【第十四話】キューミックスの始まり。

気付けば自分達の音源を制作する目的で始めたDTMやら録音・・・曲に携われば疑問が沸き、悩みまくりながら解決出来たり。トライ&エラーをひたすら繰り返しながらも僅かながらイメージする音に近づいてきた気がしてきた。


いや、そう書けば聞こえはいいが実際はそもそもイメージしている音=普段聴いてきた音(メジャー流通CDだったり好きなアーティスト音源)と自身が作った音とのレベルが雲泥の差な訳で・・・この差が少しずつ縮まってきた様な・・・本当ほんの少しずつ。スタートラインに近づいた感じ。そう、筆者は未だスタートライン(自身の満足を得る段階)に立てていないのである。


それでも録音→MIX→マスタリング・・・この一連の作業はコンスタントに機会を頂ける状況となっていた。どこからか『タダで音源作成してくれるやつがいる』との情報をゲットした地元バンドマンだ。それでもバンドマンはコチラが『金は要らない。こっちもおかげで勉強させてもらっている。』と告げても「キモチだから受け取って欲しい。」といくらかお金をくれる。


録音やMIX等の作業を終えても何度だって修正するし、再録音だってやっていた。オーディオインターフェースやマイクも当初から何度も買い直したりしていた(高いのは買えないけど)筆者は正直このキモチが有難かったし、尚更アホな結果は出せないなと気合も入ったものだ。ぶっちゃけ3桁万円超えてたし。


そんな中、とあるバンドさんからの要望があった。


『時間が無いから一発録りで。』


この初めての要望には正直戸惑った。勿論出来ない事は無い・・・が、区分けされたスタジオでなくオープンなフロアでドラム、ベース、ギター、ボーカルを録音。マイクどうやって立てるのだろう・・・そりゃマイクの特性として一番近くで鳴っている音を録るだろうが、確実に他楽器の音も混ざって録ってしまう。それを考慮してのマイキング・・・時間が無いとハッキリ言われてる中で、録音現場で即時に抜群のマイキングを直し遂げる技術が筆者にはあるだろうか・・・ハイ、100パー無い。


筆者は正直者である。上記を全てさらけ出し『ゴメンなさい。そんな訳で無理の極みでございます。』とお断りをさせて頂いた。相手は「そんな難しく考えないでくれ。適当でいい。」と言ってくれたが、そうはいかない訳で。適当は後々自分にとてつもない爆弾を放り込む事となる。自滅したくない。


更なるお断りの理由を告げてみた。


『見た事ありませんか?手元に箱みたいなやつあるの。』筆者は続ける。


『アレ、キューボックスって言うんですが、あそこでメンバーそれぞれが各楽器のレベル自由に変更出来るんですよ。ドラム大きくするとか・・・自分の音上げるとか。それ、無いです。』


相手は普段練習しているスタジオで普段練習しているのと同様に演奏する・・・ただそれをマイクで録音するだけだと思っていたらしい。楽曲の確認程度の事ならば問題無いが、音源化するとなると。。。やはりマイキングが恐ろしいし、各メンバーが演奏しやすい状況を作らないといけない。


勿論キューボックスの導入も考えてはいたのだが・・・当然一つ当たりの値段×4の値段がかかってくる。高い。


結果的に『一発録音だと誰かが失敗したら全員やり直しになる。別々に録音しても時間的に差は無い時もある。』と告げ、各メンバー別々でのマルチ録音でお願いした。


それとは別に。


ドラムを先ず録音するのがデフォなのだが、楽曲を完全把握していない場合もある。唄やギターが無いと曲の構成が理解し辛いのだ。メロディーの無い打楽器だからキモチは理解できる。そんな時仮でガイド的にギターやボーカルを同時録音する事がある。勿論ギターは仮だしアンプから音出すとドラムのマイクが拾ってしまうのでライン録音だ。


基本ドラムさんは録音している自身のドラム音はミュート。ヘッドホンしてても聴こえるしなにより手足で感覚存分に伝わってるしヘッドホンから音出すとクリックが聴こえ辛くなるからである。


でも仮で録音しているボーカルやギターはドラムの音を生音ではなく、ヘッドホンで聴きたい。聴きたいだろうけど主役のドラムさんがミュートを希望しているので無理ですと・・・聴こえ辛いなら片耳外してくれと。


結局一発録音と同様の悩みが生じてしまった。各パートごと任意のバランスで音を出す。全共通ではダメ。


となるとキューボックス導入しか無いのか・・・そう悩んでいた所偶然発見した言葉。それがキューミックスだ。


キューボックスが欲しい筆者の前に突然現れたキューミックスなる言葉。一文字違いのこの言葉、何か関係あるに違いないと筆者は直観した。で、調べた。


大正解である。


キューボックス買う必要がなかった。他メーカーのオーディオインターフェースでも当たり前にある機能なのかもしれないが、筆者は偶然発見して歓喜の嵐。少なくともstudio oneとstudio192とpresonusで揃えるとキューボックスなどなくても同じ事が出来る。


ドラムには音を送らず・・・ギターにはドラムとボーカル。ボーカルにはギター小さめとドラムに自分の声大きく。そんな各メンバーの希望に答える事が出来るのだ。ステキ過ぎる。この機能が備わったpresonusがステキなのか・・・それともpresonus関係無くそんな機能はどれにも付いている(?)事を知らなかった筆者がただただ愚かなのか。


ここから筆者の考え方が『どうやってイメージ通りの音を作るのか』に加え『なるべく録音側、演奏側にストレスを抱かせない方法』を気にする様になった。


そして知ったのがトークバックである。次回はそんな話。

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