よく調べてから資格を取ったらどうでしょう
資格取得に過剰な期待をしてはいけないと最近良く聞きます。
これはその通りで、「この資格を持っていれば必ず給料が上がる」、「あの取得があれば安泰だ」といったことはありません。
当たり前の話として、多くの場合、資格を持っているだけでは十分ではなく、「その資格に関する実務経験が豊富である」といったことが加わって初めて資格は有用になります。
とはいえ、「この資格者がいないと開業できない」、「あの資格者がいないと収益が落ちてしまう」といったことがあるのも事実です。こうした場合には、ただ資格を持っているだけでもありがたがられるとは思います。
色々なケースがありますが、今日は資格について考えてみます。
■ 資格の費用対効果
費用対効果、いわゆるコスパですね。
コスパという言葉、私はあまり好きではないのですが、掛けた費用、時間、労力といったリソースに対して、経済的にどれだけ回収できるのかは計算しておいたほうが良いと思います。
計算した結果、費用対効果が悪くても、「好きだから」、「その資格を持って働くことが社会の役に立つから」といった理由で取得するのは個人の考え次第でしょう。
それが悪いとは思いません。合理的な選択が、必ずしも良い結果につながるとは限らないですし。
とはいえ、費用対効果は気になるのではないでしょうか。
次に、私が費用対効果が良くないと思える資格を2つ挙げます。
■ 社会福祉士
勘違いしてほしくないのは、「社会福祉士なんて取得するのはバカだ」とけなしたいのでも、「社会福祉士なんて取得しないほうが良い」と主張したいのでもありません。
むしろ私は、社会福祉士の待遇は低すぎるので何とかした方が良いと考える方です。待遇が低いのは、雇用する事業者の問題よりも、制度の構造的問題が大きいと解かったうえでそのように考えています。
と、前置きが長くなってしまいました。
つまり何が言いたいのかと言えば、社会福祉士を取得するのは費用対効果で考えると良くないということです。
まず受験資格を得るために福祉系大学を卒業したり、専門のスクールを修了したりしなければなりません。ここでは座学だけでなく、現場での実習にもかなりの時間を要します。
こうして受験資格を得て国家試験を受けるのですが、この科目が多いんですね。20科目近くあります。正直言って、「こんなの覚えてどうするの?」、「解答と解説を見ても理解できない」みたいな問題がけっこうあります。
実はパートナーが10年近く前、50歳を超えてから取得に取り組んだ様子を間近で見ていたので、いかに大変か少しは感じられます。(何とか合格しましたが…)
そして、かなり取得が大変な割には給与などの待遇が高いとは言えません。
仕事上、自治体所属の社会福祉士さんと知り合うことがありますが、会計年度任用職員(平たく言えば期間限定の契約社員)でありなおかつ低賃金ということが少なくありません。
その割にはお仕事は重要かつ大変なんですよね。
いや、これは割に合わないでしょと思います。
(重ねて言いますが、社会福祉士を選択した人を馬鹿にしたいのではありません。この待遇ではいけないから制度構造から変える必要があると思っています)
■ 中小企業診断士
これも割に合わないと思います。
中小企業診断士試験って、かなりの難関なんですよね。
その割には名称独占だけで、独占業務がない。中小企業診断士しかできない業務というものがないのです。
つまり、中小企業診断士を取得すれば企業のコンサルが出来るわけでも、税務申告が出来るわけでもないんです。
ただ名称を使えるだけ。
せいぜい事業再構築補助金などの補助金申請の書類を作るくらいでしょうか。(それだって別に中小企業診断士しかできないわけではない)
正直、名刺に中小企業診断士と書いてあると、「苦労して取得されたんだろうけど、そのリソースを別に使っても良かったのでは」と勝手なことを思ったりします。
敏腕なコンサルティングをされる中小企業診断士もいらっしゃいますが、それは中小企業診断士だから敏腕なわけではなく、敏腕なコンサルタントがたまたま中小企業診断士を取得されているわけです。
■ 経済合理性が全てではないけれど
世の中経済合理性が全てではありません。
合理的な選択をすればすべて上手くいくわけでもなく、非合理な選択をしたら必ず失敗するわけでもありません。
先にも述べた通り、「好きだから」、「その資格を持って働くことが社会の役に立つから」といった理由で資格を取得するのが悪いというのではありません。
「資格を取得すること自体が楽しくて好き!」ということだってあるかもしれません。
ただ、検討する資格を取得した後どのような実態が待っているのかは知ったうえで選択をした方が良い、そうしたことを何も知らずに理想や思い、イメージだけで選択しない方が良いとは思います。
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