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ルービック
2022年4月9日 00:18
桜が咲き始めた。モノクロのような街の景色が、仄かにピンクに彩られるこの時期。私は高揚感に包まれる。少しずつ開き始める桜の花。日に日にその数が増えていく。一番始めに開いたたった一つの花も、満開になる直前、一番最後に開いた花も等しく愛せる。桜には、それほどの魅力がある。と、私は男に伝えた。共感してくれるだろう、という魂胆があった。すると男は予想に反して———予想に反する、ということはある意味