見出し画像

「個人主義」と「対話」の尊重こそ民主主義の本質 | 斎藤 環

ビッグイシュー406号の特集『コロナ禍で考えた“民主主義”』に寄せられた7つの寄稿を、1日1本ずつ紹介している「勝手にビッグイシュー(と民主主義)応援シリーズ」も本日が最終日となります。

ちなみに、406号には、18歳になったグレタ・トゥーンベリさんへのバースデイ・インタビュー記事も掲載されています。買ってみようかな? という方はこちらで販売場所を確認してみてください: https://www.bigissue.jp/buy/

路上販売されている方に、他におすすめのバックナンバーがあるか聞いてみるのもいいかもしれないですね!

■ 勝手要約(オリジナルは1500〜2000文字程度)

国民の監視と行動統制を強制できる独裁制によりパンデミックの抑制に成功した中国。その成功を受け「民主主義ではパンデミックは抑えられないのでは?」という見方がある。
しかし抑え込みに成功した民主主義国家もある。それもすぐ近くの東アジアに。

東アジア諸国で「押さえ込みに最も失敗した国」日本は、欧米ではなく台湾に学ぶべきだろう。
台湾の高レベルの成功は、多数の行動が重なってのものだ。その根底にあるのは徹底した透明化と対話的な姿勢。対策本部トップは連日記者会見ですべての質問に答え、蔡英文総統も折に触れて会見を開いていた。

民主主義とは多数決のことではない。その本質は「個人主義」と「対話」の尊重にあると私は考えている。
中間集団の「空気」の支配により、戦後の日本社会では民主主義が成熟しないまま今に至り、コロナ禍においても政治の迷走は続いている。
失敗を次に活かそうとするなら、優れた隣人に学ぶべきだろう。

■ 感想とか

最近になって感染の拡がりが報じられている台湾ですが、それに対するすばやい対策のニュースを聞く限り、やはり台湾は世界有数のコロナ対策成功国と呼べるでしょう。
これまでオンラインイベントを通じて、何度かコロナに対する取り組みについてオードリー・タンさんの話を聞く機会がありました。細かくQAの時間などをとってくれるイベントでは、タンさんは、実際には報道されているほど成功ばかりではなく、小さな失敗に対してすばやく市民の声を取り入れたリアクションを重ねてきたことが大きな成功につながっているとよくお話しされていますね(また、タンさんだけではなく、官民両サイドにたくさんの(グロース)ハッカーがいるというような話もちょくちょくされています)。

正直言って、おれはここ7-8年のひまわり学生運動以降の台湾の変化を、とても羨ましく見ています。
台湾という国、そして人たちについては、<中国の強烈なプレッシャーに対峙し続けてきたという歴史と、それが作り出した民衆の想いという、ある意味「内発的な動機」を持っている国であり国民である>というくらいのバクっとした知識しか持っていませんが、それでも、こういう形で民主主義をとても大切なものとして実践している国がすぐ近くに存在しているって、希望に溢れているしとてもステキなことだと思う。

寄稿に書かれている通り、日本は学ばせてもらうべきだし、臆せずに教えを乞うべきじゃないでしょうか。中国とアメリカの動向とは切り離して、もっとしっかりと強いパートナーシップを結べばいいのに。
そのためにも、まずは「アジアの他国に教えを乞うなんて。あんたは一体何をバカなことを言ってるんだ。歴史をちゃんと学んだほうがいい」なんてことを言い出しそうな代議士にはご退場願いたい。

台湾は直接民主主義なんですね、日本の間接民主主義とは異なり。
参考: 台湾はどうやって世界を代表する直接民主主義の法律を作り上げたか

日本では直接民主制について、真剣な議論って行われていないのかな?
おれは勉強不足でまだまだ何も理解できていない(トップを国民が直接投票で決めるだけじゃないのね…)んだけど、Wikipediaに書かれている直接民主主義の原則、長所、短所を見る限り、このままダメダメな間接民主主義を続けるよりもずっと良さそうに見えるのだけれど。

・ 原理 | イニシアティブ(住民発案、国民発案)、リコール(国民解職)、 レファレンダム(国民表決、住民投票、国民投票)の3つの要素の集合

・ 長所 | 民主主義の原点であり、議会選挙など最初の段階で直接民主制の正統性に依存する間接民主制と比較して、その決定には高い正統性が得られる。制度の構造が単純で、国民の数が非常に少なくても運用できる。また、選挙制度などで制度が歪められる余地が少ない。

・ 短所 | 共同体の地域や住民が増加すると、全員が1か所に集まり議論する事には限界がある。ただし、自治自体を国・州・都市・村などのように階層化し、役割分担を整理する事で緩和は可能である。またマスメディアやインターネット技術などがこの問題を軽減できるとの主張もある(E-デモクラシー)。

そう言えば、先日オンラインで見つけたのですが、今月中旬「コペンハーゲン民主主義サミット」というものが開かれ、台湾の蔡英文総統や、香港の著名民主活動家などが出席したそうです。
どうやら3年前から毎年開催されているらしいのですが、日本ではほとんど報道されていないですよね…。どんな内容が話されたんだろう?

■ おすすめバックナンバー

ビッグイシューは3冊以上で通販でも購入できます。
というわけで、おれのおすすめバックナンバーはこちら。

画像1

実はまだ、今日の段階ではバックナンバーじゃなくて最新号です。
が、来週には最新号が出るので、すぐにバックナンバーの仲間入りということで。

スペシャルインタビュー | カズオ・イシグロ
国際記事 | ドイツ、地域の店の配達情報ポータルサイトで、商店街存続へ
国内記事 | 世論調査NOW 若者の投票率下がる、停滞から立ち直るための希望は?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?