイノリティー当事者がほかにも同じ悩みを抱える方がいるということを知って、互いにつながる機会を持つことは重要であります。
 そのため、都は、当事者同士が安心して集い、語り合うことなどによって、悩みや困り事の解消につなげる交流の場事業を昨年度から既に実施をしております。

○原委員 今ご答弁にあった支援の場の事業ですけれども、LGBTやそうかもしれない若者の居場所支援事業、これは来年度予算案の中にも位置づけられています。揺れ動く気持ちがあってもいい、自分はLGBTQかどうかまだ分からない、そのありのままの状況で、安心して参加できる大事な場です。改めて定期開催を求めておきたいと思います。
 先ほど質問したダブルマイノリティーの方の居場所をはじめ、参加しやすい居場所を新たに検討することも求められています。居場所を生きるための大切な場、安全な場として位置づけていくことを求めて、次の質問に移ります。