良い靴、良い鞄、そして良い傘
こんにちは、おこげです。
前回に引き続きあきやあさみさんの『一年3セットの服で生きる』を読んで以後起きた我がファッションにおける変革について、ご当地ニュース的にnoteをしたためました。
前回はこちら👟
靴は自己評価、バッグは自己紹介。
なるほど確かに同じ服を着ていても、靴と鞄がキマッていればファッション全体が締まって見えます。
実際この本を読むより少し前にパリ流ファッションスタイル診断を受け、そこでの提案を基にハンドバッグとショートブーツを妥協許さず探し出して迎えました。
これらを家を出る前最後に身につけ鏡で着こなしを確認すると、「今日の自分、バチッと整ってるな…!」という実感が持てる。
なんとなく購入した、手放すのも勿体ないしな…と使っていた鞄や靴のときは、むしろそれまでまとまっていた着こなしがぼやけて散らばった印象になってしまうから不思議です。
イメチェンしたいならまず髪型と眉毛と言われますが、ファッションにおける印象を決定する最重要ポイントは間違いなくこれらなのでしょう。
さて、今回の本題はここからでございます。
転機となったのはとある雨の日。
怒涛の試着うん本ノックを経て出会えた秋服に先の鞄、オックスフォードデザインのレインシューズで「雨の日も抜かりないぜ…」と心持ちは映画の悪役のような具合だったのですが、鏡の前でなぜか感じるピンボケ感。
何が起こったんだ………
ここ最近いい感じだったじゃない…
違いといえば、これしかありません。傘です。
この日身につけていたものたちの中で唯一深い思い入れなく選んだものでした。
平たく言えば「適当に買った」ものだったということです。
これまで傘に何を求めてきたかというと、圧倒的に"実用性"でした。雨に濡れたくないから直径の長いものがいいな、というような。
材質にもあまりこだわりがなく、真っ赤だとか蛍光色だとかの過度に奇抜な見た目でなければ良し、最悪出先で入ったコンビニにてあるものを購入するような有様だったんですね。
(ちなみに唯一自分が「好きだな!」と思い選んだ傘は、オーロラ傘というんでしょうか、真珠のような虹色に光るビニール傘です。柄が竹材でかわいい。)
それほどまでに傘に無頓着だった。
正確には「傘を持った全身トータルのコーディネートが人に与える見た目の印象」に無頓着でした。
が、本を読み最愛の品だけで仕上がった自分に見慣れ始めてちょっとばかり目利きになったからでしょうか、もうね、違和感しかないのです。
かっこいい金モールのついた隊服で整列する鼓笛隊の中に1人全身ジャージの方が紛れてしまったような…
あんなに無風流でしたが待てよ、雨の日の外出スタイルにおいてむしろ傘って大面積を占める目玉アイテムでは!?
晴れの日の靴、鞄に次ぐ雨の日のファッションの要、傘。
今こそ真剣に試着旅をすべきとき!
さて伺ったのは某百貨店。スカーフのときと同じ場所です。
欲しいものに対する知識が無いが質の良いものを見つけたいとき、とりあえず百貨店に行けばなんとかなるだろうと考えている節があります。
フロアに到着してまず目の前にセール品コーナーがありました。ラルフローレン等名の知れたブランドの品が陳列されています。
これまでの傘遍歴と比べ、明らかに造りが丁寧。
柄の素材や骨の頑丈さが段違いです。
このコーナーでいくつか試して、もっといいものが無ければこれにしよう、という傘をキープし定価のコーナーへ移動します。
(冗談でなく人生で初めて傘の試着なるものをしました。いやどうするんだ?と行くまで困惑していましたが、百貨店の傘コーナーはその点考えられていて幅広の柱の一面が丸ごと鏡になっているんですね!
立ち姿で傘を広げ実際にさした状態を客観視でき、服と同じようにサイズ感や似合いの度合をチェックできました。)
さて、定価コーナーですが…
全然違う。
個人的主観ですが、より幅広い層に人気のありそうな柄のものやセール品よりさらに良い造りのものが多く、また色展開も豊富。
お値段面はもちろんセール品に軍配が上がりますが、心に響くこれぞ!という傘を見つけるなら初めからこちらを覗く方がよさそうです。
そういえばあきやさんの著書にも「まずは高いものから見よ」とあったな…まだまだ精進が足りませんね。
移動して早々、心を掴まれる品がいくつも…!
