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アメリカ縦断ぼっち旅 13日目① いざ念願のパンサーメドウズへ


早く起きられた。

ステーキおじさん(ジム、にしておこう)を起こす時間にはまだ早い。

湖畔に出てシャスタ山に、今日行くからねー、とご挨拶。

身支度を整えて、ジムのトレーラーハウスのドアを叩くと、寝ぼけた声。
しばらくすると、朝食にサンドイッチとコーヒーをくれた。

テントを撤収して荷物を全部パッキングして、このままシャスタ山のパンサーメドウ キャンプ場で泊まれるようにしようか、一瞬頭をよぎった。

でも今晩の夕食は厚切りの特大ステーキ、って言ってたし。


食欲に負けた。


近くのトイレに、昨日親切にしてくれた掃除のおじさんが来た。
「おはよう、昨日はそこにテント張ったのか?」
 -ジムがいいよって言ってくれたんだ。しかも今日これからパンサーメドウ まで乗せてってくれるんだよ。
「そりゃよかったな。あいつはいいやつだよ」

話し終えたところでジムの車が来た。
やっぱり鼻歌フンフンフン。




途中ガソリンスタンドに入り、ジムが店員さんにパンサーメドウズの行き方を聞きに行く。
Google マップて行けるけど…まぁなにか地元情報あるかもだし。

10分ほどかかってようやく、コーヒー片手にジムが戻ってきた。
店員さんが教えた行き方と、今私の手元のGoogleマップが示す行き方は違う。

私がナビをしていたが、違うなー、言ってたサイン無いなー、とか混乱してきたようだったので、マップをアメリカ仕様に変えて(英語音声、マイル表示)ジムの見えるところに音量を上げて置いておく。

ようやく軌道に乗れたようだ。
一安心。


途中、日本人女性と思われるヒッチハイカーが、親指を上げて歩いている。

ジムは特に気にせず通り過ぎる。

「ヒッチハイカー?乗せたことないよ」

あのう、私ヒッチハイク的な感じで今この助手席に乗せてもらってるんですけどぅ

なんにせよ、乗せてくれてありがとう。同郷と思われる旅人よ、ごめんね。



ジムはこの後11時に車屋で修理を1時間ほどしてもらい、私を迎えに来てくれるという。

車はどんどん高度を上げて行く。

「こんなに登るなんて思わなかったよ。まだ登るのか?」
思っていたよりかなり遠かったようだ。
ご、ごめんて。


道路の終点の少し手前にトレイルの看板を見つけて降ろしてもらう。

「シャスタらへんは毒ヘビが多いんだよ。だからハイカットの登山靴に長ズボン履かないと噛まれるぜ。あいつらはカタカタカタ…って音を出して威嚇するから、それが聞こえたら近づかないことだ。」
そういえば、ダンスミュアでそんな蛇に会った。足元に気をつけよう。

お迎えの時間と場所を決めて別れる。
ほんと、ここまで歩きではかなり大変だった。
マジ感謝。


高度計を見ると2300mを超えている。

空気がひんやり。

靴紐を丁寧に結ぶ。

抜けるような青空と、荒涼としながら静かにただそこにある美しい山の姿に、気持ちが高揚していく。



身支度を終えたところで、一台の車が止まる。

降りてきたのは…日本人だ。
日本語を話している。

一人はガイドさん、あとはお客さんの男女一組。

ふと、話しかけてみた。
普段は旅先で日本人に話しかけないのに。

今からパンサーメドウズに行くそうで。

ガイドの方が
「せっかくだからご一緒にどうですかー?ね、いいですよね?」

お客さんに話している。

え?いいの??
お邪魔じゃないかしら…

二人は真っ直ぐに
「いいですよ、ぜひご一緒しましょ」
と、笑顔。

普段は絶対にこんなことしないのに。

心から、嬉しいなぁ、と
喜んでついていくことを即決した。




パンサーメドウズは聖地として有名な所で。

見えたり聞こえたり、知識もない私が、行ってもどうなんだろう?
と思っていたけど。

その場所の写真を見て強烈に惹かれて来てみたのだけど。


おかげさまで、ガイドさんにいろいろ説明をしてもらいながら、
なるほどー、なんて、
あー、二人はご夫婦なんですねー、
なんて話しながら。



クリスタルガイザーの源泉に辿り着き。

先客はヒッピーのおじさんただ一人。


そこは別世界。

ただただ、平和な、静寂な、そこだけ時が止まったような。

自然と呼吸が深くなる。

安心する。
今ここにしか気持ちがいれなくなる。

いつまでもここにいたくなる。



シャスタのキャンプ場の話や宿情報などガイドさんからたくさん教えてもらった中で、
ある宿を紹介してくれた。

「あなたはその人に会った方が良いと思うよ」

高級宿ばかりのシャスタにあって、比較的手頃なお値段の宿、ということで紹介してくれたのだが、
とにかくそこのホストに会った方が良い、という。

なんだか気になってメモを取る。
流れに身を任せてみたくなったのだ。



名残惜しくも車に戻る。
街まで送ってくれると言ってくれたけど、ジムの待ち合わせがあるので、少し下のキャンプ場まで乗せて行ってもらうことにした。



駐車場に車が次々と来る。
その中にまた日本人。女性二人組みかな…3人?

あ、行きで見かけたヒッチハイカー女子だ!
良かったね、乗せてもらえて。

ちゃんと必要な縁というものがあるのだ。

だからおせっかいで気を揉んだり、悪いなぁ、と思うことも必要ないんだね。






車の中で、ここまで来れた経緯を話す。

なんとガイドさんが、私をシスキューまで送ってくれた男性を知っている!
なんと世間の狭いことか。

やっぱりご縁は繋がるんだね。
あれこれ考えず、来た流れに身を任せると、面白いほどに次から次へと展開していく。

すぐにローワーメドウズキャンプ場に着いた。
みんなで軽く散策。
本当に街まで行かなくて大丈夫?と聞いてくれたけど、大丈夫!と元気よく答えた。
ご夫婦が、ガイドさんの奥さんが作ったおにぎり弁当を餞別にとくれた。
久し振りにの日本食、おにぎりがこんなに美味いとは。思わず大きく拳を空に、ガッツポーズで叫んだよね。



車を見送った後、キャンプ場を物色。
無料とは思えない、整備の行き届いたサイト。トイレ掃除をしていたおじさんはボランティア。
有料にしてほしい、ってぼやいてた。
水場は場内には無く、少し歩いてせせらぎから水を汲む。
たくさんのテント。登山客とヒッピー風が半々くらい?

少し歩くと山の美しい頂きが大迫力で見れるし、
夜の星空なんて最高に決まってる。
やっぱテント持って来たら良かった…
でもきっと縁があればまた来れるよね。


お迎えの時間にはまだあるし、トレイルを少し登ってみよう。
たくさんのハイカー。みんな薄着で普段着。

あれ?いつのまにかまた見覚えのある看板。
どうやらパンサーメドウズにまた来てしまった。
朝いたヒッピーが、まだいた。
裸足になって、源泉のせせらぎに足を浸してお祈りしている。なんか…やだな。その水、下で飲むんだぜ?


時間ギリギリまで源泉の辺りで陽を浴びながらのんびり過ごす。
そろそろお迎えの時間だな。

続く。

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