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科特隊基地をつくる【第12話】小型ビートルの発進ギミック 後編

【こちら小型ビートル! われ、発進準備を完了せり】

前回も書いたように、小型ビートルの発進シークエンスは次のとおりだ。

①基地の壁面(流星マークのあたり)の扉が内側に入る。
②発射台が前方にせり出す。
③発射台上のカタパルトが斜めに傾く。
④ディフレクター(ジェット噴射の防護板)が発射台からせり上がる。
⑤小型ビートルがジェット噴射して発進、急上昇。

タミヤのラック&ピニオンを使ったことで、②〜④についてはなんとか目処がついた。具体的には、次のようなしくみにした。

②ピニオンを固定するとラックが前後に動く仕組みを利用して、発射台の前後の動きを再現する。
③カムの原理を使い、発射台が壁面からせり出してきたカタパルトを斜めに持ち上げる。
④発射台にディフレクターを格納するスペースがないため、カタパルトの動きに合わせて持ち上がるようにする。
⑤小型ビートルをバネを使って発射させることも考えたのだが、壊したり、なくしたりしたくないので発進そのものは省略(その昔、イマイのサンダーバード秘密基地で痛い目にあったからね)。

こうして発射台が前方にせり出し、カタパルトがせりあがるところまではなんとかなった(前回と同じ動画)。

どうしても解決できなかったのが①の動作。壁面の扉が内側に引き入れられ、発射台が前方に押し出てくるという逆方向の動きの再現だ。それも同時に動きだすのではなく、時間差をつけなけれならない。
それこそ、失敗を山ほど積み重ねたすえに、発射台が前に出てくるタイミングを遅らせる遅延機構を組み込むことで解決した(なんて、えらそうなことを書いているが、たんに遊びをもたせただけ……)。

小型ビートルの発進機構。左上のプラ棒の上端にある台形状の部品が遅延機構。

この機構に行き着くまでに、それこそ1カ月以上も悩みに悩んで、ようやく解決できた(まぁ、解決してみればまさにコロンブスの卵だったのだが)。

ちなみにスイッチを入れるとプラ棒が上方に伸びていくが、これは扉を壁の内側に引き入れるリンク機構の逃げ場所がなかったため。劇中の設定とは異なるが、まぁ、小型ビートル発進警告灯の支柱とでもしておこうか(われながら、かなりいいかげん)。

じつはこのあとも、まともに動くようになるまではかなりいろいろあった。
扉はうまく動作したのにカタパルトが出てこないとか、カタパルトが戻っても扉が閉まらないとか、スイッチを切るときにモーターがぶるぶる振動するとか、つぎからつぎへとトラブルが発生した。
システム開発でよく聞く「単体テストはうまくいったが、結合テストに失敗する」というやつだ。あっちをいじり、こっちをなおし、今度こそ、今度こそはと不具合をつぶしていった。ときどき手を休め、振動対策に苦しんだ十四試局地戦闘機(雷電ね)の三菱開発陣もこんな感じだったのだろうかと思いをはせてみたりしてね。


[追記]

遅延機構はきちんと動くときもあれば、うまくいかないときもあり、なかなか安定して動作しなかった。そこで、発射台の移動距離を長くし、カタパルトが扉に達するまでの時間を稼いだら、拍子抜けするほどあっけなく問題は解決した。うれしい反面、あの苦労はいったいなんだったんだろう、と思う。

遅延機構を単なるプラパイプに置き換えた。これだけでちゃんと動く。なんだかなぁ。


【第13話】ギミック用ギヤボックスの換装 につづく
【第11話】 小型ビートルの発進ギミック 前編 にもどる
【第1話】はじまりの秘密基地 にもどる


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