試着に注力した結果写真を一切撮っていないため、以後に載せる試した傘たちの抜粋は公式HPの画像を使用いたします。
トップバッターはこちら。
色が綺麗!好き!と最初に目が合いました。ランバンのものです。
濡れたような光沢が美しい厚みある生地。先端が長くエレガントです。
柄は持ち手部分が革、その上は木目調で高級感ある佇まい。
植物モチーフの曲線的な模様は生地全体とのコントラストも弱く得意要素満載。
とっても良かったのです……が、悲しいかなご縁がありませんでした。
要因は傘の縁。ややカーキに寄った焦茶色が全体のベージュと明度差があり、私にはコントラストが強かった。
私に合うものはきっと他にある!
潔く諦めて次へ進みます。
いくつか試していき「これはなかなか」「うーむまさしくノットフォーミー」など素早く振り分ける中で、鏡を見た瞬間「いい!」と思ったものがこれらです。
イギリスにあるV&A(ヴィクトリア&アルバート)博物館に所属されているウィリアム・モリス氏のコレクションの中でも特に有名な『いちご泥棒』のモチーフを使用したもの。
もともと好きなモチーフということもありますが、光沢ある厚手のジャガード生地のちょっと凹凸ある様子がたまりません。
とりわけブルーは色が大変に良き。
色に一目惚れしつつ、模様と地の色とのコントラストも弱くていいな…とニマニマしました。
と、そんなこんなでちょうど空いていたこともあり売り場の約半数の傘をさしては戻し試着した結果選んだ私の傘は………この方です! デデドン!
どこかで見覚えがあるぞ?
そうです、トップバッターの傘の色違いです。
実は私が定価コーナーに最初到着したとき、これは売り場に置かれていなかったんです。
別の方がキープなさっていたものをお戻しになられたかもしくは途中で補充されたか、試着を進めて終盤に今まで無かったこの傘が増えていることを発見しました。
トップバッターの傘の断念ポイントだった縁と地の色とのコントラストを難なくクリアする私に優しい配色。
模様や生地、デザイン等非常に気に入っていた最初のものの色違いで、しかもこれまたいい色味!
鏡で全身を見たときに元から持っているものかのように馴染みしっくりきたことが決め手となり、無事!思い入れの深い唯一無二の1本を迎えることができました!
今回傘の試着旅(日帰り)を敢行して気がついたことがあります。
それは私のような傘には実用性しか求めません!というような人間こそ質の良さにこだわった方がいいかもしれないということです。
たくさんの傘を試すために試着中は素早く開け閉めをするのですが、普段使用していたものに比べてこの一連の動作がずっとスムーズ。
開ける際の引っ掛かりも、閉じる時にひだがぐちゃっとして畳み直すこともありません。
質のいいものは見た目の美しさだけでなく道具としての機能も優れている…!
騙されたと思って一度価格帯の高い傘を手に取ってみていただきたい。
そしてもう1点。
傘がコーディネートに影響力を持つのは何もさしているときだけではないのです。
試着し終えた傘は開いたままですと幅を取るためすぐ畳んで手で持ったり腕にかけたりします。
鏡の前で行いますから、必然的に閉じた傘を持った姿の自分が映るんです。
そうするとどうでしょう、手持ちの閉じた傘がコーディネートにおいて鞄とおなじかそれ以上に存在感を放っているではありませんか!
靴は自己評価、バッグは自己紹介。
傘も自己紹介だと思った方がいいかも…!?ただの道具じゃないんだ…侮れないな…
試着前と後の2段階で認識を改めることとなりました。
お気に入りの選抜チームで仕上げられたコーディネートを纏うのが楽しくて仕方ない今日この頃。新たに傘が仲間に加わって、天候問わずますますファッションと外出を謳歌できそうです✨