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『はたらく細胞』シリーズと、スピンオフ最新作『はたらく細胞イリーガル』


 『はたらく細胞』スピンオフの最新作、『はたらく細胞イリーガル』の単行本が発売になりました。

 ぶっ飛んでいて面白いです。でもけっこうクセが強めで、『はたらく細胞』シリーズが初めての人には、ついていくのが難しいかもしれません。

 それで、読み方のコツをご紹介したいなぁと思いました。

 『はたらく細胞』シリーズは、かんたんにいうと、人間の体内のできごとを描いたマンガです。登場するのは、擬人化でキャラ付けされた細胞たちと、体外から体内へ入り込む雑菌やウィルスたちです。

 『はたらく細胞』シリーズは、身体という(せかい)の外側、つまりその本体がどんな人で、どんな行動をとっているのか、想像力をぞんぶんに使いながら読むと2倍楽しめます。

 キャラ付けされた擬人化と、外側にある人体へ想像をはせながら読むのがコツです。

 『はたらく細胞』のオリジナル作品は、テレビアニメ化も映画化もされましたから、皆さまご存じと思いますが、かんたんに説明させてください。

 本家『はたらく細胞』は、内容がモロ高校生物ということで、中高生に大人気です。難しい名前のついたわけのわからない細胞が擬人化されてキャラ付けされています。毎回、何かしらの事件が発生して、細胞たちがそれに巻き込まれては、解決するために立ち向かうというサクセスストーリーです。

 ところどころに細胞などの解説がついていて、これがかなり本格的。しかも、もしめんどうなら、そこは読み飛ばしてOKというすぐれものです。とにかく、ストーリーがわかりやすいので、エンタメとしてもとことん楽しめます。そのうえ、いたるところで見惚れてしまうくらい画がすてきです。

 そんなわけで、生物苦手な中高生にはまぎれもなく『バイブル』マンガ、テストの心強い味方なのです。生物の先生も、推奨まちがいなしの作品です。

 そんな『はたらく細胞』には、たくさんのスピンオフがあります。
 オリジナルの作者、清水茜さんは、『はたらく細胞(全6巻)』以外は、監修の立場を取っているので、枝分かれしてスピンオフがいくつもできました。つまり、じつに大勢の力でこの作品が展開されてきたことになります。

 そのスピンオフの最新作が、『はたらく細胞イリーガル』になります。
 「イリーガル」も基本的には、オリジナルと同じ表現手段で描かれています。だた、ちょっとお話が複雑でわかりにくいようです。

 それと混乱したのが、「イリーガル(不法)」が何のことなのかです。『ヤンマガKC』ということもあり、細胞たちのキャラ付けがアウトローなのですね。たとえば「白血球」が集まった組織のキャラ付けは「任侠」です。それで、さいしょは「イリーガル」のイメージと、「白血球」が結びついてしまって、『あれえ?』って、なっていました。

 でも、よくよく考えたら、本来は正義の味方の「白血球」がイリーガルのはずないよねと自分に言い聞かせて、それでためしにツイッターで調べました。すると、原作者の橋本カヱさんが「薬物乱用した人の体ではたらく細胞たちの話」とつぶやいていたのです。

 ああそうか、これは薬物不法所持者の体内のお話だと、やっとそこで腑に落ちたというか、なんで混乱したのかしらと思いつつ、スッキリしました。  
 たぶんですが、イリーガル(不法)な薬物使用がテーマなので、さいしょは慎重に進めているのでしょう。

 もちろん第1巻にも「薬物乱用した人の体ではたらく細胞たち」という内容のくだりはあります。
 ただ、その他の要素もかなりありますので、まずは、この体内の世界観を知るための体験ツアーのように思いました。

 そんなわけで、「イリーガル」が示すのは薬物乱用であることと、薬物依存は脳内で発生することを念頭におきながら、その他は補足的な情報としてとらえるとわかりやすくなります。

 最後になりましたが、『はたらく細胞イリーガル』の特徴は、脳内組織の描写が面白いことです。これがこれまでの『はたらく細胞』シリーズとは異なる点です。
 イリーガルな体内ってどうなっているのか、興味がありますよね。きっとこれから(その意味で)どんどん盛り上がっていくと期待しています。




 せっかくの機会なので、他の『はたらく細胞』シリーズも貼り付けます。

(※)『はたらく細胞』(全6巻)月刊少年シリウス:上記参照


(※)『はたらく細胞BLACK』(全8巻)モーニング:成人病をり患した人の体内のお話。成人病の理解に貢献しています。


(※)『はたらく細胞LADY』(全4巻)モーニング2:女性の体内のお話。婦人科や産婦人科に特化した内容です。


(※)『はたらく細胞BABY』(全4巻)モーニング:BABYの体内のお話です。


(※)『はたらかない細胞』(全5巻)月刊少年シリウス:はたらかない赤血球と白血球が主人公のコメディタッチのお話です。

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