読書感想文(14)シェイクスピア作、福田恆存訳『お気に召すまま』

はじめに

この本は自粛に備えて文庫本をたくさん買った時に買いました。シェイクスピアの作品も買おうとと思い、読んでない中から選んだだけなので特にこの作品を選んだ理由はありません。今までシェイクスピアの作品はソネット集(未読了)以外は全て新潮文庫で読んでいましたが、そろそろ残りも少なくなってきました。数えてみると、シェイクスピアはこれがちょうど10冊目でした。2桁になるとなんやかんや結構読んだなぁという感じがします。

感想

話の内容は比較的わかりやすく、おもしろかったです。ただ何が面白いのかと言われると、ちょっと難しいです。登場人物の自虐風の振る舞いや、真相を知る者と知らない者との会話などは面白かったですが、なんというか、それほど盛り上がらなかったというか、普通に楽しんで読んだという感じでした。これは決してこの作品が悪いのではなく、自分の知識と読解力の不足によるのだと思います。この作品を読んでいると、時々何かを暗示しているように思われる所がいくつもありました。しかし、それがなんなのかがわかりませんでした。この作品は元の街から追い出された人たちが集まる森が主な舞台です。なので貴族社会に対する風刺だったりするのかなぁ、と思うところがありましたが、そんなぼんやりとした感想に留まっています。背景知識を知らないというのはやはり読解に大きく影響があるなぁと思いました。

他に残念だったのは、原文のリズムがわからないことです。これはもう翻訳を読んでいる時点で言っても仕方ないのですが、言葉遊びの部分が日本語だと全然わからなくなってしまいます。今までもそういう事はあったのですが、この作品は機知に富んだ会話が多かったので一層残念に思いました。

少し気になったのは劇中異性装についてです。登場人物の女性の一人は途中男装して男として振る舞います。しかし演劇の役者は当時男しかいなかったので、男が演じる女性が男を演じる、という面白い状況になります。そういったものがあるという事は以前から知っていたのですが、実際に読んだのは初めてだったと思います(少し調べてみると、シェイクスピアの作品では他に「十二夜」「ヴェニスの商人」に劇中異性装があるようです。どちらも未読です)。現代風に言うと、宝塚歌劇で男性役の人が作中で女装するような感じでしょうか。歌舞伎は今でも全て男の人が演じていると思いますが、その中での異性装はまだ観たことがありません。多分現代の演劇の多くはそれぞれ性別に合わせて演じていると思うので、実際に観ることができるかはわかりませんが、それぞれでどんな印象の違いがあるのかちょっと気になります。

あとタイトルの「お気に召すまま(原題:As You Like It )」について、何故この題になるのか気になりました。ちょっとだけ調べてみましたがよくわかりませんでした。ただ調べる途中、「お気に召すまま」という曲がある事を知りました。歌詞やMVを確認した所シェイクスピアの「お気に召すまま」とは恐らく無関係だろうと思いますが、テンポの良い曲で元気が出ました。

最後に、結末についてはものすごく驚きました。なんというか、急展開すぎて「え??」となりました。その少し前、結末に向かう過程のところでは綺麗にまとまろうとしていたので良かったのですが、「その後そこまでいっちゃうんだ!」と思いました。ネタバレはしませんので気になった人は読んでみて下さい。短いのですぐに読めると思います。

おわりに

次のシェイクスピア作品は同じく新潮文庫の『じゃじゃ馬ならし・空騒ぎ』になると思います。

ところで、『嵐が丘』ですが、まだ半分くらいです。ほとんど読み進められていません。言い訳は、家にいると時間を作れないのと集中できないからです。『嵐が丘』が面白くないわけではなく、読むのを中断する度に続きが気になります。ただ全然読み終わる気配がしないので、再開するのが億劫になってしまっています。もう話がかなり進んでいるはずなのにまだ半分もあるので、これからの展開は気になります。気になるけど、読む気にならないという、よくわからない状態です。読み始めてからもうすぐ3週間です。そろそろ読み終えたいという気持ちもありますが、義務になると楽しさが半減してしまうので、気長に少しずつ読んでいこうと思います。

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