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今は雇用率15%の弊社が障害者雇用に取り組んだきっかけ

私たち持続未来グループは、障害者雇用に注力しています。
知的障害者、発達障害者、精神障害者を中心に雇用し、会社の戦力となってもらい、障害者雇用率は14.8%です。
※2023年6月1日現在。

このあたりは以前にもnoteに書きました。

最近では積極的に障害者雇用に取り組まれる企業が増えました。
ただ、本当に戦力として障害者を必要としている企業がどの程度存在するでしょうか。

仕方なくの障害者雇用になっていない?


正直なところ、法定雇用率を達成するために仕方なく、無理やり仕事を削り出し(あるいは作り出し)、本来ならかけなくても良いコストをかけている企業が少なくないようです。
オフィシャルでない場面で、そのようにこぼされる経営者にも実際に何人もお会いしました。

でもそれでは楽しくありませんよね。
雇用する企業側も、健常者社員ももちろんですが、働く障害者にとっても楽しくないでしょう。

そうした状況では、働くことで得られる満足感、達成感も得にくいですし、それ以前に周囲から「お荷物を見るような視線」を感じてしまいます。そうしたことが原因で職場へ通えなくなった人を何人も見ました。

一方、弊社グループでは、障害者は戦力として欠かすことのできないメンバーになっています。もちろん、まだまだ課題はありますが、それでも障害者雇用に取り組んで良かったと思います。

障害者雇用の師匠との出会い


私たちが障害者雇用に積極的に取り組み始めたのは、約10年前でした。

当時、私たちは人口構成などから、将来的な労働人口減少と介護医療分野に人材が取られることでの人手不足の進行を予測していました。グループで手掛けている清掃サービスでは多くの人手が必要なので、これは致命傷です。しかし、打ち手は思いつかなかったのです。

そんなとき、障害者雇用をテーマとしたセミナーを受講しました。ある企業の方が講師だったのですが、その企業で働いている障害者の動画を見て驚きました。

スーパーなどで回収された食品トレーが、ベルトコンベアーでどんどん運ばれて来ます。ベルトコンベアー前に配置された従業員さんは、膨大な数量の食品トレーを、リサイクル可能なもの、不可能なものなど数種類に手作業で選別していきます。かなりのスピードで作業されていました。

その場ですぐに視察をお願いし、承諾いただきました。

その会社は、株式会社エフピコを中心とするエフピコグループです。同社は広島県福山市に本社を置く、食品トレー容器製造・販売大手で、先進的に知的障害者雇用を推進していることでも広く知られています。

エフピコさんは、食品トレーのリサイクル利用でも有名なのですが、このリサイクル工程に障害者が活躍されているのです。

衝撃の工場視察


エフピコさんの工場視察のとき、あるベルトコンベアーが走る作業ラインを見せられました。10名程度の従業員さんがいらっしゃいました。

「この中で、誰が障害のある人がわかりますか?」とセミナーの講師だった方から質問されたのです。
さっぱりわかりませんでした。全員がスピード感ある動きをされています。私の頭の中にある知的障害者のイメージと一致しません。むしろ、「この中に障害のある従業員は居るのか?」とさえ思いました。

そんな私に講師は言ったのです。
「全員です。全員が障害のある従業員です」

衝撃でした。
でも同時に、「これだけ作業できるということはかなり軽度の人なのだろうか?」とも思いました。

しかし、それは休憩時間の彼ら彼女らを見て見事に裏切られたのです。
あれだけの作業をしていたというのに、まるで統率の取れない言動の人、突飛な仕草をはじめる人、意思疎通ができない様子の人ばかりです。とても同じ人とは思えません。
また、障害者との関わりがあまりなかった私にも、彼ら彼女らが軽度には見えません。

驚く私に講師は、「ちょっと信じられないでしょう」そう言いました。

二重に衝撃でした。「ああ、すごいな。これは教えてもらわなければ」、もう私の頭にはそれしかありませんでした。

弟子志願→お断り→しつこく志願…


「ぜひウチにも障害者雇用を教えてください!」視察が終わるやいなや、講師に申し出ました。恥も外聞もなく教えて君です。
「えーと、米山さんの会社って食品トレー使われてます?」担当者から問われます。

そうです、エフピコさんは食品トレーの製造販売会社です。障害者雇用を教えることはあっても、その対象は食品トレーを購入する会社に限られているのです。
断られました。考えてみれば至極当然です。

しかし、私にはすがるところは他にありませんし、人手不足への危機感はマックスです。断られたからといって引き下がるわけにはいきません。
「そこをなんとか」
「いずれ食品トレーを購入するようになるかもしれないじゃないですか」
我ながら無茶苦茶なことを言いますが、何度もしつこく頼み込みます。ある日がダメでもまた別の日にもお願いします。

根負けされたのかもしれません。
講師をされていた担当者が、最終的には「じゃあ、少しだけなら手伝ってあげるよ」となったのです。

エフピコさんとこの担当者を師匠として、私たちの障害者雇用は本格的にスタートすることになります。
いやあ、無理でも言ってみるものですよね。

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