2クール目からはCVポートで抗がん剤治療した話。脱毛のこと。買ってよかったもの、など。
冒頭の画像は、カナダでこの時期お馴染みの、干し草ベールが転がるうちのフィールド。乾季の間に家畜の冬の食料を確保しています。
全摘術後、再び手術台へ。そして2クール目。
「CV ポートは安全に化学療法ができるからオススメだよ」
中心静脈(CV:太さがある)にカテーテルを留置する簡単な手術の説明を受け、同意書にサインしました。
笑顔が爽やかな男性外科医が勧めたからサインしたのでなく、これは個人の意思です。カナダは患者が希望すれば無料で手術が受けられます。
今回を含めると、抗がん剤治療はあと3回。
私の腕の血管は隆々としているものの、皮下脂肪というクッションがないため骨とは近すぎ。1回でも漏れたら深刻です。
ポートは前胸部を切開して皮下に埋没されるので、表面のキズさえ癒えれば、普通にシャワーも可能。
手術時間は全身麻酔で1時間。とうぜん日帰り。
ただし日付は、そこしか空いていなかったという理由で、2クール目の抗がん剤投与前日でした。
手術台に乗って、カテーテルから酸素を吸ったとたんに意識が飛んだ。そして術後。ポートは皮下に吸収糸やテープで固定されていて、ポコッと盛り上がった状態です。
翌日の抗がん剤はポート部分のヒフに直接、痛みもなく専用L字型針を刺してもらって施行しました。
ポートは両手がフリーになる快適性があってもスマホは封印。両手はフローズングローブで冷やして圧迫します。
ドセタキセルは今後、爪を含む手足に症状が出ます。ちょうど蜂に刺された2回目のアレルギー反応のように、悪化すると全身に及び、休薬や減薬の必要性が。
それはできれば避けたいところ。日焼け予防やヒフの保湿、清潔も大事(数日は汗の中に微量に含まれると言われる抗がん剤です。とにかく流してしまうが良し)。
手を保護するのに負担のかかる家事(包丁や水仕事など)は必ずグローブ着用しています。
足底のヒフも怪しく、時々しびれもあります。運動は二重ソックスで負担のないようにやる。また寝るときは踵を保護するシリコンパッド付きのカバーでしっとり。オススメです。
ラノリンクリームに助けられた。
今回も当日から浮腫みが出ましたが、それが引いてきた4日後。全身が乾燥肌でパリパリと。特に手掌がヒリつき、火傷したような痛みが出てきました。
さっそくマニュアルが推奨しているラノリンを始めて2日後。効きました!!
ラノリンは羊毛から精製されるクリームで、蠟のような使用感。ベタつきや匂いが気になる方やアレルギー、動物性への抵抗もあるでしょうが、人間の皮脂とは非常に近い。
また羊毛は、共存できる産業でもあるゆえに、牧畜大国カナダ(日本より動物愛護の法律、多いです)では推奨されるのでしょうね。医薬品に頼るより自然なものが好きな私も、塗布したときのバリア感に、思わず「これだぁ」と声が漏れるほどでした。
カナダのおくすり事情について。
今回からの追加薬、ガスターですが、ゲップが止まり次第、2日で終了、マジックマウスの洗口液も5日で終了。
たしかに口腔内の腫れや痛みには効きましたが、舌苔が良くならない。炎症を抑え症状を軽くするだけの洗口液は、治癒自体を遅延させると思い、重曹水と蜂蜜、ココナッツオイルの自己流に戻っていました。
けっきょく私は天然なもので、急がずにケアするのが好きなんですね。たいていの痛みも(術後のも)我慢できちゃっています。
ではおくすり事情を。
カナダでは副作用に対する内服薬は、初回に包括払い(4クールぶん)で日本円にするとおよそ3万2千円(←私ががんになって初めて払ったお金)でした。
以後、追加薬があっても「no charge」。変わらなくて本当に嬉しいです。
北米圏では薬がプラスチックボトルに入っています。アメリカFDAによると、使用後のボトルは各家庭のシュレッダーにかけるかトイレに流すんですって(お湯に溶けるから)。本当でしょうか? カナダは薬局が回収してくれます。
そして、日本のようなアルミパウチの国もあり……。
どの方式がよりエコなんでしょうね。
ともかく副作用の薬に関しては、じっさいの処方より多く入っていて、万が一紛失しても安心だと思いました。
脱毛と帽子類。
ゴッソリ脱毛したのは、1クール目の14日後でした。腰を据えて抜け毛を手ぐしや櫛で梳きること1時間半。帽子を被れば人前に出られる程度に生え際に残ったけれど、もし取ったら1歳未満の赤ちゃんの毛量というか。
私は自分の父親の急逝に駆けつけられなかったコロナ禍を思いだします。頭頂部が円形脱毛症になってカッパでしたが、必ず生え戻るとわかっている今回のほうが、前回のような精神的ダメージがないです。
現在は時々落ちる数10本を指で摘まんで捨てれば良い。バリカンで全刈も考えてみたけれど、元がファームの3K労働が好きなせいか、単調な処理を面倒とも思わない。コロコロ粘着テープすら滅多に使わずにゴミも削減です。環境にちょっと優しいかも。
ここで少し、私が格安temuで買った帽子類の話。
これからお求めの方の参考になればと思います。
この季節は軽くてツルッとしたサテンのターバンが快適(コットン素材を直接被ると、産毛のような細い毛が絡まって、さらに抜けやすくなった)。
サイズはリボンやタレ布で調節しますが、頭頂部で結ぶタイプはフェミニンで、いい歳して頭に大きい蝶々を載せて楽しんでいます。後頭部に余り布がないほうが実は涼しいです。
逆に後頭部で結ぶタイプは、布余りが少なく、小さく結ぶ仕様でさえ、後ろ首が暑いです。しかし、頭頂部はすっきり、リボンもないので、外行き帽子(蚊よけや通院のために)被る際、二重帽子にもできます。
暑くても良かったのは、抗がん剤治療中に大きめの通院帽子の中にアイスパックを入れて、サテンの上から被れて便利でした。カナダにフローズンヘルメットはないですが「いい髪生え戻れ」のためなら、頭が重くてふらつこうがド根性です。
山火事で生命線の空気が危ない。
私はカナダの西側地域にいて、
夏の乾季には決まって山火事問題と直面です。
キャンプやタバコの不始末などの人為的なものから、落雷や発酵物の堆積による自然発火が、山を丸ごと燃やす。はっきり言って、毎年囲まれてしまいます。
公式マップは「Out Of Control」も含めて真っ赤と言っても過言でないのに、今のところ、うちから病院までのエリアは、大河からの風の流れが延焼を食い止めています。
でも雨の予報もなしに、いつまで保つか……。炎は猛り狂えば大河をも余裕で越えられる。
うちから400km離れた街では、その半分が焼け落ちてしまう被害がありました。次に自分たちの番が来てもおかしくないです。
まだまだ周囲には森林浴ができるくらいの良い空気がある。がん治療には申し分なく深呼吸できています。しかし、ひとたび灰と煙が流れてくると、頭や喉の痛みが止まらないはず。
祈ることしかできないです。
今月末まで持ち堪えられたらと。
緯度が高い地域の日照時間は日を追って短く、
夏の終わりを告げています。初霜さえ来れば。
ひと月雨がなくても、
大地と空中の水分のみで再生できる、
うちのフィールドの草のように。
私も逞しく堪えて再生したい。
悲鳴を上げ始めた乾燥肌で。
あと2クール、6週間です。
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